魂の在処―火村side― ・・・好きだ。 言いたくて、でも言えない言葉。 ・・・なぜ俺の傍にいてくれるんだ?そもそも俺のことをどう思って いるのか・・・。 不安。焦り。嫉妬。 おまえのその笑顔が他の誰かに向けられるだけで、俺はいつも ギシギシと胸が締めつけられるような感覚に襲われる。 そんなこと恰好悪くておまえに言えやしないけれど・・・。 でも、いつもおまえの笑顔を独り占めしたいと、そう思わずには いられない。なんて愚かな、俺。 おまえの傍は居心地がいい。 ドス黒い血が流れているだろう俺の体を、そして心を、おまえは いつも温かく包み込み、癒してくれるから。 遠いあの日。 暖かく柔らかな光が注ぐ階段教室の最上段の席で。 俺は天使を見つけた。 光の中に溶け込んで、周りの一切から切り離されたかのように、 1人自分の世界に埋没する美しい天使を・・・。 俺は迷わなかった。 手に入れなければ・・・とそう思った。 気がついたら、その天使がせっせと書いている小説を手に取っ ていて、夢中で読んでいた。 続きを聞いてみると、まだ途中のその話には、あっと驚く真相が 待ち構えているのだという。 俺はそう言ったときの天使―彼―の瞳が、あまりに美しくキラキ ラと輝いていたので、とても続きが気になった。 その彼が描く小説という名の夢の世界のことが。そしてなにより、 今現実に目の前にいる彼自身のことが。 あとになって考えてみれば、あのとき俺がしたことは、明らかに ナンパだった。よくもまああれだけ大胆なことができたなと思う。で もそれだけ必死だったのだ、あのときの俺は。 今、俺の隣で優しく微笑むおまえ。 俺が苦しいとき、悲しいとき、いつでも傍にいて見守っていてくれ る。何も聞かず、ただ黙ってその笑顔で包み込んでくれる。 そんなおまえに甘え続けている俺を許してくれ。 そしてできるなら、これからもずっと俺の傍にいて欲しい。 俺はおまえがいるから生きていける。 おまえは俺の死神を消し去ってくれる唯一の天使なんだ。 俺はあのときから、ずっとずっと・・・ ―――好きだよ、アリス。 【END】 [後書き] 無謀な語りモノ《火村編》でした・・・(滝汗)。やはり語りっていうの は・・・難しいです。ああ、本当にお目汚しで大変失礼いたしました。 またアリス編の駄文とあわせまして、火村ファンの方およびアリス ファンの方に・・・ごめんなさい(ペコリ)。 ↑当時の後書き・・・いや、というかすでにコメント不可(遠)。 寒い、寒すぎるよ。またのタイトルを火村さんのナンパ言い訳編? (←オイ)とにかくこうして火村さんはアリスに一目惚れしたのでし た(笑)。良かったね、火村先生v←何が? あっ、そうそう。この『魂の在処』(2作)は、2001年にあったカレー 記念日企画(A.M.F.ラリー)様に投稿させて頂いたものでした。 うわ〜っ、懐かしい・・・(笑)。 |