最近、クロサーの様子のおかしかバイ…。 そう言って、九里虎は拗ねた子どものように口を尖らせてみせるのだった―――。 『一緒の定義』 「はぁ?」 「だけんクロサーがワシに何か隠し事ばしとー思っとーやけど、ニシャどげん思う?」 「いや、待て待て待て。何故、その話題を俺にふるんだよ?」 「なしてて…クロサーの近くに1番おるとは、ニシやろ?」 「あ…まあ、お前の次くらいには、な。」 「ワシはそげんクロサーの傍にはおらんバイ。」 「いや、何言ってんだ。この頃いっつも一緒にいるだろうが。」 「それはただ一緒に歩いとーだけたい。」 「はぁ?それを『傍にいる』って言うんじゃないのか?」 「ただ並んで歩くだけば傍におるとは言わんバイ。問題は心の距離やなかかとワシ は常々思うとるったい。」 「………うーん、なるほど。(お前の)言いたいことは何となくわかった――と思う。」 頷いて九里虎を見やると、その横顔は今まで見たことがないくらい寂しそうで…十 希夫はうっかり同情しそうになった。 「確かにクロサーは『孤高の男』ってかんじがするよなぁ。誰にもなびかないというか ……。」 十希夫の呟きに、九里虎が過剰に反応を示す。 「そうたい!やっぱニシもそう思うとやろ!?」 「思ったんだけど、よ。」 「なんね?」 「お前って、ほんっとーにクロサーに惚れてんだな。」 「!? なっ、なななっ何言っ………」 あまりの驚きに、二の句が告げない九里虎を見て、十希夫はついに堪えに堪えて いた笑いを解放した。 「ハハハハッ、おまっ、真っ赤…グリコが図星さされて真っ赤になるなんて……アハ ハハッ…。」 「図星やったら悪かと?」 ヤケクソ気味に吐いた十希夫の言葉を肯定する一言は、 「ハハハハッ!」 ただ十希夫の笑いを増長させるだけだった―――。 その後、十希夫が闇討ちにあったかどうか…は、定かではない――――。 |