Wild fancy





「今日は・・・俺の誕生日かー。」
 毎年、自分の誕生日のことなど、コロリと忘れてしまっている火村だ
ったが、今年は違った。
 今日の火村は何故かナチュラル・ハイだった(意味不明)。
 朝っぱらから、あらぬ妄想が頭を駆けめぐる。
 例えば、こんな具合だ。

 夜、ビールとつまみを持って、アリスがここにやって来る。
「おめでと!」
 アリスの言葉に、俺はとぼけてこう答える。
「ん?何がだ?」
 するとアリスは苦笑して、
「何ボケてんねん。今日は火村の誕生日やんか!」
 と言うだろう。
 それからは2人、飲み明かして―――
 アリスが酔った頃、俺は言う。
「アリス。プレゼントは・・・ないのか?」
「おれ・・・とかダメ?」
 酔っ払って潤んだ瞳が見上げてくる。
「ダメなわけがないだろう!」
 フッフッフッ・・・そして今夜こそアリスは俺のモ・ノ☆
 
 限りなく壊れてゆく火村の思考に、ツッコミを入れる者などもちろんな
く、火村は部屋で1人、朝っぱらから妄想パートUを繰り広げ始める。
 3○歳。男――火村英生。
 クールな外見に似合わず、内はホット(?)なただの○○○(←お好
きな言葉を入れて下さい)だった……。





 さて、ついに火村が楽しみにしていた夜がやって来た。
 心躍らせながら、火村は今か今かとアリスを待った。何の約束もして
いないというのに・・・。
 刻一刻と時間は過ぎてゆく。
 しかし何時(いつ)まで待ってもアリスは来ない。
 23時59分。
 もうダメか・・・と絶望的な気分に陥ったとき、部屋のFAXが受信を開
始した。
(・・・神よ!!)
 火村は信じてもいない神の名を心の中で叫んだ。
 しばらくして、ガガガガーッ・・・ビリリッという音がして、受信が終了す
る。
 火村は、アリスからの謝罪の言葉と祝いの言葉が書かれているであ
ろうその紙を手に取った。

「なんじゃこりゃーーーっ!?」

 その後、北白川に響いた悲鳴は、火村討ち死にの象徴だった……。


『ひむらー、メシ作りにきてーー。
 〆切りがぁーーーっ!!!』





                               NEXT STAGE?




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