菊地敏之 クライミングスクール&ガイド
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冬のロング&フリー、城山南壁
湯河原幕岩 このルートで、これを鍛える!
冬のクラック!
小川山・オリジナルルートという考え方
小川山13クラシック



推 薦 ル ー ト
Recommended Route
推 薦 ル ー ト
Recommended Route


冬場のロング&フリー、城山南壁



 ロング&フリークライミングというと小川山や瑞牆山がまず思い浮かびますが、冬の城山も、これがなかなかのものです。伊豆の屏風岩とも称される広大な壁でのクライミングは爽快の一語。グレードは5.10クラス中心でブッシュも少なく、この時期のマルチの練習場としては、たいへん取り付きやすい岩壁です。ガイドとしてこの山に通うようになって以来、この壁にぶら下がりながら眼下に狩野川の流れと、遠く天城の山々を眺めつつ一日を過ごすのが、冬のたまらない楽しみになってしまいました。

 とはいえ、このような城山南壁も、登られているのはバトルランナーとエキスカーションばかり。あとたまにダイレクトルートに少々いるくらいで、それ以外のルートはいつも閑散とした状態です。
 しかし、この壁には他にもたくさんルートがあります。確かにその多くはボルトも古くてホールドもコケっぽく、胸を張って「快適」といえるものではありませんが、それでもその一つ一つはこのような同じ壁にありながらも驚くほど個性的で変化に富んでいます。そしてそんなルートを探して登れば登るほど、これがまた実に味わい深い。未知のルートに対する忘れていた緊張感と、新しい発見に夢中になってしまいます。

 この冬は皆さんも、ぜひそのような城山ナイスマイナーを訪れてみてはいかがでしょうか。(この冬、いくつかはリボルトの予定)


ルート紹介 (ルート図はこちら⇒)

三日月ハングルート (斜上バンドから2〜4p、5.10c)
 あの三日月ハングをダイレクトに越える、城山南壁の大クラシックルートです。かつての人工登攀時代はこの壁の代表的存在でした。実質的な核心は斜上バンドからすぐ上で、ややボルダリング的(5.10c)。件の三日月ハングは見た目よりやさしいものの(5.10a)、あの高さであの傾斜は、やはり迫力満点です。ホールドは大きいので、思い切ってガバガバと行きましょう。支点はケミカルボルトでたいへん取り付きやすい1本です。

中央壁左ルート (斜上バンドから2〜3p、5.10a)
 三日月ハング〜南西カンテ間に広がるフェースは、高差はさほど無いものの、傾斜は意外と強く、個性的なルートがいくつか引かれています。このルートはその中でも露出度の高いふくらみを越えていく、オリジナリティー高いルートです。ハングやカンテ、フェース、トラバースなど、小粒ながらなかなか変化に富み、マルチの楽しさを充分に満喫させてくれます。ボルトは基本的に古いRCCですが、昨シーズン、要所要所にグージョンも打ち足されました。下部スラブ(5.9)からつなげることもできます。

いなづまルート (斜上バンドから2〜4p、5.10d)
 中央壁左ルートの左にある、きれいな垂壁を登るルート。ここは5.10dで、城山南壁でも屈指の難しさ、そして内容を持っています(ボルトがリングなのがたまにキズ)。次のピッチは打って変わってバンドからハング帯をトラバースで切り替えしつつ抜ける絶妙なライン。ここが「いなづま」の所以で、充実すること請け合いです。

黎明ルート (斜上バンドから2〜4p、5.10a)
 いなづまルートのさらに左、南西カンテのすぐ手前の壁に、最近ケミカルボルトのラインがいくつか設定されました。しかしこのあたりはたいへん脆く、おまけに左の2本は途中で終っており、意味がよくわかりません。唯一上に抜けるラインも、本来の「黎明ルート」とはちょっと違う気がするのですが・・・。しかしホールドの危うささえ気にしなければ内容的には面白い1本です。

鎌形ハング・オリジナル (オアシステラスから3〜4p、5.10a〜c)
 バトルランナー開拓以前の鎌形ハングルートはいったいどこだったのか? は今となってはよくわかりませんが、このハングを、鎌の柄の部分からナチュラルプロテクションで越えられるラインがあることを、皆さんご存知でしょうか? しかも難易度は5.10a。なかなかオリジナリティーあふれるラインで、上部はバトルランナーに合流もできるし、右上の箱型ハングを目指しても良いです。箱型ハングを越えれば(5.7)、トワイライトゾーンの最終ピッチ(5.10c)に合流して、たぶん昔はそのままさらに右に抜けていたような(30年ほど前、このラインから「鎌形ハング」を登った記憶があるのですが)・・・。

