「ねぇ、鉄生君ってさ、ハロウィーンに興味ある?」
 いつもの昼休み。
 唐突にそう言った陵刀に、鉄生はきょとんとした顔を向けた・・・・・。





  『危険なハロウィーン』






「歯、ロウ・・・いん?」
「う〜ん、できれば歯に・・・じゃなくて、君のこのへんに垂らしたいもんだ
ね♪蝋燭のロ・ウvv」
 鉄生の胸元を指先でツツーと辿りながら、陵刀が言う。
 己の欲望を忠実に織り交ぜた何とも高度なツッコミである。
「なっ、なっ、何言って・・・・・////」
 案の定、真っ赤になる鉄生。
「ま、それは置いといて。ハロウィーンっていうのはね、キリスト教の聖人
たちを祝う11月1日の『万聖節』と古代ケルト人の大晦日にあたる10月
31日の風習が合体したと考えられていてね・・・って、難しいこと言っても
鉄生君にはわからないか。う〜ん、つまり・・・子どもが大人からたくさんお
菓子を貰える日なんだ。ちなみにこれは10月31日、つまり明日だよ。」
「え!?お菓子?」
 嬉しそうな鉄生は、どうやら自分が貰える側だと思っているらしい。
「フフ。鉄生君、君はもう大人なんだから、永田似園の子ども達にむしろあ
げなきゃいけないんじゃない?」
「へ?あっ、そっか・・・。」
 途端にシューンと沈む鉄生に、内心ニヤリ☆とほくそ笑む陵刀。
「じゃあ、鉄生君には僕があげるよ。とっておきのパンプキンパイをね。」
「ほんとか!?パ、パンプキンパイ・・・」
 ジュルリと涎を垂らしそうな勢いで、遠くを見つめる鉄生。彼の脳裏には、
すでにかぼちゃが踊っているに違いない。
「だから明日は、仕事が終わったら僕の家においで?」
 にっこりと微笑む陵刀に、
「おう!」
 と元気良く返す鉄生。
「あっ、そうそう。そのときには合言葉として『Trick or Treat!』って言
うんだよ?」
「トリック オア トリート?」
「うん、そう。これは『お菓子をくれないといたずらしちゃうぞ。』って意味な
んだ。」
「ふぅ〜ん。」
 なんだかよくわからないながらも、頷き、今の言葉をしっかりと書き留め
る鉄生。パンプキンパイのためなら、何でもする勢いだ。
 それを横目で見ながら、陵刀はウフフフと妖しい笑みを浮かべていた。





 翌日の夜―――
 陵刀宅を訪れ、開口一番、メモを見ながら「トリック オア トリート」と言っ
た鉄生に、白々しく「ごめーん、まだパンプキンパイ完成してないんだ♪」な
どと言いながら、「だからいたずらしちゃってもいいよ。さあ、どうぞ!」とにじ
り寄り、さらにどうして良いかわからず困ってワタワタしている鉄生の耳元で、
「君がいたずらしないなら、僕が代わりにしちゃおっかな♪」などとのたまっ
て、そのまま朝まで鉄生に『いたずら』し続けた陵刀は、確信犯以外の何者
でもない。


 結局、鉄生がパンプキンパイにありつけたのは、ハロウィーンの終わった
翌日の午後のことだった・・・。
 しかも、その日起き上がれなかった鉄生は、ベッドの中でそれを食べたと
いう―――――。



  
 Happy Halloween?







                                         【END】








[後書き]
久しぶりの更新がコレかよ?と思わず自分でツッコんでしまったり(苦笑)。
何だか中途半端でごめんなさい。相変わらず(?)鉄生君がバカでごめん
なさい(笑)。まあバカな子ほど可愛いって言いますし←オイ
実はハロウィーンって何だか好きですvvだって、デパ地下とか行ったら可
愛いかぼちゃのお菓子とかいっぱい売ってて、見てるだけで楽しくなっちゃ
ったりしませんか?・・・え?私だけ?(泣)
でも買わないんですよ、見てるだけ(笑)。でも1個くらい買って飾りたいな、
ジャックオーランタンのお人形とかvv
って、全然SSの後書きじゃないし(爆)。え〜っと、こんなヘタレSSですが、
ハロウィーンに間に合うように頑張りましたので、ご感想など頂けましたら
嬉しいです(ペコリ)。
いや〜それにしても、ハロウィーンには『いたずら』という美味しい(?)キー
ワードがあって、書いてて楽しかったです♪(笑)




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