制作過程 01
■ここでは(06年夏の)MOMO展に出展したキャラの出来るまでの過程を紹介したいと思います。とはいえ、モデリングの殆どを六角大王で行っているため、あんまりshadeでは参考にならないかもしれません。ただ、基本的な部分はどんなソフトでも同じだと思いますので、なにか一つでも参考にして頂ける部分があれば幸いです。

■大抵の人はCGでキャラクターを「作ろう」「作りたい」と思う切っ掛けになった作品なり作家の影響があると思うんですが、私の場合は「飛飛」「テライユキ」それと由水桂さんが制作された「霧島あさひ」でした。特にshadeの自由曲面で作られた「飛飛」には衝撃を受け、まずShadeを買ったら「自由曲面で人物のモデリング」は自分的にお約束だった訳ですが…、世の中そんなに甘くはありません(笑) それでも奮闘しました。最後はシワが取れずに収拾がつかなくなりましたが(汗) そして左の画像が力尽きた状態の物です。ご覧のようにまるで出来損ないの中華まんじゅうです…。シワ以前に、まず自由曲面で人間の顔のような複雑な物を作ろう、と言う発想自体がまちがっています(断言)。なので、早々に諦めて素直に慣れたポリゴンで作成することに…。

■ポリゴンで人物を作るにあたって、参考にしたのはAJさんのサイト「ポリゴン物語」です。とにかく分かりやすい解説で、これならshadeでも何とかなるんじゃないか…。と思わせてくれる内容です。独特の思わず笑いを誘う文章も楽しく、その点でも魅力的なサイトです。

そのAJさんのサイトに掲載されている制作記事に登場する「さかえちゃん」のポリゴン割を参考に、ここではshadeではなく六角大王で制作を進めて行きます。六角ではじかにライン(ワイヤーフレーム)をゴリゴリ書けるので、テンプレもない状態でいきなり書いていきます。(テンプレは一応中華まんじゅう…、ではなくて自由曲面で作ったヘッドですが…)
▲AJさんの「さかえちゃん」を参考にラインを書いた物に面を張り、適当に形を整えたもの。

後で首を付ける部分や耳が付く部分は、分割数なども考えてフレームを組みます。ラインで一通り籠のような頭全体の形が出来上がったら、形を整えて面を張ります。上記の自由曲面で作った頭部を一応ポリゴン化して読み込んであるので、それをテンプレ代わりに大まかな形を作ってしまいます。耳などは後から付けます。顔のその他の細かい部分のモデリングについては別の機会に紹介したいと思います。

所で、こういった人物を作成する場合、顔なり体なりの前面図と側面図のテンプレートを使用する事が多いと思うのですが、正直テンプレに頼り過ぎるとどうしても「硬い」 モデリングになってしまう傾向があるように思います。 自分が人体の立体構造についての認識が不足している事に起因する部分も大きいですが、正面と側面の「つじつま」を合わせただけではなかなか思ったような立体感が出ない場合があります。そこで以前あるCG美少女の作家さんが実践していた方法で顔のモデリングは行っています。それは、女優さんやアイドルなど、制作しているキャラのイメージに近い人物の顔の「斜めの写真」(真正面ではないと言うことです)を数種類用意し、作っている頭部を透視図で写真と同じ角度にして、額から顎にかけてのライン(顔の輪郭)を見比べる、と言う方法です。実際写真を参考にこのラインを整える事で、見違えるように頭部のクオリティは上がります。

一般的なポートレート写真などを見ても、真正面から撮影されたものより多少左右のどちらか斜から撮影された写真の方が圧倒的に多い訳で、そう言う意味からもこの方法は理に適っているのかな、と思います。正面から見た顔はそこそこ狙い通りなのに、実際にポーズを付けて正面ではない顔をレンダリングしたとき、どうもイメージと違う、と言う場合にもかなり有効だと思います。

■「shadeの制作記事」とトップページで謳っておきながら、いきなり六角大王の記事になっているので少々補足の為六角大王の説明をしておきます。興味の無い方、既に六角を使われている方は読み飛ばして貰って問題ないです。

■六角大王について
元々はフリーで開発されていたモデリング専用のポリゴンモデラーです。レンダリング機能はありませんが、機能特化している分、統合ソフトよりも使いやすい面もあります。また多数のファイル形式のインポートに対応しているため、ソフト間のファイルの橋渡し役としても重宝します。UV、サブディビジョン、などにも対応しているので、最終的にレンダリングを行うソフトにオブジェクトを持って行くことを想定したモデリングも可能です。

私はshade7.5からshadeを使いはじめましたが、7.5ではまだポリゴン周りの編集機能が貧弱で不自由を感じ、それを補う意味で六角大王を購入しました。値段は実売価格でたしか7千円ぐらいです。これでshade bassic と合わせても2万弱で、制作環境としては格安と言えるのではないでしょうか。オマケに、六角大王ではUVが扱えますので、Wavefront.OBJ形式でオブジェクトを書き出すことで、shadeにUVごと持って行く事が出来ます。bassicではUVの編集は出来ませんが、UV自体には対応しているので、六角をあたかもshadeのモデラーのように利用することでbassicでもUVを使う事が可能になります。

六角にはshadeには無い機能として「対称編集モード」と言う機能があります。これは文字通り左半分だけをモデリングしていけば、右半分は六角が虚像として見た目を表示してくれる、と言う機能です。これを使えば一々半身を反転コピーすることなく、常に左右のバランスを見ながらモデリング出来るという優れものです。

またラインを直接書いてモデリングすることが出来るので、ポリゴンの流れを意識したモデリングがとてもしやすいです。ラインで肩胛骨の張り出し部分とか、鎖骨の流れをまず書いておいて、そこに「面」を貼り付けていく、と言う方法でモデリングすることが可能です。これはあらかじめ均等に分割した格子状のポリゴンを整形していくのとは違って、慣れてくるとダイレクトに自分の強調したい部分をモデリングすることが出来、よりダイナミックで立体感のあるモデリングが可能です。

高価な統合ソフトには敵うべくもありませんが、ポイント、ライン、ポリゴン編集の基本的なツールは一通り揃っていますので、通常のモデリングにおいて困ることはまずないと思います。また六角ではツールの切り替えなしに、ポイント、ライン、ポリゴンの選択をすることが出来ます。邪魔なポリゴンを一時的に隠す機能もあるので、部分的にディテールアップする作業なども効率良く進められます。shade8.5ではポリゴン関係のツールが大幅に拡張されて以前に比べるとポリゴンのエディットはし易くなりましたが、効率と言う点ではまだまだです。その点六角はshadeのポリゴン周りのツールの不備を上手い具合に補ってくれる感じで、私としてはshadeとの相性はかなり良いのでは、と言う感触を持っています。

今回ここで制作過程を紹介しているキャラも、基本的なモデリングは全て六角大王を使用しています。上記のように、対称モードは人体などのモデリングにおいては絶大な威力を発揮します。また、半身は虚像なので、あやまってポイントなどを移動してしまい対称を崩してしまうと言う心配もありません。さらに六角大王にはshadeのサブディビ(ポリゴンの角の丸め)と同様の機能が備わっています。ただ六角の「曲面表示」機能は、shadeのサブディビと比べ多少曲面のなめらかな感じが強いようですが、モデリングする上で支障があるほどの差異はありません(shadeに持って行くと多少肉痩せした感じになるようです)。

と言う訳で、shadeのポリゴンモデリングに不満をお持ちでしたら、是非一度「六角大王」を試してみてはいかがでしょう?
(株)終作・3Dソフト六角大王