Aルート (オアシステラスから3〜4p、5.10c)
 三日月ハングを最左端から越えるルートで、前から気になっていたのですが、この暮、初めて登りました。支点は古いリングボルト&ハーケンでホールドもコケコケ、たいへん緊張いたしました。が、これ、内容的にはかなり面白いですよ。特に三日月ハングは支点ハーケンのみというのが素晴らしい。近々リボルトする予定。

トワイライトゾーン (4p、5.11a)
 ほとんど登る人のいない、鎌形ハング〜北嶺ルート間の垂壁をダイレクトに辿るルート。國分誠氏の南壁最新(最終?)作で、白山書房『関東の岩場』作成時(1999年)に一回登っているのですが、この暮、久々に登りました。で、登ってみると本当に長らく触られた形跡はなく、ビックリしました。南壁マルチでは一番難しいルートだというのに・・・。マルチが多少ブームだといっても、瑞牆などでもそうですが、多くはいまだ5.10止まりで、イレブンの声を聞くと途端に登る人が少なくなります。寂しいかぎりです。支点のしっかりしたこういうルートから、どんどんこのクラスにチャレンジしても良いと思うのですが・・・(ただしこのルート、最終ピッチは上に抜けないほうが良いです。抜けるとたいへんな所に出ます)。

静岡北嶺ルート (4p、5.10a・A0?)
 西村豊一氏による旧版『関東の岩場』調査時、國分氏の城山ルート図集ともに「A0」表示のついたナゾのルート。しかし前記トワイライトゾーン再登時に観察したら、案外岩は固そうで、フリールートとしては結構いけそうに見えました。今年登ってみるつもりです。

友峰ルート (3〜4p、5.10c)
 1ピッチ目はハートルートの脇にある5.10cのランペ〜フェース。ショートルートとして登る人は多いと思います。が、その上は傾斜が途端に落ちることもあって、ほとんど登られていないです。私、かなり昔に登ってはいる筈なのですが、どんなだったかやはりよく覚えていません。今年また登ってみるかな。

(城山ルート図はこちら⇒)










湯河原幕岩 このルートで、これを鍛える!


冬の代表的ゲレンデ、湯河原幕岩は、初〜中級者の講習会にうってつけのエリアです。というのは、ルートが短いがゆえに、ルートごとにやるべき課題が凝縮され、またそれがたいへん見やすい。それは私がフリークライミングを人に教えるようになって再認識したことですが、ではその「やるべき課題」とは何なのか。ルート紹介と当スクールの講習趣旨なども含め、紹介していきたいと思います。



茅ヶ崎ロック/アリババ(5.10a〜b)  
→「ルートを読む!」
       クリスマスローズ(5.10a)


 クライミングで最初にやるべきは、各自自分でルートを見て、どこにどういうホールドがあるか、それをどうつなげて、どのようなラインで登るか、どこで休めるか、などといったことを、“自分で”理解し把握することです。初心者はとかく盲目的に取り付き、とりあえず目の前のホールドにしがみついて登ろうとしますが、それは五里霧中というもの。事前にしっかりオブザベーションをして、ラインやホールドの位置を把握してから登るようにしましょう。最初はなかなかできませんが、積極的にルートを見ようとすることで、徐々にコツはつかめていくはずです。

参考ルート:茅ヶ崎ロック/ダークヘラー(5.9)、馬返し(5.9)、正面壁/サマーアイズ(5.10a〜b)、ジムシー(5.10b)




茅ヶ崎ロック/アン(510a)     
→「ムーブを読む!」
正面壁/ポニーテール(5.9)


 ホールドの位置を把握できるようになったら、次はそれを使って、どういうムーブで登るかを予測することです。これも初心者はムーブの発想が少ないため、やはり最初はなかなかできませんが、その前段階として、他人のムーブをよく見て、そのムーブを記憶し、それに即してトライする、ということを心がけるようにしましょう。大切なのは、その場その場で他人に教わるのではなく、自分で「あのホールドをあのように使って、こういうムーブで登る」とプログラムを立てて登ること。そうしたプロセスこそが「クライミング」なのだと、ぜひ理解して欲しいものです。
参考ルート:茅ヶ崎ロック/アボリジニ(5.10a〜b)、正面壁/ベビーピナクル(5.9)、No.3ルート(5.10a)、小ハング右凹角ルート(5.10a〜b)、あもんブライダル(5.10b)



茅ヶ崎ロック/マゾおけさ(5.10b)     
→「ムーブをこなす!」
正面壁/ジムシー(5.10c)


 さらに難しいルートになったら、そのムーブができるかできないかが、当然ながら問題になります。そこで初めて、足への乗り込みや、体の振り、腕の引き付け、レイバック、などといった、肉体的技術が課題になるわけですが、それはしかし、腕力がどれくらいいるとか、柔軟性がどうこうということではありません。どうしたら、最も楽に、その動きができるか、ということ。それがつまりは「正しいムーブ」ということです。それを研究するためには、他人のムーブを見て理解できるようになることも非常に重要です。
参考ルート:茅ヶ崎ロック/夕暮れ時(5.10b〜c)、帰還兵(5.10d)、シャックシャイン(5.11a)、正面壁/No.1ルート(5.10c)、カマクラ(5.10c)、ロングラン(5.10d)、小ハング左凹角ルート(5.10d)



