「ねぇ、鉄生クンvv ―――海は好きかな?」
 きっかけは、陵刀の何気ない(ように聞こえる)一言だった。
「おうっ、好きだぜ。もちろん。」
「そう・・・vv」






   『幸福と嘆きの海』






 時はお昼休み。
 場所は二科(ワイルドライフ)。
 陵刀と鉄生は何故か2人きりだった(笑)。
「じゃあ、行こう!」
「へ?どこへ?」
「だから・・・海に。」
「はぁ?」
「だってさっき好きだって言ったでしょ?」
「いや、言ったけどよ・・・誰が行くって言ったよ?」
「やだなー、もうっ。好きだったら行きたいに決まってるでしょ?」
「そ、それなんかむちゃくちゃ・・・・」
「でね、うちの別荘が海の近くにあって―――」
「おい、人の話聞けよ!」
「スッゴク景色もいいし、なにより海水浴場としては穴場で、今のシーズンでも貸し切り
状態で泳げるんだよ!」
「いや、だから・・・・」
「貸し切りだよ、貸し切り♪」
「・・・っっ・・・・」
「じゃあ次の連休でいいね?海パンだけ持ってくれば、後は何もいらないからvv」
「・・・・・はぁ―――。」


 こうして一方的な話し合いにより、陵刀と鉄生は海に行くことになったのであった・・・。






 陵刀と鉄生と『犬』の2人と1匹は、陵刀の車で別荘に向かっていた。
 いつもは面倒くさいことは大嫌い・・・の陵刀なのだが、今日だけは珍しく上機嫌で車
のハンドルを握っている。
 口元に浮かぶ笑みは、一体何を考えてのことなのか―――助手席に座る鉄生にはそ
れを問い質すだけの勇気はなかった。
 ちなみに『犬』はどこに座っているのかと言えば、後ろの座席・・・ではなく、鉄生の膝
の上で丸くなっていたりする。
 時折顔を上げては、キョロキョロと物珍しそうに外の景色を眺める様が、なんとも微笑
ましい。
 鉄生も犬の頭を優しく撫でながら、窓から吹き入る風に目を細めていた。
 穏やかな時間―――
 しかしそれは、もちろん嵐の前の静けさにすぎなかったのである・・・・・・。






 別荘に着いた早々、陵刀と鉄生は荷解きもせず、別荘のテラスから正面に見える大
海原へと繰り出した。
 青い水面(みなも)に輝く太陽の光が目に眩しい。
 早速、海に飛び込もうとした鉄生は、
「あっ、待って!鉄生クン。」
 陵刀の声に、なんとか海に片足を突っ込んだところで踏み止まった。
「なんだよ!?」
「水に入るときはまず準備運動をしてから・・・って、小学校のときに教わらなかった?
鉄生クンvv」
「うっ・・・わ、わーったよ。」
「じゃあ始めるよ。ラジオ体操第一〜♪」
(小学生の夏休みかよ!?)
 鉄生は心の中でツッコミつつも、真面目にラジオ体操をやり始めた。
「ニイニッ、サンシッ、ゴーロック、シッチハッチ・・・・・」
 深呼吸をしてようやくラジオ体操終了。
「もういいだろ?」
 鉄生は今にも海に飛び込みそうな勢いだ。
 目の前に海が広がっているというのに、いつまでもお預けをくらっていては堪らない。
「いいよ。でも転ばないように・・・」
 と陵刀が言いかけたとき、走って海に飛び込もうとした鉄生が、岩場の縁(へり)に足
を引っかけ、バランスを崩した(というか、今まで岩場にいたんです!/汗)。
「危ないっ!鉄生クンッ!!」

