多摩川遡行計画
東京都民の水源であり、都民や神奈川県民から愛されている多摩川。休日ともなると、野球やサッカーを楽しむ人々、釣りや沢登りをする人々、いろんな人が多摩川に集います。そんな多摩川を河口から水源まで歩いて見ませんか。意外な多摩川の素顔を垣間見ることができるかもしれません。
 
●多摩川データファイル
名称上流から一ノ瀬川、丹波川、多摩川と名前を変え、下流では六郷川とも呼ばれる
流程の長さ全長138km、日本第25位
流域面積1,240平方キロメートル、日本第49位
水源山梨県北東部、笠取山(1,941m)山腹、水干(ミズヒ)を水源とする
主な支流小菅川、日原川、秋川、浅川、野川
 
●多摩川全域図
 
 ●多摩川遡行記録
 河口から水源までの遡行記録です。川の中をジャブジャブ歩いたり、のんびり水面を眺めたり、イナゴを追いかけたり・・・あちこち寄り道ばかりしていたので、歩行時間や歩数はほとんど当てになりません。1日20kmも歩いていませんが、真面目に歩けば1.5倍くらいのペースで行けるかもしれません。
 
第1日目
歩行時間 5時間30分、歩数 31,438歩
 
羽田空港、浮島公園

首都高横羽線

東海道本線、
 京浜急行線

ガス橋

東海道新幹線、
 東横線

第三京浜、
 新多摩川橋

二子橋、田園都市線
(二子玉川園駅)
 
 

 (多摩川下流の風景)
 多摩川河口付近は企業地帯。もちろん中流には企業の工場は多く立地しているが、河口付近は物流拠点としての倉庫や石油コンビナートなどが多いようだ。

 (浮浪者たち)
  多摩川下流域には浮浪者がたくさんいる。橋の下に住んだり、ベニアやブルーシートなどで勝手に家を作っている。中にはドア付き、カギ付きの家まであるのは笑ってしまう。昼真っから酒盛りしている奴もいる。どうなってんだ!?

 多摩川河口付近
 

東海道新幹線
第2日目
歩行時間 6時間15分、歩数 30,675歩
 

東名高速道路

宿河原堰、小田急線

ニケ嶺上河原堰

京王相模原線

是政橋、南武線

大丸用水堰

関戸橋、京王線
 
(多摩川の生き物)
 多摩川にはいろいろな生き物が生息している。コイ、フナ、カメ・・・・・etc.
 そして、右写真のテナガエビもその一つ。下流の所々にある波消ブロックの隙間を覗くと、保護色で見え難いが彼らがいる。熱帯魚用の網などで追い詰めて掬えば捕まえることができるがかなりすばしっこい。渓流用の針で釣ることも可能だが、手でエサを持って行こうとするばかりでなかなか食いつかない。針で釣ると、時々横から出てくる小魚が掛かるのもまた一興。

 

テナガエビ


大丸用水堰
 
第3日目
歩行時間 5時間20分、歩数 29,158歩

府中四谷橋、
 浅川合流地点

四谷堰

日野橋、立日橋、
 中央線

八高線、拝島橋

昭和用水堰

秋川合流地点

睦橋、五日市線

羽村大橋、羽村堰
 

(魚の道)
 多摩川には取水用などのためいくつもの堰が設けられているが、そのためにアユなどの魚が遡上できなくなってしまった。そこで設けられたのが魚道だそうだ。
 魚道には、川底に住む魚用と遊泳する魚用、あるいは夏季用冬期用など様々なタイプがある。

(海から何キロ?)
 多摩川の川岸には、例えば「多摩川左岸 海から53km」などと書いた標識が1km毎に立っている。ジョギングやサイクリングをしている人にとっては格好の目印となることだろう。
 
 
 


羽村大橋と53kmポスト
第4日目
歩行時間 6時間5分、歩数 33,322歩

玉川上水取水口

羽村郷土博物館

多摩川橋

鮎美橋、釜の淵公園

神代橋、日向和田駅

奥多摩橋、二俣尾

御岳渓谷、御岳駅

川井駅
 
(玉川上水)
 玉川上水は江戸時代の初期1653年に、江戸庶民の飲み水不足に対処するため、玉川兄弟によって作られた上水で、、以来東京都民の貴重な水源の一つとして利用されている。羽村で取り入れられた上水は自然の高低差を利用して、新宿まで流れているそうだ。
 現在でも小平や三鷹などを流れる上水付近は、散歩コース、デートコースとして親しまれている。
 羽村駅付近の右岸には羽村郷土博物館があり、玉川上水建設時の苦労が偲ばれる。また、当地の歴史や自然の勉強もできお勧め。