正面壁/No.1ルート(5.10c)
茅ヶ崎ロック/シャックシャイン(5.11a) 
→「戦略を練る!」

 上記3つができたらほぼ完成、のように思えますが、ここでもうひとつ、忘れてならないのが「戦術」を上手く立てることです。どこまで行ったら休めるか、どこでクリップして、どこは突っ込むべきか、などなど、上手く登るために、ありとあらゆる知恵を絞る。そしてその前提となるのは、「ノーフォール」かつ「安全」です。フリークライミングの真髄をつかむために、手ごたえ充分なルートで、ぜひ自分の戦略能力を、試してみてください。

参考ルート:茅ヶ崎ロック/アン(5.10a)、正面壁/コナン(5.9)、小ハング右凹角(5.10a〜b)、サマーアイズ〜モノリス(5.10b)、ロングラン(5.10d)









冬のクラック!



 クラックといえば小川山、夏がシーズン、って、思ってませんか?
 いやいやいや、そんなことはありません。冬だってクラックは登れる、というより、冬こそクラック。まさにシーズンなのです。
 というのも、冬の代表的エリア、城ケ崎や湯河原幕岩は、今でこそフェースが人気の中心になっていますが、もともとは「クラックのある岩場」として見出され、発展してきた所です。しかもここのクラックは、小川山などの花崗岩と違って、すべっとした岩肌、複雑な形状で、ジャミング、プロテクションともども一筋縄ではいかないものばかり。80年代中盤のクラック全盛時代、我々はここで地道に1本1本取り組みながら、応用力を培ってきたのです。ということで、この冬はぜひ、小粒でもピリリと辛い、個性的なルートを体験してみてください。
(なお、ここではシーサイド・プレッシャー周辺やその他、岩の崩壊が懸念される場所、初登後、滅多に登られず、塩などの影響が大きい個所は省いてあります)




入門者向け5.9アンダー


 5.7〜5.9程度の、クラック入門者向けのルート群です。中級者にはナチュラルプロテクションの練習用としても。講習会などでも比較的よく登られているルートばかりです。

幕岩/こんまクラック(5.7)
 意外なクラックの穴場。ナチュプロも学べる。
    コナン(5.9−) コーナークラック。初めてのリードにぜひ。
    ベビーピナクル(5.9) ハンドジャミングの課題。
フナムシロック/純/鬼殺し(共に5.7) フィンガー、ハンドを初体験できる。
        パープルシャドウ(5.8) ハンドばっちりのコーナー。初リードに良
        フラッシュダンス(5.9+) フェース的ムーブがやや難しい。
オーシャン/カラス(5.9−) プロテクションがやや微妙。フィンガー/フェース。
なみだち/シンクロックス(5.8) プロテクション良。フィンガーの課題。
しりいだし/はったりクラック(5.7) 意外なクラックの穴場。ジャミングばっちり。
あかねの浜/ライトレイン(5.8) 意外とすっきりしたクラック。
      イソギク(5.8) プロテクションがやや微妙。フェース的。
ファミリー/サムクラック(5.8) プロテクションやや微妙。レイバック/フェース。
       シスタークラック(5.8) 左右のホールド大きく、フェース的。
おたつ磯/かえるクラック(5.9) 1手ものの課題。このジャミングは悪い。
      おたつクラック(5.9) 意外ときれいなクラック。ハンドジャムの課題。




5.10クラス・クラシック


 城ケ崎の3大クラシックエリア、ファミリー、オーシャン、門脇崎に、シーサイドと幕岩正面壁を加えた、日本のフリークライミングのベーシック。温故知新はここから。


幕岩/No.1ルート(5.10c) 幕岩を代表するクラシック。変化に富んだ三星。
   No.3ルート(5.10a) これも内容が豊富で、トラッドフリーを満喫できる。
門脇崎/ゴリラクラック(5.9) 門脇最初のルート。あまり登られていない。
    スカイラブ(5.10a) ハンドばっちり。ロケーションも最高。
オーシャン/ミストラル(5.10a) ワイドハンド。城ケ崎3大5.9のひとつ。
      ボクサー(5.10b) フィストジャムの課題。終了点注意。
ファミリー/新人クラック(5.10a) アンダークリングの課題。終了点注意。
      アンクルクラック(5.10a) ハンドでのハング越え。城ケ崎3大5.9の1
      マイクラック(510b) 前傾壁のハンドクラック。短いが三星。
      ファーザークラック(5.10c) 城ケ崎を代表するクラシック。
      マザークラック(5.10c) フィンガーの課題。プロテクションがやや悪
シーサイド/イントロダクション(5.9) 城ケ崎3大5.9の1。現在は途中まで。
      アーリータイムス(5.10b) アンダーフレークの処理が難しい。
      ホワイトクリスマス(5.10b〜c) レイバック〜ハンド。上部注意。