 バッシャーン

 次の瞬間、陵刀と鉄生は海の中にいた。
 バランスを崩した鉄生を陵刀がとっさに支えたものの、勢いのついた鉄生を完全に止
めることは出来ずに、結局2人して海に転落したのである。
 しかし陵刀の支えのおかげで、なんとか2人とも受身は取れていた。
「フウ・・・鉄生クン大丈夫?」
「・・・ゲホッゴホッ・・・ハアハア・・・・・な、なんとか。わ、わりぃ、陵刀。」
「うぅん。鉄生クンが無事でほんとに良かったvv」
 なんとか呼吸を整えた鉄生は、今の状況がどういうものであるかということにようやく
気付いた。
 と思ったら、体が条件反射的に陵刀の腕から逃れようとする。
 そんな鉄生の様子に気付いた陵刀は、口端に不気味な笑みを浮かべて―――
「とりあえず1回上(岩場)に上がろうか?ケガでもしてたら大変だしね。」
 怖いくらいの優しい声音で言った。
「お、おうっ。」
 これで陵刀との密着状態から解放される・・・そう思って安心した鉄生は、やはりという
か甘かった。
 岩場に上がって、ホッと一息ついた鉄生は、ふと影を感じて顔を上げ―――
「ヒッ!」
 と声にならない悲鳴を上げた。
 陵刀の顔が目の前にあった。
 そのまま肩を押されて、倒れ込む。
 再び密着する体―――。
「うわっ、どこ触って・・・」
「どこって、鉄生クンのあ・・・・・」
「うわぁーっ、言うな!何も言うなーっ!!」
「フフフッ、相変わらず照れ屋さんだねvvいつも初々しい反応を返してくれるから、つい
つい意地悪したくなっちゃう♪」
(ゾッ・・・)
 鉄生の背筋に悪寒が走る。
 前々からうすうすそうだろうとは思っていたが、陵刀のサドっ気を垣間見たようで、正
直恐ろしい―――。
「ねぇ、鉄生クン。日の当たる場所でするのもいいもんだと思わない?」
「・・・・・・ちなみに聞くけど、何を?」
「フフッ、わかってるくせにぃーーっ。」
 この会話が、会話らしい会話の最後だった。
 この次に鉄生が発しようとした言葉は、あいにく陵刀の唇に吸い取られてしまったから。
「んっ・・・・・んんっっ・・・・・・・」
 岩場の平らになった場所で、鉄生は仰向けに寝転がっていた。いや、無理矢理陵刀
に押さえ込まれていた。
 触れ合う素肌と太陽の光が熱を煽る。
 唇の隙間から差し込まれた舌が、鉄生の口内を蹂躙し、思考の全てを奪っていく。
「・・・んっ・・・んふっっ・・・・・あっ、もっ・・・苦しっっ・・・・・」
 深い深い口付けの後、鉄生の体からはすっかり力が抜けていた。
「はあっ・・・はあっ・・・・」
 荒く息を吐く鉄生の唇からは、どちらのものともわからない唾液が一筋流れている。
 それを陵刀がペロリと舐め取った。
 次の瞬間―――
 陵刀は鉄生が唯一身に付けている海パンを一気に引き下ろした。
「あっ・・・////」
 鉄生の顔が羞恥に赤く染まる。
「鉄生クンッ・・・もう我慢できないっっ!!」
「ああんっ。」
 突然、自身を握り込まれ、鉄生がビクンと仰け反る。
 そのまま上下に扱かれ、
「あっ・・・やっ・・・・はなっ・・・んんっっ・・・・」
 さらにビクビクと体を震わせ、快感に喘ぐ。
 陵刀の手の動きがさらにスピードを増し、唇で鉄生の片方の胸の突起を吸い上げる。
「ああんっっ。」
 一際大きく鉄生が仰け反る。
 そのまま舌先で転がされ、甘噛みされて、鉄生は涙を零して喘ぎ続けた。
「あっ・・・い・・や・・・いやだっ・・・もうっ・・そこっ・・・・」
「フフフ・・・いいの間違いでしょ?だって鉄生クン、僕がここを舐めるたびに、どんどん固
くなってきてるよ?ほら、見てごらん?」
「やっ・・・・」
 陵刀の露骨な表現に、鉄生はさらに顔を赤らめた。

 ピチャッ

 今度はもう1つの胸の突起に陵刀が舌を這わせる。
「あんっ・・・」
 上は胸を舐められ、下は自身を扱かれて、鉄生はどんどん追い込まれていく。
 そして―――
「あっ・・・もっ、ダメ・・・・イ・・イクッ・・・」
 鉄生の声に、陵刀が先端を引っかき、促した。
 瞬間―――
「あああーーーっっ!!」
 鉄生は欲望の証を陵刀の手に放っていた。
「ハア・・ハア・・・」
 少し経って、放心状態の鉄生の耳に、悪魔の囁きが注がれた。

