魂の在処―アリスside―





 ・・・なんで俺を選んだの?
 聞きたくて、でも聞けないこと。
 ・・・俺ってキミにとってどれだけ必要?本当に必要とされてるの?
 日に日につのる不安。
 それでも傍にいたくて。離れられない。
 あの日。
 陽の光が注ぐ階段教室の最上段の席で。
 執筆中だった俺の小説を無断で読んだ、キミ。
 そして、「気になるな。」という一言で、あっさりと俺の心に入り込ん
だ、キミ。
 あのとき一緒に食べたカレーライスの味が、今でも忘れられない。
 それはきっとあのとき、俺の渇いた魂がキミの一言によって救われ
たからだと思う。
 キミは俺を助けてくれた。なのに俺は、まだキミを助けてはいない。
 俺ではキミを助けられないのか?
 それともキミは助けを必要としていないのか?
 わからない。
 でも最近気づいたことがある。
 それは、俺自身の気持ち。
 キミを助けられなくてもいい。キミの隣にいることが許されるならば、
俺はそれだけでいい。キミが話したくないことは、聞かなくてもいい。
 でももしキミが救いを求めるならば、俺はいつでもキミの傍にいて、
キミに手を差しのべるから。
 だから何も言わなくていいよ。
 俺はね。ずっとずっとキミに救われた自分が、今度はキミの助けに
ならなきゃいけないとそう思ってた。いや、そう思おうとしてた。それ
が自分の役目だと、だからキミの傍にいる必要があるんだと、そう無
理に思い込もうとしてたんだ。
 でも違った。
 理由なんていらない。気持ちに理由なんて必要ない。
 だってたった1つの純粋な想いこそが、キミの傍にいる俺の全てな
のだから・・・


―――好きだよ、火村。





                                     【END】






[後書き]
無謀な語りモノ《アリス編》でした・・・(冷汗)。一応シリアス(のつも
り)ということで、アリスの語りは全て関西弁ではなく、標準語に近く
してあります(←あくまで近くですので、変なところがあってもお許し
下さいね)。それでは、お目汚し大変失礼いたしました。

↑当時の後書き・・・標準語に玉砕?(笑) 実はいつもアリスの喋
りを書くときは、自分の普段使ってる関西弁をさらにベタにベタにし
て書いてるんですよ〜(って、最近は有栖川のSS書いてませんけ
どね/爆)。有栖川では、火村とアリスの会話を書くのがとっても好き
な紅月なのでした(あまりに上の語りが寒かったため、あえて話を逸
らす奴←殴)。




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