 
ファミリーの代表的5.9、アンクルクラック



5.10 アドバンスド・クラス


 
5.10でもやや上級レベルに属するルート群です。一筋縄ではいかない個性的な内容の数々は、まさにクラッククライミングの醍醐味というところでしょう。

幕岩/小ハング右凹角ルート(5.10a) ハング越えは意外なムーブで。
   小ハング左凹角ルート(5.10d) こちらは純然たる難しさのフィンガー
漁火ロック/イサリビクラック・ライト/レフト(各5.10c) 5.10の大人気ルート。
門脇崎/学生気分で(5.10a) ナチュプロ・クライミングの意外な名ルート。
    チャームポイント(5.10c) 上のバリエーションで、フィンガーが難しい。
    Xの悲劇(5.10b) アンダーフレークの課題。ナチュプロも絶妙。
日蓮崎/イブ(5.10c) 日蓮崎の3本は前傾していて非常に難しい。どれも三星。
    インディアン・ドール(5.10d) シンハンドの課題。
    スーパー・シリアス・ジャム(5.11a) 数手ながらジャムが厳しい
オーシャンロック/ホッテントット(5.10a) ハンドジャムでのルーフ越え。
         新石器人(5.10a) ラインも内容もちょっとアドベンチャラス。
         ホッピー/ウォッカ/バーボン(各5.10c) フィンガーの課題。
シーサイド/気分は最高(5.10c) 内容、ロケーション、長さ共に、名ルートの風格
      赤道ルーフ1p目(5.10c) 緊張感たっぷりの、これも名ルート。
      バーチカルダイレクト(5.10d) シーサイドでは比較的人気。出だし注意
浮山橋/ゲルニカ(5.10d〜11a) シンハンド〜豪快なルーフ越え。途中やや崩壊中


 
シーサイド・気分は最高(5.10c)



マニアック・クラス


 もっとクラックを追求されたい方には、12クラスの高難度ルートや、ナチュラルプロテクションの課題、さらには懸垂やゴムボートで取り付くアドベンチャーまで。クライミングライフを堪能するに値する個性的なルートがたくさんあります。充分な下地と自信のもとで、ぜひチャレンジしてみてください。


富戸/ラマーズ・ルーフ(5.10a) 波を眼下にワイドハンドのルーフ越え。
   スパニッシュダンサー(5.11b) トンネル天井にあるルーフクラック。
   イサリビクラックの右のシンクラック(5.10c) R。要シンストッパー。
門脇崎/スカラップ(5.12d) 巨大なワイドのルーフ。まだ取付いたことありません
    秘奥義(5.13b) これも、いつか登ってみたいです。
    スクラップ(5.11c) 意外とシブいパンピング・クラック。
    キングコング(5.11a) 城ケ崎の最も初期の11。再登者は非常に少ない。
    ホシナクラック(5.11d) あの一手が・・・、難しいです。
    ポセイドン(5.9) これぞマニアックの極致! 要ゴムボートと運。
    July ザ・ダディ(5.11b) 知る人ぞ知るルーフクラック。
びしゃご/センター(11a)、ノース(10b) これも滅多に登られない。シオシオ。
日蓮崎/ファイブストップ(5.11a) トポにはシンハンドと。筆者は未登。登った人は教えて。
にちょう/ジャムクリアー/ミルクセーキ/ホワイトスネーク/
     レンガ/エアロビサイズ(すべて5.10b)
 どれも懸垂で取付くが、三星。
なみだち/タコ(5.12a) きれいなルーフクラック。日本でも最も初期の12。
     猿人トラバース(5.10a) 岬先端の冒険的ルート。波に注意。
     海上の道(5.10c) R。要シンストッパー。
オーシャン/はしご酒(5.10c) きれいなルーフクラックだが、取り付く人は稀。
ながね/シュリンプ(5.12c) ルーフクラックから、厳しいオフセットクラックへ。
    デイビース・クッキー(5.12b) 数手ながらアンダーレイバックが厳しい。TR。。
あかねの浜/ゴミステーション(5.11b) 浜南側の壁にある、これも意外な名ルート
さいつな/パイク(5.10c) 非常にきれいなハンドクラック。要懸垂。
かさごね/神風(5.11a) 思いもかけず圧倒的なルーフ。要懸垂。
橋立/岬の先端クラック(5.11) 実に目立つ所にある、短い前傾クラック。TR。
ファミリー/中山ハング(5.11b) 張り出し1mの完全なルーフクラック。
シーサイド/赤道ルーフ2p目(5.11b) 高度感満点のアンダークリング。
      サイクロン(5.11b) ルーフのフィンガークラック。見た目より簡単。
大穴口/マリオネット(5.12a) チムニー〜ハンドの大ルーフ。
    メリーゴーランド(5.12d) まさに天井を這うようなルーフクラック。実はフェース的。
    ブリザード(5.12d) 厳しいフィンガーの前傾クラック。だが核心は最後のフェース。
浮山橋/スコーピオン(5.12b) ルーフの中を、どこに進めばいいのか。厳しいです











