制御不能なライディング




 D・ホイールの整備をしていた遊星(ゆうせい)は、急に感じた背
中の重みに思わず眉を顰めた。
「何のつもりだ?」
 いつもより少しだけ不機嫌に問いかける。
「いや〜、なんか真剣な遊星の顔を見てたら…こうムラムラとして
きてさ。」
 おどけたような口調で返す雑賀(さいが)だったが、その目には
確かに本気の色がちらついていた。
 遊星はフゥと小さくため息を吐いてから、肩にかかった雑賀の腕
を振りほどいた。
 そしてゆっくりと雑賀に向き直り、彼の目を真っ直ぐに見つめなが
ら口を開く。
「それはどういう意味だ?」
 わかっていてわざと聞いているのか、それとも本気で意味がわか
らなかったのか―――いつもと変わらぬ表情からは全く読み取る
ことが出来ない。
 雑賀はもう今すぐ両手をついて『まいりました』と言いたいような
心境で―――
「お前を抱きたい。」
 ただそうストレートに伝えるのが精一杯だった。
 数秒後―――
 遊星がパチリと一度大きくまばたきをしてから、
「いいぜ。」
 と軽く応じたときには、このままここで抱いたらきっと後悔すると
わかっているのに、雑賀は遊星に触れようと伸ばす自分の手をど
うしても抑えることが出来なかったのだった……。




                                   【END】








最初は主人公(遊星)のクールさにあまり萌えを感じていなかった
のですが、今ではそのクールさ(そしてたまに垣間見せる一瞬の
笑み)にすっかり虜の私です!とりあえずいつもの通り遊星総受
で。しかし一番最初に書いたのがまさかの雑賀×遊星…(苦笑)。




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