『甘い囁き』(WL:陵鉄)




「ねぇ、鉄生君v 今、君が一番欲しい物って何?」
 いつもながら唐突な陵刀の問いかけ。
 それに慣れ切っている鉄生は即答した。
「ドデカ焼き鳥丼1年分!」
「あ、相変わらずの食い気だねぇ。」
 呆れたように言いながら、陵刀は『やっぱり正攻法じゃダメかな?』
と心の中でそっと呟く。
「じゃあ、食べ物以外だったら?」
「う〜ん・・・」
 今度は即答できない。鉄生の中では、よっぽど食い気が優先され
ているらしい。
 しばらく考えて答えの出ない鉄生は、矛先を陵刀に向けてきた。
陵刀の思惑どおりに。
「そういうおまえはどうなんだよ?」
「フフフ、聞きたい?」
「えっ?い、いや・・・」
「そんなに聞きたいんだね?」
「いや、だから別に・・・」
「そこまで言うなら教えてあげる♪」
「いや、そこまでって・・・何も言ってねぇし!」
 鉄生のツッコミをさらりと無視し、陵刀は妖艶な笑みを浮かべなが
ら鉄生に近付く。
 そして―――

『僕が欲しいのは、鉄生君の愛だよv』

 耳元で甘く甘く囁くのだった。










  『王子様のキス』(鬼組:茜大)




 昼休み―――
 大は御堂茜を探して校内を走り回っていた。
「もーうっ、どこ行ったんだ?あいつ・・・・・あっ!」
 ふと、校舎裏のある一角を思い出す。あそこはちょうど校舎から
の死角になっていて、昼寝をするにはちょうどいい環境なのだ。
 早速行ってみると、やはり茜はそこにいた。
 ペットのスイカとともに木に凭れてスヤスヤと眠っている。
 あまりに気持ち良さそうなので、起こすのも悪い気がしたが、こ
れ以上授業をサボっては茜のためにならない!と、大は心を鬼に
して起こしにかかる。
「茜っ!起きろよ、茜。午後の授業に遅れるってば!」
 肩を揺さぶって起こそうとするが、茜は「う〜ん?」と呻いたきり
起きる気配がない。
 もうこうなったら『一発ぶん殴ってでも・・・』と大が物騒なことを考
えたとき、不意にガシッと手を掴まれ、大は悲鳴を上げる暇もなく、
目の前の男の胸に倒れ込んだ。
「なっ、何!?」
 慌てて顔を上げると、そこにはニヤリと笑う茜の顔。
 そして―――
「王子は姫君のキスで目覚めると相場は決まっておる。」
 などと戯けた(寝ぼけた?)ことを言う。
「それを言うなら、姫君が王子様のキスで!だろ。」
 思わず律儀にツッコんだことを大は後悔することになる。一瞬の
後に―――
「そうか、わかった。では茜王子がキスしてやろう。」
「は?なに言って・・・・・・って、ちょっ、ちょっと待っ・・・・て・・・・
んっ・・・・・んんっ。」


 その後、午後の授業に2人が出たのかどうか―――は、定か
ではない。










  『夕陽に向かって走れ!』(一歩:宮一)




 宮田一郎はクールで無口だ(少なくとも表面上は)。
 しかしその分、心の声は多かった。
 ランニング中の想い人(幕之内一歩)をこっそりと木陰から覗き
ながら―――

(幕之内・・・今日も可愛いなv)
(今日の赤いウェアも幕之内にとてもよく似合っている・・・v)

 などと心の中で呟くことは日常茶飯事。
 また、ジム帰りの一歩を待ち伏せ、先回りして向こうから偶然を
装って接触し、
「よう!」
 などと恰好をつけながら、右手の人差し指と中指を揃えて軽く上
げてみたりとか。
 その間、しっかりと心の中では、
(このまま幕之内を飯にでも誘うか?それともいきなり俺ん家に?
いやいや、それでは警戒されてしまう。まずは幕之内を酔い潰し
て、それから俺ん家に連れて行けば―――)
 邪な計算がなされていたりする。
 しばらく無言のまま己の考えに耽っていた宮田は、
「あの・・・宮田君?」
 一歩の遠慮がちな声にハッと我に返った。
 一歩の無垢な瞳が自分を見つめている・・・。
 その事実に、ドキーンッと宮田の心臓が音を立てて跳ね上がる。
「まっ、幕之内・・・」
「なに?」
「じゃ、じゃあまたな!」
 クルリと向きを変え、そのまま去ってゆく宮田。
 一歩の汚れなき瞳の前では、邪な心の声も一瞬にして消滅して
しまう。
(クッ、次こそ!・・・次こそは必ず幕之内を・・・・)
 そんな決意を胸に、夕陽に向かって走る男―――宮田一郎。
 彼の野望が叶う日は、果たしてくるのだろうか・・・?
 自分が去った後、一歩が「宮田君・・・いつ見てもクールでカッコ
イイvv」と(ある意味間違ったことを)思いながら、お目々キラキラ
乙女モードに入っていたことを、宮田は知らない―――。