小川山・オリジナルルートという考え方


 「オリジナルルート」という言葉をご存知でしょうか?
 単純な意味だけを述べれば、その壁で一番最初に登られたルート、ということで、例えば穂高屏風岩東壁「雲稜ルート」、ハーフドーム北西壁「レギュラールート」などがそれにあたります。
 で、こうしたルートは、単にその壁を最初に登ったということだけでなく、内容的にもたいへん意義深いものが多い。というのは、こうしたルートというのは、その壁を見てここを登りたいと思った人が、その壁を登るに最もふさわしい、最も妥当性のあるラインを選んでいる(例外もありますが)場合が多いからです。
 そしてこれは、ショート(フリークライミング)ルートについても、もちろんいえます。フリーの場合は「より難しく」を追求するため、その壁の初登ルートが必ずしも一番人気ということはありませんが、それでも、その壁の中で最も興味深いラインであることは多いものです。また逆に言えば、クライミングとは、本来そのようなラインを選んで行なわれるべきものだと私は思います。草野俊達氏の言う「ここを登れと壁が教えてくれる」ラインということですね。そしてそういう「壁からの問いかけ」にこそ、フリークライミングのエッセンスは詰まっている。日本のフリークライミングの父、戸田直樹氏が言うように「良い水があるところに上手い酒ができるのと同様に、優れたルートのあるところに優れたクライマーが育つ」ものなのです。
 ということで、小川山の各岩場の、優れたオリジナル(的)推薦ルートを、いくつかあげてみました。厳密には「初登ルート」でないものもありますが、その内容の素晴らしさをぜひ味わってみてください(後述
小川山13ルートも参考に)。


小川山レイバック(5.9)
 1980年11月、小川山フリークライミングの先陣を切って初登された、いうまでもなくこの地のスーパーオリジナルルート。何度も紹介していますが、何度紹介しても良いルートです。ナチュプロクラックという内容、5.9とはいいながら決してやさしくはない難しさ、緊張感ともに、これぞ小川山。ここでのクライミングはまずここから、を、私は絶対的にお薦めします。

廻り目平岩峰群のクラック
 小川山レイバックのある親指岩から仏岩まで、点々と続く岩峰群には、小川山クライミングのルーツともいえる名ルートが揃っています。まずクレイジージャム(5.10d)から、予期せぬプレゼント(5.10a)、最高ルーフ(5.10d)、ノーリターン(5.10b)などがマスト。ちょっとレベルが上がったところで、イムジン河、バナナクラック(ともに5.11d)。昔はこれらを端からつぶして、フリークライミングの何たるかを学んだんですね。


小川山レイバック        クレイジージャム        ノーリターン上部

クラックの宝庫、廻り目平岩峰群





ポケットマントル(5.10d)
 唐沢の滝に向かう登山道沿いにあるフェースの名クラシック。幾重にも重なるダイクを、マントリングマントリングで越えて行くルートで、広大なフェースにバッと一発引いたそのライン取りがまず素晴らしい。そして何より素晴らしいのは、このルートがグラウンドアップ(登りながらボルトを打っていくスタイル)で拓かれたということ。拓いたのは小川山のグランドペアレンツ、吉川=室井ペア。所々現れる大胆なランナウトが、フリークライミングの本来のチャレンジ性を改めて教えてくれます。

地獄の黙示録(5.11b R)
 砦岩の開拓はパンクやガンバラナクチャの方が先(ともに83年)ですが、「オリジナル色」ということでは、この「地獄の黙示録」はこの地の金字塔でしょう。チームイカロスの特攻隊長、堀越隆正さんがグラウンドアップで拓いたもので、そのランナウトと、それを押してガンガン登る攻撃性はハンパじゃないっす。11bは純粋なムーブに付けられたもので、全体のグレードとしてはやや辛め。もちろんフォールは許されません。

完全なる酒乱(5.10a)
 こちらは砦の前衛壁。最近人気のフェースエリアにスッパリ切れ込んだ、見事なチムニーです。難しさは「予期せぬ〜」よりやややさしめだけれど、チムニー〜オフウィズスの典型的な技術を要するものとしてはむしろこちらの方がマストか? 瑞牆山やヨセミテを目指すならぜひぜひの一本です。

