『愛の押し売り大作戦』 「ハニー♪ご機嫌いかが?」 季節は夏。真っ昼間の今の気温は、珍しく30度を超えていた。 そこにかかった能天気な声。 「すこぶる悪い。」 きっぱりと言い切ったセバスチャンに、声をかけた張本人―デイビッド―はめげる 様子もなく、アハハと楽しそうに笑った。 「そんなときは少し休憩でもして、デイビッド特製アイスティーなどはいかが?」 一瞬眉を顰めたセバスチャンだったが、すぐに『それも悪くないか…』と思い直し、 「頂こう。」 珍しく素直に頷く。 (ワオッ!) そんなセバスチャンに内心驚きながら、手早くお茶の用意を整えるデイビッド。 「さあ、どうぞv」 席に着き、ゴクゴクと美味そうにアイスティーを飲むセバスチャンを、向かいの席で ニコニコと見つめるデイビッド。 「お前は飲まないのか?」 不思議そうにセバスチャンが訊ねると、 「俺はハニーが飲んでる姿を見てるだけで幸せなんでvv」 などと歯の浮くような台詞を吐く。 「…………」 鋭いツッコミが返ってくることを予測して身構えていたデイビッドは、無言のままの セバスチャンに『あれれ?』と首を傾げ、そっと伺い見て――― 「ハニーっ♪♪」 嬉しさのあまり思わず身を乗り出して、セバスチャンを抱きしめた。 薄っすらと桃色に染まっていたセバスチャンの顔が、さらに真っ赤に染まったこと は言うまでもない。 ※最初の気温説明は、この「戦う!セバスチャン」の舞台であるフラ●クフルトをイ メージして書いております。ひそかにセバスチャン受な同士様募集中!(笑) |