 只今、勝手に萌えジャンルその1
  〜絢爛舞踏際よりキュベグラ(キュベルネス×グラム)〜


  『ああ、我が夢よ・・・』




「グラム、いいかげん観念して我が物となったらどうだ?」
「ヘッ、俺は俺の物だ。誰の物にもなったりしない。わかったら、
さっさと他を当たってくれ。」
「フッ、少し言い方が悪かったか・・・。わかった、訂正しよう。我
が妻となれ!」
「はぁ?」
「それなら構わないだろう?」
「いや、構うもなにも・・・それ以前の問題だろ!?」
「お前は料理も得意だそうじゃないか!ますます我が妻にふさわ
しい。」
「ど、どこからそんな情報が!?」
「フフフ、俺はお前のことなら何でも知っているぞ?グラム。」
「あ・・あはは・・・」
「よし、早速お前にあったエプロンを作らせよう。もちろん特注で。」
「・・・・・・」
「クククッ、裸エプロン―――我が夢がもうすぐ現実のものに!」
「・・・さっ、かーえろっと。」
「フリルもいいな・・・色はやっぱりピンクか・・・・」
 それからしばらく、グラムが去ったことにも気付かず、キュベルネ
スは果てしない妄想の世界に浸り続けていたという―――。










 只今、勝手に萌えジャンルその2
  〜ドカベンより(笑)シラトノ(不知火×殿馬)〜


  『嫉妬の行方』




「何を考えてる?」
「何も考えてねぇづら。」
「嘘をつけ!」
「・・・じゃあ当ててみろづら。」
「そうだな・・・俺のことだろ?」
「バーカッ。寝言は寝てるときに言えづら。」
「ちぇっ。じゃあピアノのことか?」
「違うづら。」
「じゃあ何だ?」
「だからさっきから何も考えてねぇって言ってるづら。」
「嘘だ!」
「フゥ、話が全然前に進まねぇづんづら。」
「誰のことだ?俺じゃない誰のことを考えていた?」
「(ムッ・・・)他の男のことづら!」
「なっ、何ィーーーーっ!?」
「バカには付き合ってらんねぇづら。俺はもう帰るづらぜ。」
「まっ、待て!話すまでは帰さないぞ。」
「知るかバカッ!勝手に1人で悩んでたらいいづら。」
「おいっ、とのま。」
「イタッ!離せづら。」
「わ、悪かった。もう言わないから、帰らないでくれ。」
「・・・・・目が言葉を裏切ってるづんづらよ?」
「えっ!?なっ、何を言って・・・」
(どうしても答える気がないなら、体に聞いてやる!/不知火心
の声)
「修行して出直して来いづら〜。」
「あっ、おい!とのまっ!!ま、待ってくれぇーーーっ!!!」

  今度こそ殿馬は、ズーラズーラと去って行った―――。










 以上が、WEB拍手のお礼SS(全5種)第1回分でした。
 まあ最初ということもあり、WLと鬼組は順当なCPで。あと、「版権
モノ(サイト内で扱っているジャンル)」では、『はじめの一歩』を選び
ました(ご意見を下さった方に感謝を込めてv)。でも宮田君が壊れ
すぎてて申し訳なく…(汗)。サイトジャンル外の2つについては、あ
まりお気になさいませんよう…(苦笑)。絢爛は最近のTV展開が少
〜し切ないながらも、楽しんで見ています(8月15日現在)。ドカは
何故か今頃ハマっている私…(笑)。秋○文庫でせっせと全巻揃え
ている途中だったりします(今は全31巻中24巻まで。でもその後も
大甲○園とかプロ編とか集める気満々だったりして/苦笑)。とにか
くとんまちゃん大好きv普段喋ってても語尾に「づら」とか付けたくな
るくらい(←アホ)。って、なんか気付けばドカ語りになってる?(汗)
 ではでは、上記のSS公開中に拍手をして下さった皆様、本当に
ありがとうございました>< 引き続き、第2回公開中もよろしくお願
い申し上げます(ペコリ)。




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