玉川上水取水口


御岳渓谷
第5日目
歩行時間 6時間15分、歩数 26,191歩


奥多摩大橋
 

鳩ノ巣渓谷
 

白丸ダム
 

奥多摩駅
 

橋詰トンネル
 

奥多摩むかしみち
 

奥多摩湖
 

水と緑のふれあい館
 
 
 
(多摩川に集う人々)
 多摩川下流域はグランドや公園などが多くあり、また上流域は自然に恵まれ、多摩川は憩いの場となっている。
 ジョギング、サイクリング、野球、サッカーを始めモトクロスやバード・ウォッチングなど楽しみ方はいろいろ。大学の部活らしきものとしてはホッケーやラクロス、フリスビーなども。
 川ならではのスポーツとしては、中流域ではウィンド・サーフィン、上流域ではカヌーなども見かける(もちろん釣り人もわんさかいる)。
 ラジコン飛行機やヘリを飛ばしている人を見かけると、なるほどと思ってしまう。一度、パラグライダーの練習風景も見かけたが、ああいう練習もできちゃうんだね。


 
 
 
 
鳩ノ巣渓谷


情緒ある奥多摩駅
 

奥多摩湖(小河内ダム)
第6日目
歩行時間 4時間45分、歩数 23,206歩
 
 

留浦
 

鴨沢
 

お祭
(後山川分岐)
 

保之瀬
 

丹波

(環境問題を想ふ)
 「行く川の流れは絶えずして・・・」。方丈記の通り、川の流れは決して途絶えないし、次から次へと新しい水が上流から流れてくる。当たり前のようだが、川の流れを見ているとすごく不思議な想いに捕われる。
 1週間や2週間雨が降らなくたって、川が涸れることはない。それは、山や森が、土や木々が、水を貯え守っているからにほかならない。それらがなかったら、水は雨が降った後に一気に流れ出て洪水を起こし、雨が降らなければ涸れてしまう。
 人間にとって大切な山や森を、人間は自らの手で壊そうとしている。開発、観光、治水・・・そんな美名の下に、山を切り拓き、木々を刈り、破壊していく。
 これといって環境問題に関心があるわけではないが、川を眺めているとそんなことを考えてしまう。

 
 

東京都から山梨県へ
 
 

紅葉に染まる丹波川
第7日目
歩行時間 5時間35分、歩数 25,919歩
 

三条橋
 

林道一之瀬線起点
 

三ノ瀬
 

一之瀬
 

中川橋
 
(水源涵養)
 三条橋近くに水源踏査記念碑が建っている。1909(明治42)年、当時の東京市長尾崎行雄氏が5日間かけて水源踏査をし、荒れていた森林を水源涵養のために買収したそうである。国家百年の計ではないが、先見の明、実行力、判断力・・・・・、素晴らしいものがある。
 ちなみにここは山梨県。山梨県の土地を東京都が買ったってこと!?

(奥多摩の自然)
 奥多摩とはいえここは原始の森。自然の宝庫である。熊もいれば猪もいる。
 道路沿いのキノコ直売店で、猪と鷲を飼っていた。これは傷付き倒れていたのを保護したのだそうだ。奥多摩の山々と多摩川の源流がもたらす自然の宝庫なのである。

 
 
 

水源踏査記念碑
 
 

三条橋
 
第8日目
歩行時間 3時間30分、歩数 8,261歩
 

作場平橋
 
 ↓
200mナメ滝
 

スモウトリ沢出合


黒エンジュ沢二俣
 

ウタノ沢二俣
 

水干
 

(奥多摩の沢)
 多摩川の支流にもたくさんの沢がある。多すぎて数え切れないが、ガイドブックに出ているだけでも100を下らない。
 奥多摩の沢は、確かに上信越の沢ほどのスケールはないが、直登できる滝も多く、手頃に楽しめる沢ばかりだ。

(水干)
 138kmに及ぶ多摩川の水源、それが水干だ。岩から滴り落ちる一粒の水滴が、少しずつ集まって大きな河となっていく。そこには自然のダイナミズムが息づいている。この水がおいしいことは言うまでもない。

(小さな分水嶺)
 水干からさらに進み、笠取山の脇を過ぎたところに小さな分水嶺がある。周囲の山よりも低いちょっとした高台程度の場所だが、そこが多摩川、荒川そして富士川を分かつ分水嶺だそうだ。
 たまたま風が強かったから多摩川に注ぎ込んだ雨滴、たった10cm離れていただけで荒川と富士川へと離れ離れになってしまった雨粒たち。そんなことを空想するだけで楽しい。

 


奥多摩源流の沢
 

多摩川の水源
 

小さな分水嶺
 
 
 
The End