可愛い人2(小話その2.5)





 とある殺人現場。
 助手のアリスをともなって現場内を歩く火村は、少し歩くと鑑識
官の1人がチラリとアリスを見、また少し歩くと今度は刑事の1人
がアリスに流し目をくれる・・・そんな状態にキレかけていた。
 アリスを見ている奴らのことごとくが、「ああ、有栖川さん。今日
も可愛いなvv」とか「有栖川さん、今日もなんてキュートな格好な
んだvv」とか、とにかくロクでもない事(しかし内容については否定
しない)を考えているであろうことは、わかりきっていたからである。
 当の本人―アリス―はというと、見られていることにさえ気づい
てなかったりするのだが・・・。
 とにかく。
 俺の可愛いアリスをあんな輩に見られ続けるなんて・・・もう我慢
ならない。
 そう思った火村は、本当は今すぐ連れて帰りたい気持ちをグッと
堪え(←一応立場上、フィールドワークを片付けてしまわなければ
ならないのだ)、せめてアリスには、端の方に待機していてもらおう
と思う。
 そして・・・『とりあえず窓際だな。』と即決する。
 アリスのことだ。窓際に行けば、窓の外をボーッと眺めている可
能性が高い。
 そうすれば、連中に背中を向けることにもなるしな・・・。
 よしっ。善は急げだ。
「アリス。」
 ん?とアリスが火村を見上げる。
 焦っていた火村は、言葉少なに告げた。
「邪魔だから、端の方に行ってろっ。あの窓際らへんがいいな。」
 途端にアリスはぷうっと膨れて、火村を無言で睨みつけた後、足
早に火村が示した窓際へと向かう。途中一瞬振り返って、ベーッと
可愛く舌をのぞかせるのを忘れずに・・・。
 火村はアリスのそんな態度に、すぐさま自分の失言に気づいた。
 そして・・・『あとでフォロー入れないとな。』と固く心に誓いつつ、
フィールドワークを再開するのだった・・・。



 その日、火村が事件を記録的なスピード解決に導いたとかそうで
ないとか・・・。
 ともあれ、無事にアリスと仲直りはしたらしい。





                                     【END】






[後書き]
『可愛い人』のひーさん(火村)バージョン・・・というか「火村はなぜ
アリスに邪魔だと言ったのか?」についての解答を載せた補足編
です(苦笑)。つまり火村は、色目を使う他の連中から早くアリスを
遠ざけたかったわけなのですねぇ(笑)。で、まあこのあとアリスバ
ージョンの場面へと移るわけです・・・。って順番違うじゃんか<私
(爆)。はっ!それより・・・ひーさんファンの方、ごめんなさいですー
(汗)。壊れまくってます、ひーさんが(←殴)。
・・・というわけで、逃げっ(←オイ)。

↑「可愛い人」を書いたとき、自分で書いたくせに「火村ってば酷い」
とか思って、慌ててこの補足編を書いた覚えがあります(アホだ)。
まあ結局、色目を使う連中から遠ざけたつもりで、鮫やんがアリスに
急接近しちゃってるあたり、「火村・・・(同情)」ってかんじでしょうか
(笑)。




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