1ヶ月前、俺と師匠は恋人同士になった。 師匠はもう俺の傍から離れない―――そう言ってくれた・・・。 『恋する涙』 「なぁ、師匠。」 「なんだい?鉄生君。」 「師匠はもう・・・オーストラリアに行ったりすることはないのか?」 「どうして?」 師匠はときどき意地悪だ。 『どうして?』なんて・・・わかってるくせに。 「んっ、んなの寂しいからにきまってんだろぉーっ!!」 「フフッ、ごめんね?君の口からその言葉を聞きたくって・・・。僕が悪か ったから、泣かないでよ?鉄生君。」 「へ?俺別に泣いてなんか・・・」 咄嗟に頬に手を当てると、冷たい雫が一筋。 うそっ!?俺ってばこんなことくらいで何で泣いてんだ?? 「ごめんね?」 師匠はもう一度謝ってくれた。 俺は流れる雫を振り払うように、何度も首を横に振った。 「どこにも行かないよ?」 「うん。」 「君を置いてどこにも行ったりしないから・・・。」 「うん。」 「だからいつもみたいに笑って?」 「うっ・・・」 俺は一生懸命涙を止めようとしたけど、自分でも何で泣いてるのか理 由がわからないのに、そんな原因不明の涙を止められるわけがなかった。 「ししょぉ〜っ。だ、ダメみたい・・・。」 師匠はそんな俺を『しょうがないな』というように見つめ――― そのままそっと抱きしめてくれた。 温かくて、とても安心できる師匠の腕の中。 俺は師匠の背中に両手を回して、ぎゅっとしがみ付いた。 そうしてしばらくの時が経って――― 師匠は俺の耳元で、こんなことを囁いた。 「鉄生君・・・このままの体勢だと、ちょっと僕の理性が持ちそうにないん だけど?」 「えっ!?」 俺は思わず真っ赤になってしまった(と思う)。 師匠ってば、さらりとなんてこと言うんだよぉ〜っ。 「じゃっ、じゃあ俺、離れるからっ!」 俺がついつい照れ隠しに怒ったように言うと、師匠はにっこりと笑って こう言った。 「それは嫌だ。」 「いやって・・・師匠ってばワガママっ!!」 「うん、我侭だよ。鉄生君に関して限定でねvv」 さらにニコニコと笑う師匠に、俺は『か、勝てない・・・』と悟った。 「じゃあ・・・師匠はどうしたいわけ?」 わかってるけど、俺もちょっとだけ意地悪して聞いてみる。 さっきのささやかな仕返しだ。 「うーん、そうだね・・・鉄生君にキスしたい・・・かな?」 「かなって・・・」 俺が思わず笑おうとしたら、師匠はもう唇を重ねてきてて――― そのまま深く口付けられた。 「うんっ・・・・んっっ・・・・・」 「しっ・・しょ・・・・」 何度も角度を変えて口付けられて、俺の体からは段々と力が抜けてい く。 そしてようやく長いキスが終わったとき、俺は師匠にしがみ付いて、立 っているのがやっとの状態だった。 我ながら情けない・・・。 でもこれもみんな師匠のせいなんだからなぁーっ!! ・・・口には出せないけど。 「大丈夫?鉄生君。」 師匠は俺の体を支えながら、心配そうに聞いてくる。 俺は恥ずかしさとか悔しさとか色んな感情がごちゃごちゃになっていて、 「だっ、大丈夫じゃねぇよっ!」 と思わず言ってしまっていた。 「そう・・・僕のせいだね。じゃあちゃんと責任取るからね?」 何の責任ですかぁーっ!? 俺は思わず心の中で叫んだ。 って、そうこうしてるうちに俺、ソファに押し倒されてるんですけど? 「あっ・・・や・・だ・・・ししょ・・・・」 師匠の手が俺の体中を這い回る。 俺は段々と頭がボーッとなっていくのを止められずにいた。 「師匠っ・・・イヤッ・・・・」 「嫌?でも鉄生君、ここはこんなに・・・・」 「うわぁーっ、へ、変なこと言うなぁっ!」 俺はまたしても涙ぐんでしまった。 「ごめんごめん。こういうのをオヤジ発言っていうのかな?」 お茶目に笑う師匠が憎らしい。 「じゃあ、鉄生君。もっとストレートに言うよ。」 「?」 「抱いてもいいかな?」 「っ!?」 俺は多分、ボンッという音が聞こえそうなほどに、一瞬で全身が真っ 赤になってしまったと思う。 「しっ、師匠のバカッ!す、ストレートすぎんだろぉ〜っ。」 俺はまたしても涙を流してしまった。 まあ今度は理由はわかってるんだけど・・・。 「ごめん・・・ダメかな?」 わかってるくせに・・・。 こういうところが師匠らしくって、嫌いになれない。 「ダメ・・・なわけないだろ。」 「鉄生君・・・。」 師匠は嬉しそうに笑って、性急に唇を重ねてきた。 その後は、ただただ熱くて――― 俺と師匠は甘い時間を過ごしたのだった・・・。 【終わり】 [反省文] はい、またしても背景描写も季節感もあったもんじゃありません(爆)。 精進するんじゃなかったのか!?私・・・。飛月様、もっ、申し訳ございま せんっ(土下座)。せっかく素敵なリクエストをして頂きましたのに、こん なヘタレ文になってしまいました。いえ、頑張ったんです。初の甘々賀鉄 ということで頑張ったんですけど、気合いが空回りしてしまいマシタ・・・・ (遠い目)。何故か賀鉄だと妙に鉄生君視点にしたくなるのは気のせい でしょうか?またまた無謀な一人称にしてしまって(いえ、多分一人称と は到底呼べないようなシロモノになっておりますが/痛)、間違えました、 私←オイ すみません、海より深く反省いたしております>< 飛月様、リクエストして下さって本当にありがとうございました!!そして めちゃくちゃ遅くなってしまって申し訳ございませんでした。こんなんでよ ろしければ、お受け取り下さいv では!(書き逃げ) |