029.デルタ
サブタイトル 『デルタ警報発令中』 by紅月しなの
ワイルドライフ: 賀vs陵×鉄
初対面は―――穏やかだった。 少なくとも表面上は。 人の裏というものを見ることのない純粋な鉄生には、だから2人の対面がとても自然なもの であると感じた。 しかし実際は、こんなかんじだった。 「初めまして、賀集です。」 「初めまして、二科(ワイルドライフ)の主任、陵刀司です。」 「両刀?」 「はい?」 ボケた賀集の切り返しに、うっすらと陵刀の額に青筋が立った。 しかしさすがは賀集、鉄生の師匠なだけあって、反応が鉄生そのままである(普通逆のよう な気もするが)。 「あっ、いえいえ。鉄生君の上司の方ですね。いつもうちの鉄生くんがお世話になってま す。」 賀集がにっこりと笑えば、 「いえいえ、こちらこそ。鉄生クンはいつも色々と頑張ってくれてますから。保護者役の方 はどうかご安心下さいね。」 陵刀も口端を歪めて微笑む。 だが2人とも目は全く笑っていない。 この光景を見て、師匠と陵刀って案外気が合うんだな・・・とか思っている鉄生は、相当なア ホか・・・それともある意味スゴイ奴なのか・・・まあおそらく前者であろう。 とにもかくにも、こうして賀集と陵刀の最初の対面は、無事(?)終了したのであった――― 午前中、鉄生の仕事ぶりを見学し、食堂で昼食を取った後、ポツリと賀集が言った。 「じゃあ、そろそろ帰ろうかな。」 「えっ!?」 「鉄生君の勇姿も見れたしねv」 ウインク付きでそう言って、賀集は嬉しそうに笑った。 「師匠・・・・///」 「これからも頑張ってね?あっ、こんなこと僕が言うまでもなく、君はいつも頑張っているけれ ど・・・。」 「俺・・・俺、師匠に少しでも近づけるように頑張るから!」 「ダメダメ、僕なんかを目標にしてちゃ。君はもっともっと素晴らしい獣医になれるよ。その愛 する気持ちさえあれば―――。」 「ししょぉーーーっ。」 ついに鉄生は半泣き状態で賀集に抱きついた。 今まで押さえていた色んな感情が、一気に吹き出したからだ。 「鉄生君・・・。」 賀集も鉄生を抱きしめ返す。 温かいその包容力のある両腕で。 「いつ、あっちに帰るの?」 泣きながら鉄生が問う。 「うーんとねぇ、まあ明後日には戻ろうかと・・・。」 「あさって!?」 「うん。」 「・・・・・・・」 「寂しい?」 「・・・バ、バカッ!さ、寂しいにきまってんだろぉ〜っ!!」 「本当は君を連れて行きたいくらいなんだけど・・・。それはちょっと後ろの人が許してくれそう にないかな?」 茶化すように言う賀集の正面(つまり鉄生の真後ろ)には、陵刀が立っていた。 額に青筋を浮かべて。 「ええ、鉄生クンは我が二科にとって大切な人材ですからね。そして僕にとっても―――」 「え?」 鉄生が恐る恐る振り返るのと、陵刀が賀集から鉄生を引き剥がすのは、ほぼ同時だった。 「まあ今回のところは引き下がるとしましょう。しかし―――いずれは鉄生君を迎えに来るつも りです。それまでどうか鉄生君をよろしくお願いしますね?陵刀先生。」 「言われるまでもありません。そ・れ・に、迎えにではなく、遊びに・・・の間違いじゃないんです か?賀集先生。」 「ハハッ・・・面白い人ですね、陵刀先生は。」 「フフフ・・・あなたには負けますよ、賀集先生。」 2人が壮絶なバトルを繰り広げる中、当の本人(鉄生)はというと――― (師匠と陵刀って、どっちが年上なんだろう・・・?) そんなことを真剣に考えているのであった・・・・・。 賀集vs陵刀 第1回戦―――『引き分け』 【END】 な、なんか微妙なものを書いてしまった・・・(吐血)。陵刀先生は言わずもがなですが、賀集 師匠も負けないくらいの曲者なんじゃないかと思う今日この頃(っつーか、それ希望)。 2人の対決は静かに熱く(笑)。で、鉄生クンは何も気付いてません。ビバッ!天然v(オイ) 陵刀先生の年齢はこの際置いとくとして(えっ?)、賀集師匠の年齢が気になります。そして 下の名前も気になる・・・。だって鉄生君に名前で呼ばせたいじゃないですかぁ〜(笑)。そん なわけで、原作での再登場を切実に希望します!藤○先生、よろしくお願いしまっす!! って、なんか話し逸れまくってる・・・・(汗)。今回のお題は、『デルタ』=『Δ』→『三角』→『三 角関係』という流れで書きました。わかりにくくてすみません(というか、強引すぎ/爆)。 |