聖なる夜に・・・ 「なあなあ、火村。24日のイブにクリスマスパーティーせーへん?」 アリスがにこにこしながら聞いてくる。 火村はしょうがないなというように頷いて、 「で、アリス。2人でパーティーっていうのは・・・また大きく出たな。」 「ちゃうちゃう。他にも片桐さんとか、鮫山さんとか・・・あと森下刑事も 呼んでんねん。」 「は?」 アリスの言葉は、火村をフリーズさせるに充分だった。 しかしこれしきのことで魂が抜けていては、アリスの恋人は務まらな い。 気を取り直した火村は、にこやかーに(?)問いかける。 「アリス。鮫山さんや森下君は刑事だぞ?無理を言ったんじゃないの か?」 アリスもまたにこやかーに、火村の言葉を真っ二つに切り裂いた。 「へーきやって。だってクリスマスパーティーは夜中やもん。それに携 帯持参で24時間待機態勢やし。」 (・・・・・オイオイ。それを無理と言うんじゃないのか!?) しかしアリスの笑顔には、たとえ火村といえども勝てはしないのだっ た・・・。 12月24日。夕方4時。 夕陽丘のマンション(702号室)では、着々とパーティーの準備が進 められていた。 今現在そこにいるのは、家主のアリスとその恋人―火村―の2人。 火村は今日お昼頃にやって来て、それからずっとアリスと一緒にパー ティーの準備にいそしんでいた。 ごちそう作り→ケーキ作りと主に食事全般の用意を受け持つ火村に 対して、アリスはシャンパンや飾り付け小物一式等の買い出しを担当し ている。 今アリスは、部屋の掃除をしていた。まだ飾り付けまでは手が回らな いらしい。 火村はケーキの仕上げにかかっている。 パーティー開始は、夜の11時。 まだまだ2人の準備は続く・・・ ピンポーン♪ チャイムの音が鳴り響く。 「ハーイ。」 ドアを開けると、最後の1人―編集者の片桐光雄―が立っていた。 「これで、全員やね。」 アリスは満足そうにソファに座る4人(左隣から時計回りに、片桐・鮫 山・森下・火村)を眺め回した。 しかし残りの4人は、それぞれが、『クリスマス・イブに男4人・・・。さ、 寒い・・・。』とかひそかに思っていた。 まあとりあえず、『アリス(有栖川さん)がいてくれるのが、せめてもの 救いか(救いだよな)・・・。』と納得していたりもするのだが・・・。 火村お手製の数々の料理に、皆一様に目を丸くしつつも、あっという 間にたいらげてしまう。 「いやー。火村先生ってお料理もお上手なんですねー。」 「さすがですね。」 「おいしかったです。」 「ほんまに火村の手料理はいっつも最高やわーvv」 それまで形ばかりの会釈を返すだけだった火村だが、このアリスの言 葉には照れたように笑い、「当たり前だ。」と言いながらアリスの髪をくし ゃくしゃと撫で回した。 そんな2人の様子に、残りの3人はしっかりと心の中でツッコミを入れて いた。 『いっつも手料理サイコー?・・・ってことは、そんなにいつも手料理を食 べさせてもらってるんですねー。ま、まさか有栖川さんってば、火村先生 に餌付けされてるんじゃ・・・??』 『私たちに対する態度とあからさまに違いますねー、先生?何でクリスマ スにわざわざアテられに来ないといけないんでしょうねぇ??(怒)』 『ああ、火村先生ってばそんなにさりげなく有栖川さんの髪を!!!いい なー。僕も触りたい・・・。』 とりあえず皆、デザートのケーキをもくもくと口に運びながら、この無意 識ラブラブバカップルを生温かい目で見守るのであった・・・。 そろそろ丑三つ時かという頃、ようやくパーティーはお開きとなった。 「では!」と挨拶を交わして、皆が帰り支度を始める。 玄関から出る前に、片桐・鮫山・森下それぞれから、アリスに綺麗にラ ッピングされた大小様々な箱が手渡された。 「えっ?えっ?」 驚くアリスに、皆口々に「家に招いて下さったほんのお礼です。」と言う。 「あ、ありがとうございますvv」 嬉しそうに笑うアリスと、そのアリスの後ろで冷たーい視線(光線?)を 送る火村に見送られながら、3人はゆっくりと夜の中へと帰って行った。 その後。 2人きりになったアリスと火村は、片付けは明日にしようということにし て、それぞれシャワーを浴び、今度はアリス秘蔵のブランデーを飲むこと にする。 「かんぱーい。」 カチンとグラスの合わさる音が、部屋の中に響く。 「アリス。さっき何もらったんだ?」 火村の問いかけに、アリスが1つ1つ丁寧に包みを剥がしていく。 そして――― なんと、片桐からはクッション(これに凭れてお仕事頑張って下さい。)、 鮫山からは可愛らしい動物柄のパジャマ(街で見かけて、有栖川さんに 似合いそうだなと、気付いたら買っていました。)、そして森下からはアロ マテラピーセット(お花の匂いに囲まれながら、よいお年を!!)が、それ ぞれ( )のメモ付きで入っていた。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 「えーっと、とりあえずクッションは使えるわな。それから、パジャマは・・・ ちょ、ちょっと子供向け?っていうか、鮫山さんって俺のこと何歳やと思て んねやろ?で、お花の匂いに囲まれて・・・年迎えたら何かえーことある んか??」 アリスはブツブツと自問自答している。 「ま、まあ良かったじゃないか。アリスにぴったりの物ばかりで。」 顔半分をピクピクと引きつらせながら、火村が言う。 説得力のかけらもない。 「まあえーわ。とりあえずありがたく使わせてもらいましょう。」 「じゃあ、早速このパジャマ着てみるか?」 火村が少しにやりと口端を歪める。 「・・・何か変なこと考えとるやろ?」 アリスの予感は的中し・・・ 「わっ、こらっ!離せーっ!!」 火村はアリスを抱きかかえながら、そのままベッドルームへと駆け込ん だ。その右手には、プレゼントされた可愛らしいパジャマを持ちながら・・・。 さて、このパジャマを着せられる前に、アリスの身に何があったのか? それはご想像におまかせします――― Happy Merry X'mas!! 【END】 [後書き] クリスマスには、やはり何かSS更新を・・・と思い、また行き当たりばっ たりで書き始めたのが、昨日のこと(爆)。2日で書いただけあって、中 身はもうむちゃくちゃです(死)。あっ、これギャグですよ? 大好きな鮫山さんや、あと森下刑事・片桐さんを無理矢理出してはみた ものの・・・これって、どーよ?(←どうって・・・) 煮ても焼いても食えないヘタレ文で、本当に失礼いたしました。 最後の『ご想像部分』を裏に置いてますので(←これから打ちます/爆)、 よろしければパスをお持ちの方は覗いてみて下さいね。 キチク火村に会えるかも?(笑)あと、アリスがクリスマスパーティーをし たかった真意なんかもわかります(←って、宣伝か!?)。 それではお目汚し失礼いたしました。逃げっ! ↑ というわけで、当時の後書き。え〜っと、確かこのSSを書いたのは、 2年前のクリスマスでした(古)。当時の「裏」はパス請求制だった模様 です(模様って・・・)。で、今はメール請求制・・・結局メールを出すわけ ですから、変わってないじゃん!?(変な独りツッコミだな/爆) この頃から、鮫やんスキーだったんですね、私。いや、本命はアリスで すけどね(こう見えても(?)私、アリシストですから!!)。 なんか熱く語ったところで、失礼しました〜(帰)。 |