気付かないプロポーズ





「朝日奈っ!」
「はい、何でしょう?宗近さん。」
 怒ったように言う宗近に脅えもせず、朝日奈大はにこやかに返した。
 いや、むしろのほほーんと言った方が正しいだろう。
「なんでだよ!?」
「・・・何がですか?」
 ガクッ
 宗近は思わず脱力する。
 こののんきさが大のいいところだ・・・いいところなのだが・・・今はやめても
らいたかった。
 怒り心頭している今だけは。
「だから・・・、何で高里なんかの手土産を受け取ったりしたんだよ!?」
「・・・ダメでした?」
「いや、その・・・ダメっつーか・・・・・あいつは信用ならねぇ奴だから、今度は
何を企んでやがるのか・・・心配なんだ。朝日奈を名指ししてきたことも気に入
らねぇし、とにかくお前に何かあったらと思うと・・・。」
「宗近さんの気持ちは嬉しいです。でも・・・」
 大はゆっくりと顔を上げ、宗近と視線を合わせた。
「それでは一歩も前には進めません。」
 大の瞳が宗近を射抜く。
 真っ直ぐで、純粋な、その瞳が。
「朝日奈・・・」
 宗近は、だんだんと大に飲まれていく自分を自覚していた。
「まずは信じるところから始めてみませんか?」
 大の口調は柔らかかったが、宗近には何故かそれが絶対的な響きに聞こえ
た。
「ああ。信じる・・・信じるぜ。俺は朝日奈を信じてここまでついて来た。それは
これからも変わらねぇ。俺はお前を信じてついて行く―――永遠に。」
「え?あの・・・ではなくってですね、今は高里さんの話を・・・・。」
 大は微妙にズレた会話の軌道修正を図ろうとしたのだが、それは次の宗近
の言葉にあっさりと掻き消されてしまう。
「高里なんか知ったこっちゃねぇ。でも朝日奈が奴を信じるというなら、俺も信じ
る。さっきはお前を疑うようなこと言っちまって、すまなかった。許してくれ!!」
「・・・宗近さん////」
 大の顔に笑みが浮かぶ。
 しかしこのとき大は気付いてはいなかった。
 先程の宗近の言葉が、プロポーズも同然だったということを―――
 そして恐らく言った本人も、気付いてはいない。
 自覚のないまま、2人の間で確かにプロポーズは交わされたのであった・・・。





                                            【END】






[後書き]
というわけで(?)、HP開設記念SSは、『鬼組』でお送りしました(いきなり
マイナー系ですみません/汗)。ちょっと宣伝させて頂きますと、『鬼組』は月刊
少年チャンピオンで只今第3部が好評連載中です!!(と言っても、紅月はコミ
ックス派なので読んでおりませんが←殴)単行本(コミックス)は、1〜16巻(以
下続刊)が秋田書店さんから出ていますvv←2003年8月上旬現在。
紅月は、主人公の朝日奈大君総受推奨・・・なのですが、実はこれはマイナー
で、他カプのがメジャーだったりします(某兄弟とか)。が、私は負けません!(笑)
今回のお相手(爆)の宗近(和寿)さんは、最初のうちはあまり出てきませんが、
第2部からはいっぱい登場してくれますし、特に8巻は宗近×大のバイブルであ
るとここに宣言します!!(←しなくていい)大くん受では、実は(御堂)茜×大が
一番メジャーで、私もこのカプも宗大の次くらいには大好きなのですが、なにしろ
茜ちゃんは謎が多くって、どう書いていいやらわかりません(苦笑)。なので、今
は書くかどうか迷っているところだったりします・・・。なんだか本文よりも宣伝の
方が長くなりそうな勢いですね(汗)。まだ未読の方は、よろしかったらぜひ御一
読下さいませvvカッコイイあんちゃんから美形なあんちゃんまで、よりどりみどりで
すヨ!(笑)←最後まで宣伝か?(爆)




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