『わがままな放課後』 「ダメですよ、宗近さん。早く行かないと。」 「わかったよ。じゃあ、あと10分だけ。な?」 「もーう、全然わかってないじゃないですかぁ。」 「わかったから・・・あと10分!頼むよ、大。」 「しょうがないですねぇ。ほんとに10分だけですよ?」 「ああ、約束する。あと・・・ついでに膝を貸してくれないか?」 (何のついでですかーっ!?) 思わず心でツッコみつつも、大は諦めたように1つ小さく息を吐 くと、その場で正座をしてみせた。 もちろん膝枕をするためである。 「サンキューvv」 嬉しそうに大の膝の上に頭を乗せ、そのままコロンと横になった のは、宗近だ。 実はこの2人、つい数ヶ月前に恋人同士になったばかり・・・とい う仲なのである。 そして今は、放課後の明凌連の集まりに行かなければならない 時刻なのだが、2人っきりの時をまだ満喫していたい宗近が、あと 少しこのままでいようと駄々をこねている・・・ところらしい(笑)。 ちなみにここは、学内で放課後に人気のない場所ベスト3に入る 『屋上』である。 「なぁ、大。」 「何ですか?」 「腰・・・大丈夫か?」 「? 腰・・・ですか?」 「ワリィな。よく考えたら、膝枕なんて腰に負担がかかるよな。」 そう言って、慌てて身を起こした宗近を、大はきょとんと見つめ返 した。 「あれ?まだ10分経ってませんよ?」 「あっ、ああ。それより、ほんとに大丈夫なのか?」 「? ええ。」 「ほんとに?」 「? はい。」 「そうか・・・。」 「何故そんなことを聞くんですか?」 「いや、だって昨日けっこう無理させただろ?だから・・・」 「!?・・・そそそそれって、何の話・・・?」 「もちろん・・・」 「わーっわーっわーーーっっ!!!」 「どうした?」 「いい言わなくていいですっ!わかりました、もうわかりましたから ////」 「そうか?」 「もっ、もうそんなの・・・大丈夫ですよ。じゃあ、そろそろ行きましょ うか?」 「ああ、そうだな。」 大が勢い良く立ち上がった―――かと思ったら、そのままバラン スを崩して前のめりになる。 「おっと!」 宗近に抱き止められて、なんとかコンクリートと顔面の遭遇は免 れた大であった。 「すみません。」 「いや。でもやっぱり大丈夫じゃないみたいだな?」 「・・・・・いえ、あの・・・」 「よし!今日はずっとこのまま皆が解散するまでここにいようぜ?」 「え?そんなのダメですよ。皆さん心配されます。」 宗近は少し考えてから・・・ 「じゃあ、このままここにいるのと、俺に抱きかかえられて集合場所 に行くのと、どっちがいい?」 と言うのだった。 大はしばらく頭を悩ませてから、 「ズルイですよ、宗近さん・・・」 とあっさり白旗を揚げた。 ちょっぴり膨れっ面をした大の可愛らしい表情に、宗近はフッと笑 ってから、 「まっ、答えは聞かなくてもわかってるけどな。」 と自信たっぷりに言う。 次の瞬間、大が目を閉じたことで、その答えが正解であると証明 されたのだった。 そのあとのことは、2人だけの秘密―――。 【END】 [後書き] グハッ・・・(吐血)。もも申し訳ございませんっ!!! 「幸せな一時」=「ほのぼの路線」と思って書き始めたのですが、 気付いたらただの砂吐き甘々バカップルが出来上がっておりまし た(遠い目)。しかもいつの間にかデキてるし・・・(冷汗)。 よく考えてみると、鬼組でデキてる2人を書くのは初めてなんです よねぇ・・・アハハハ(乾笑)。 というわけで(?)、「幸せな一時」改め、「バカップルの日常」をお 送りしました(←撲殺)。 しかも最後は強制終了気味ですか・・・?(←帰れ!) 飛月様、こんなのになってしまいましたが、お許し頂けますでしょ うか?(ビクビク)お待たせしたあげくがコレで、本当に申し訳ござ いません>< お受け取り頂けましたら、幸いです。 |