気づけ気づけ気づけ・・・・
頭の中で何度も反復してる。
空は晴れ。
仕事も休み。
俺は今日、木ノ宮を公園に呼び出しベンチに座っている。
天も味方して天候もいいし、周りに人気もない。
絶好のチャンスだ。
俺は今日、木ノ宮にこの想いを伝えようと決心した。
ちらりと隣を見やればぼーっとして遠くを眺めているあいつ。
こうやってほけほけしているから不安なのだ。
木ノ宮に想いを寄せている輩は非常に多い。
中国人にアメリカ人、ユーロにロシア。
一番近くにいると自負してはいるものの、やはり不安で。
そのうち、隣からかっさらわれそうで。
「カイー。そんな眉間に皺寄せてるとそのまんまになっちまうぞー?」
急に声をかけられるから少し驚いた。
表情にほとんど変化はないだろうが。
「ああ。」と返事をするとはにかむその顔。
不思議と俺の表情まで柔らかくなってしまう。
「でも、珍しいなー。カイが俺を誘ってくれるなんて。」
「・・・・別に、たまたま休暇が取れただけだがな。」
「だけどさ、俺実はすっげー嬉しいんだ!カイってなんかいつもすかしてて一人でいるから。」
そう言って笑顔を見せる。
俺はこの笑顔に弱い。
笑われると何もいえなくなってしまう。
もし、この想いを告げても、木ノ宮は俺にこの笑顔を向けてくれるだろうか?
俺は隣に並んでいられるだろうか・・・・・。
「あ!アイスだ!カイ!アイス売ってるぜー!!!」
「ああ・・・・買ってやろうか?」
「マジ!?うっわー。カイどうしたんだ!?今日優しいじゃん!!」
「・・・・木ノ宮のためだからな。」
「・・・・マジで熱でもあんじゃねえの?」
そんな失礼な台詞を吐きつつ俺の顔を覗き込んでくる木ノ宮。
上目遣いなその表情に俺の心臓が思いっきり鼓動を打つ。
赤くなるそうな顔を隠してアイスを買うために思いっきり走った。
「・・・・どうしたんだあいつ。」
ぽそりと木ノ宮がつぶやいた。
「ん〜v美味いvカイありがとう〜〜〜v」
俺の買ってきたバニラアイスを食べながら幸せそうに微笑む。
何故か満足感を感じる。
餌付けとはこういう気分なんだろうか・・・。
「おい。ついてるぞ。」
「え!?マジ!?どこどこ??」
!
俺ながらありがちな事を思いつきにやりと笑う。
その俺を見て木ノ宮があとずさった。
木ノ宮いわく「こういう顔してるカイはろくなことな考えてない。」だそうだ。
「俺が取ってやろう。」
「え!?いいって!別に!!」
思いっきりぶんぶん振る手首をつかんで制する。
力を入れれば折れそうな細い手首。
そのまま俺は木ノ宮の頬についているアイスを舌で舐め取った。
「うひゃあ!!」
もっと色気のある声を出せと思うが、木ノ宮にそんな事請求しても無駄だと分かっている。
「・・・甘いな。」
「な・・なにすんだよお〜!!!」
「取ってやったんだろう。有難く思え。」
「だからって・・・舌で取ることないじゃんか〜〜!!」
今にも零れそうな大きな瞳がうるうると涙でいっぱいになっている。
・・・・目の毒だ。
「と・・ところで、なんでカイ、今日俺を呼び出したんだ???」
「!!・・・それは・・・。」
今日、こいつに言おうと決めたから。
今日じゃないと・・・今日は・・・・。
「俺は・・・・・俺は・・。」
「ん?何ー?」
苦しくなる胸。
早く鼓動を打つ心臓。
見た目に出ないように気をつけて。
恐怖心を押さえつけて。
言え。言うんだ火渡カイ。
「俺は――――」
「あ、俺もう帰んなきゃ!わりい。今日実は祖父ちゃんに頼まれ事されててさ。」
「!!??」
そう言ってベンチから飛び降りる木ノ宮。
「じゃあな〜。」
走り去っていくその背中を寂しそうに見送って。
・・・・言うなと言われてるようなきがした。
言わないほうが得策かもしれないな。
「カーイー!!!」
遠くの方から木ノ宮が叫んでいる。
「誕生日おめでとおー!!!!!」
「!?き・・貴様・・知ってたのか!?」
顔が少し紅潮してしまった。不覚だ。
まだまだ望みはあると思っていいのだろうか?
いつか伝えるその日まで
木ノ宮は絶対誰にも渡さない。
おわり。
あとがき
おわああー!スランプー!
キリリクの品です。カイ様が、がんばって想いを伝えようとするけどそれに気づかないタカオちーです。
リク、消化できてますでしょうか?
カイ様が微妙にへたれになっちゃってます。
かっこいいカイ様が好きなのにー!
カイ様視点で書くとどうしてもへたれになってしまいます!
こんなのでもOKでしょうか?
新居まきなでした。
紅月の感謝の気持ち |
新居まきな様、素敵にヘタレたカイ様を本当にありがとうございますー(違)。 もうもうっ、私の変なリクをここまで完璧に叶えて頂いて、なんとお礼を言っていいやら。 感謝感激でございますvvカイ様の心の声がツボすぎます!『言え。言うんだ火渡カイ。』 って、なんて可愛いの〜カイ様(←オイ)。もちろんタカオちゃんも激可愛いですvv 最後にカイ様に『誕生日おめでとおー!!』と言ったタカオちゃんが素敵すぎでした♪ こうやって皆タカオちゃんにオチていくのですね(っつーか、カイ様はすでにオチまくって る後ですが/笑)。アイスクリームを舐め取るシーンには、思わず「こ、公園にバカップル が・・・っっ!!」と呟いてしまった紅月です(笑)。 まきな様、素敵なカイタカ小説を本当に本当にありがとうございましたーvv |