サラダむし(5.10b)
 知る人ぞ知る屋根岩4峰南西スラブ、その意外に大きなスラブに拓かれた、これまた知る人ぞ知るスラブ〜フェースの好ルートです。広大なスラブで、今は滅多にお目にかかれなくなった、古き良きルートファインディングと、けっこう考えさせられるムーブが味わえます。チョーク跡の(たぶん)無い壁で、ぜひオンサイトトライを。

メルトダウン(5.11a)
 屋根岩3峰南東面にある長いフェースルート。この壁はもともと3峰の正面壁としていくつかのセミアルパインルートが引かれた所で、このメルトダウンはそのうちの1つ「どんぐりルート」のフリー化にあたります。内容も、壁のほぼ中央を、細かいホールドをひろってのオーソドックスなものです。ロングバージョンの「ダイレクト」もなかなか。

セレクション(6p、5.8)
 今さら言うまでもないマルチの大人気ルートですが、ここで味わってもらいたのは、やはりそのライン取りの素晴らしさです。本来このルートは、いくつかある既成ルートを良いとこ取りでつなげたものなのですが、今にして思えばこれぞ「オリジナル」。こうした壁を「フリーで登る」ということの意味をじっくり味わってください。

PTA(5.11b)
 屋根岩2峰南壁の右下にあるフェースに拓かれたスラブのクラシック。なんか最近、まわりに沢山ルートが拓かれたけれど、「オリジナル」はやはりこれ! の意味も含めて紹介しました。昔の11bって、こんなに難しい、っていうのも、新しい発見すよ。



屋根岩3峰東面        屋根岩2峰南面        おむすび山スラブ
メルトダウンは左上の    セレクションは右縁に沿って
スラブにある          登られている


ほんにゃらごっこ(5.10b)
 今や人気のスラブエリア、屋根岩おむすび山スラブの、初登ルートは実はこれ。この後この地にルートを量産することになるJMCCの、当時のチーフリーダー、平田謙一君が、なんとグラウンドアップで拓いたもの(83年5月)。ボルト打ちには所々スカイフックを使用して、その場合はその都度ロアーダウンして登り返しをしている。ラインとムーブの秀逸さ、それに開拓スタイルも、素晴らしいの一語に尽きる一本です。でもそれより良いのは「おむすび山スラブ」というネーミングかな。

ツイスト、ノイズ
 これも人気のスラブエリア、水晶スラブにある、これまた人気のルート。ツイスト(5.9+)は花崗岩スラブの入門として小川山マストの一本。ノイズは、昔は5.11aの入門ルートとしてよく登られたんだけど、最近はボルトが遠いためか、あまりリピートされない。いいルートなのになあ・・・(ただし11aはちょっと辛め)。

小川山ストーリー(5.9)
 今さら説明するまでもない父岩の大人気フェースルート。しかし開拓の歴史はこの地ではかなり遅く、87年4月。なんとエクセレントパワーより後に拓かれたルートなんだよね。それでも今や小川山の代表的入門ルートとなっているのは、やはりそのラインの素晴らしさでしょう。30m近いフェースのど真ん中を、意外と微妙なルート&ホールドファインディングで登っていく内容は、そのロケーションとともにやはりお薦めの一本です。

タジヤンU(5.10a)
 こちらは同じ父岩の、左側のスラブに拓かれた人気ルート。出だしの限定はちょっと納得しかねるものはあるけれど、その上のアンダーから上はムーブもライン取りもなかなか。特に上部スラブは、大海原に思いきりよく乗り出していくようで、爽快の一語に尽きます。眺めも最高。



小川山ストーリー       タジヤンU          カシオペア軌道


カシオペア軌道(2p、5.10b)
 妹岩左の広大なスラブを登る、これぞオリジナルルート! と、!印をつけたくなってしまうのは、グラウンドアップという開拓スタイルならではのその絶妙なボルトの位置と、見事なライン取り! 特に1p目1本目のボルト位置は、グラウンドアップというスタイルを知らない人には「何で?」と思わせるほどの場所で、びっくりしてしまいます。さらに2p目もあれだけの長さに中間支点はたった4本! 初登は83年8月、檜谷清さんで、名著『我々はいかに石にかじりついてきたか』あたりにはずいぶんと悪人に書かれているけど、実際は偉大な人だったんですね、ほんと。

ジャックと豆の木(5.10b)〜パピヨン2p目(5.10a)
 クラックの入門人気エリア、妹岩の、実は初登ルート。83年4月30日に竹本俊博らがパピヨン1p目左のルンゼ(モスラ)からパピヨン2p目をつなげて登り、同日、小林茂、篠原富和でジャク豆を初登。その翌日、パピヨン1p目を継ぎ足して一本のルートにしたという経緯のルートです。パピヨン2p目は掃除の必要も無いきれいなクラックだったということで、今でもそのググッと伸びるハンド〜ワイドハンドは、実にヨセミテ的。ちなみにこの4月30日は、その左の横恋慕も、松江良三らによって登られている。