『鉄生クン・・・まさかこれで終わりだなんて思ってないよね?』



 その頃『犬』は、別荘のテラスに紐で括りつけられ、身動きが取れずにいた―――。





「なっ、なにそれ・・・?」
 怯えたように聞く鉄生に、陵刀はニッコリと笑って告げた。
「何って、ただの日焼け止めローションvv媚薬じゃなくってガッカリした?」
(するかーーっ!!)
 とりあえずこの状態でもツッコミを忘れない鉄生であった。
(って、待てよ?)
「そ、それ・・・一体何に使う気・・・・?」
「そんなの鉄生クンの○○○の××に塗るに決まってるでしょ。」
「なっ!?」
(使い方間違ってるだろ、それぇっ!?)
 鉄生の心の叫びが通じたのか、陵刀はさらにニッコリと微笑みながら、こう言った。
「大丈夫。このローション、石鹸で洗い流せるタイプだから。僕が後で責任を持って洗っ
てあげるから、安心してvv」
(ギャーーーーーッ!!)
 鉄生の声にならない叫びは、陵刀がローションを手に取って、鉄生の双丘に指を這わ
せたことで、あっという間に掻き消された。
「あんっ・・・やっ・・・・・んんっっ・・・・」
 少しずつ指を埋め込まれ、慣らされていく。
 指の本数も、いつの間にか3本に増えていた。
「はぁっ・・・」
 指が引き抜かれ、鉄生の体がビクリと震える。
「鉄生クン、いくよ?」
 陵刀の熱い吐息が耳にかかり―――
「あああーーーーーーーっっ。」
 太くて固い陵刀自身が、鉄生の中へと入ってくる。
 ゆっくりと時間をかけて全てを鉄生の中におさめてから、陵刀が動き出した。
 今度は性急に。
「ああっ・・・あんっ・・・・あっ・・・・・はぁんっ・・・・・」
 激しい動きに、鉄生はガクガクと揺さぶられ続ける。
 息をする暇さえ与えられずに。
 そして―――
「鉄・・生クッ・・・」
「あっ・・・りょ・・とっ・・・」
 陵刀が鉄生の最奥に自身を突き立てた瞬間、2人は同時に果てていた。
 後に残るのは、甘い脱力感・・・。



 その頃『犬』は、ようやく紐を噛み千切ることに成功し、自由を手に入れていた―――。





 後日談―――
 結局、鉄生はこの連休中、一度も海で泳ぐことはできなかった。
 それどころか、海に入ったのは、初日に足を滑らせて転落したそれ1回きりである。
 それ以降は、腰が言うことをきかず、ずっとベッドの中で過ごしたことは言うまでもな
い。
 まんまと陵刀の罠にはまった鉄生―――と『犬』であった・・・・・・。






                                                【END】








[後書きという名の言い訳?]
・・・・・えーっと、とりあえずこんなんですみませんー(>_<) 一応、18才未満のお嬢様
方にも優しい『裏』(表現とかを比喩的にしてみたりとか/寒)を目指してみました(笑)。
逃げない・・・逃げない・・・と呪文のように唱えながら書いた結果、エ○シーンが長くな
りすぎました(遠い目)。その他、青●というコンセプトを全く生かせてないとか、海に落
ちたはずなのにそういった描写(濡れている)が全くないとか・・・etc.ツッコミどころ満
載でお送りいたしました(土下座)。全体に流れているギャグ風の空気は、もはや私の
作風(作風!?)ですので(そして『犬』ちゃんスキーなので、ところどころに『犬』ちゃん
の姿が!!/笑)、お気になさいませんよう・・・。あっ、あと遅くなってしまって本当に申
し訳ないです!海の話だったのに、時期が外れまくってしまいました(汗)。
それでは、色々すみませんでしたと言い訳しまくったところで、さよーならー(逃亡)。



↑ 上の[後書き・・・]は、お送りした方々への謝罪の言葉でした(汗)。上でも少し触れていますが、
私の書いたお題は『海で青●』(伏字必須/笑)だったんです。いや〜私的にめちゃくちゃハード
でしたヨ!なにしろ私、裏系は全てベッドの上・・・しか書いたことがなかったんですもの(乾笑)。
でも久しぶりに裏書いて、ちょっと楽しかったのも事実(オイ)。まあやはり書くより読む方が好きです
けどねぇ(←コラコラ)。そんなこんなで、玖様に頂いた小説の素敵さには到底及びませんが、紅月の
初陵鉄裏SS、少しでもお楽しみ頂けましたら幸いですvv感想とか頂けたら、裏の更新またしちゃう
かもしれませんよ〜(と図々しくおねだりしてみる←撲殺)。そしてそして、あと2作裏小説を頂ける
予定になっておりますので(いつになるかはまだ未定ですが)、そちらもぜひぜひお楽しみに〜♪






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