『本気だからね?』





 ねぇ、僕は君に本気なんだ。
 だからもう―――逃がさないからね?



「うわぁーっ、来るなぁっ!」
 今日も始まる追いかけっこ。
 逃げるのは、君。追いかけるのは、僕。
「フフフ・・・」
 僕の笑みをどう取ったのか、君の顔が真っ青になった。
「犬、全力疾走だ!」
 隣りにいる犬―何故か一緒に逃げている愛犬―に合図して、
彼―岩城鉄生―は、階段を一段飛ばしで駆け上がって行く。
「ワゥ!」
 御主人様に忠実な犬も、スピードを上げてついて行く。
 僕はもちろん追いかける。
 どんどん間合いを詰めて行く。
 早いでしょ?僕は。―――本気だからね?
 あっという間に、鉄生クンに追いついた。
 彼の腕を掴み、引き寄せる。
「あっ。」
 と短い悲鳴を上げて、鉄生クンは僕の胸に倒れ込んできた。
 もう離してあげないよ?
 君は僕のモノだから―――
 しばらくたって、ふと彼が大人しく僕の手中におさまってい
ることに違和感を覚えて、彼の顔を覗き込んでみた。
 ―――真っ赤だった。鉄生クンの頬。
 脈アリ!僕はそう確信した。
 もう我慢してあげない。
 あーんなことやこーんなこともしちゃうよ?
 覚悟してね?鉄生クン。
 僕は―――本気だからね?





                                    【END】





初書きのワイルドライフSSでした。ヒャーッ、勢いのままに書いたっ
てのがバレバレですね(汗)。自分で書いておきながら「あーんなことや
こーんなことって?」とかひそかにツッコミ入れてました(アホ)。
素敵企画「みんなで鉄生受け祭り☆」様に拾って頂いた思い出深き1作
です(感謝!)。






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