イレギュラー(5.10d)
 マラ岩の裏面(東面、ていうの?)にあるフェースの人気ルート。この壁は今から思えばホールドがたくさんあってどこでも登っていけるが、このルートはその中でも最も考え抜かれた、理想的なラインでしょう。もちろんこの壁の初登ルート。この後、小川山はラッペルボルトを用いたフェースの時代を迎えることになりますね。

JECCスラブ(5.10d)
 こちらはマラ岩の表面で、しかもフリー化ルート。マラ岩(ホリデー)や妹岩の開拓時期から課題視されていたものを、84年5月、室井=吉川ペアが成功した。きれいなスラブに点々とついたアバタをたどっていくのが、我慢我慢のスラブの醍醐味です。



妹岩とマラ岩、小川山の最も人気のエリア     パピヨン2p目


水曜日のシンデレラ(5.11a)
 スラブ状岩壁の側壁にあたる大きな壁に拓かれた、これも人気のフェースルート。11aは甘すぎる、なんて声もよく聞かれるけれど、その絶妙なライン取りと、それに伴う多彩なムーブの数々、そしてルートの長さゆえの精神力は、まあ、11aでいいんじゃないですかね。これが初イレブンという人も多いことだし・・・。でもホント、登って面白いルートです。オリジナルルートって、やっぱこういうもんです。

ブラック&ホワイト(5.10a)
 これも何度も紹介していますね。八幡沢左岸スラブにある小川山スラブルートの名クラシックです。しっかし、何度登っても、ボルトの少なさとムーブの難しさには毎度驚きますね。これが10a?って感じだけど、昔は5.9なんてグレーディングされてたんですよ。
う〜む、昔のクライマー、恐るべし。オリジナルルートを登ることの意義が、ここでも感じられますね。

ピンチ(5.10c)
 B&Wと同じ壁で、その左の独立したフェースにある、これも名クラシック。1本目のボルトまでの恐ろしさと、その後の絶妙なルートファインディングが、やはり「オリジナル」をひしひしと感じさせてくれて、シビレます。ここにはその後付け足されたバリエーションのボルトがあちこちにあるけれど、迷ったら、「まず最初はどこを登るか」を考えて行けば良いでしょう。それを見つけることが、クライミングの上達に必ずつながるものなのです。













 小川山13クラシック


 「アメリカ13州」って、ご存知でしょうか?
 今から約200年前、アメリカが建国した時に最初にあった州のことで、これをソラで言える人はオタクです(私は、言えます)。
 これを真似て、小川山13ルートというのを作りました。
 80年代初頭、日本にフリークライミングが持ち込まれ、それが小川山を舞台に徐々に形作られていった時の、代表的なルートです。
 小川山の、マスト・コレクションと呼んでいいかもしれません。
 ところで、なぜこうしたクラシックルートが重要かというと、そして私がやたらこうしたものにこだわるかというと、やはりそこに「フリークライミング」の根本的なスピリットが含まれているからです。我々は駆け出しの頃、こうしたルートを必死になって登り、フリークライミングとは何ぞや、ということを、勉強してきたのです。
 なかには5.11などという、当時も今も驚くほど難しいルートも含まれていますが、皆さんも、ぜひこれらのルートを登り、またその歴史にビックリしながら、フリークライミングの真髄を、じっくり味わってください。
 なお、13ルートはあくまでショートルート、もしくはそういう性格のルートで選び、マルチピッチはプラス5として別枠にしました。そちらの詳細はロング&フリーのページ参照にしてください。



フェニックス(T・R) 5.11b 80年 戸田直樹
 廻り目平から林道を30分ほどの所にある大岩の側面を登る、トップロープの課題。フリークライミングがまだ「ゲレンデ・クライミング」と呼ばれていた頃、日和田の猛者たちがトライしていた課題を、ヨセミテから帰った戸田直樹が見事解決した。当時の腕自慢の試金石的なルート。

さよなら百恵ちゃんルート 5.9 80年9月14日 矢作幸喜、原田正志
 八幡沢右俣の奥壁にあるきれいなクラック。短いながら典型的なハンドジャムが必要とされるルートで、戸田直樹に影響を受けてヨセミテに行った矢作君(なんとその時、山学同志会)が初登した。オリジナルは3ピッチで、岩壁の上まで抜ける。

                                 
さよなら百恵ちゃん1p目       ペンギンクラック開拓時の写真

モアイクラック 5.9 80年11月 中山芳郎、南場亨祐
 中山芳郎さんは戸田氏よりも若干早くヨセミテに行き、のち戸田氏と共に日本のフリークライミング発展の中核を担った人。その氏が『山と渓谷』フリークライミング技術講座の撮影のために見つけて初登したクラック。仏壇岩という大変遠い所にあるが、巨大な岩壁にスッパリ切れ込んだ迫力ある容貌は、当時のクライマーに強烈な影響を与えた。

小川山レイバック 5.9 1P目:80年11月24日 吉川弘、室井由美子
            2P目:81年4月29日 吉川弘、塩田伸弘、南場亨祐

 いわずと知れた小川山のNo.1クラシック。小川山で最も初期の、しかも5.9ルートながら、その垂直を若干越えた傾斜と、見事にスッパリ切れた岩肌は、初めて見る者を圧倒する。レイバックと言いながら、的確なハンドジャムが試されるルート。2P目を登る人は今はほとんどいないが、これもぜひ。

マラ岩ホリデー 5.9+ 81年5月3日 吉川弘、室井由美子、塩田伸弘
 「マラ岩」って、誰が付けたのかね? 初登者の中に女性(一応)が混じっているが、まさか・・・。は、いいとして、あまいグルーブを絶妙なスメアリングで登る核心は、5.9にしては異常に悪い。しかも初登時、ここはなんとボルト無し。上部の攻撃的なレイバックも、フリーのエッセンスを充分に感じさせてくれる。

クレイジージャム 5.10d トップロープ:81年5月4日 吉川弘、塩田伸弘、南場亨祐
                 リード:81年6月6日 池田功

 やはりこれも有名な、ハンドジャム・マスターのためのテストピース。しかしその初登日時を見てビックリ。これって、こんな昔に登られてたの? 室井・吉川ペアは、戸田氏と同じ年(79年)に早くもヨセミテを体験し、フリークライミングの何たるかを小川山の開拓で的確に体現してくれた。いわば小川山の父と母です。こりゃ子供は大変だわ。

                 
 小川山レイバック         クレイジージャム         マラ岩ホリデー


ペンギンクラック 5.10a 81年6月7日 池田功、南場亨祐、東田鉄也、和久本敏夫、山田憲司
 仏壇岩にある3ピッチのルート。特に3ピッチ目のスッパリ切れたクラックは典型的なハンドジャムクラックで、露出感もなかなかにすごい。あまりにも遠いアプローチ、そして今、1P目がかなり崩壊しているため、登る人はほとんどいないが、当時のフリークライミングのアドベンチャー・スピリットがひしひしと感じられる。

ブラック&ホワイト 5.10a 81年8月8日 綿引英俊、貝賀司
 八幡沢左岸スラブにある名クラシック。で、何が「名」なのかというと、ミニマム・ボルトというフリーの根源的な考え方を、見事に体現しているからでしょう。ラインが壁のど真ん中というのも、いい。綿引君は当時スラブの鬼、もしくは爬虫類と言われ、この後ロリータ・ジュンコや臨月いずるなどの高難度スラブを開拓した。

大日本国民ルート 5.10b 81年8月10日 南場亨祐、長岡薫、中沢雅和
 無名岩峰にある3ピッチのルート。核心は2P目の短いクラックのみだが、ここがジャミングも体勢も、思いのほか悪い。恐ろしい露出感の中でここに突っ込んでいく気合は、さすが南場亨祐。氏は戸田直樹がフリー化した一ノ倉沢コップ正面や、滝沢下部ダイレクトをフリー第2登したツワモノで、のち、池田功と衝立岩のフリー化に成功している。

予期せぬプレゼント 5.10a 82年5月2日 吉川弘、室井由美子
 廻り目平至近の殿様岩にある超有名ルートだが、おそらく再登者は驚くほど少ない。それはなによりオフウィズスという形状のためで、今でこそ巨大カムが出現して取り付きやすくなったが、昔はほとんど命がけであった。しかしクラックは非常に美しく、内容もきわめて豊富で、星をつけたら5つは間違いなし。私的には小川山で最も好きな1本。

                          
予期せぬプレゼント                   枯木を落としたよ


最高ルーフ 5.10d 82年5月2日 鈴木俊六、小林孝二、綿引英俊、貝賀司、西田祐次郎
 やはり廻り目平至近にある、3ピッチのルート。最後の大きなルーフをアンダー・ハンドジャム(?)で越えていく内容は、クレイジージャムと並んでハンドジャム・マスターのテストピースとされる。リード&フォローで登らなければならず、フォローも落ちたら大変。確実な実力が必要とされる。名前はコロラドの有名な庇、サイコ・ルーフからとった。

枯木を落としたよ 5.11a 82年5月4日 吉川弘、室井由美子
 屋根岩2峰南面に切れ込む、きわめて目立つクラック。隣のクモ糸に隠れてこれのみをやる人はあまりいないが、どちらかというとこちらの方がルートとしての妥当性は上です。初登時5.10dと発表されたが、今の感覚では11aはあるでしょう。そうなるとリードルートとしては小川山初の11か? そういった意味合いも含めて、ぜひ再評価してもらいたい。

ラブ・イズ・イージー 5.11a 82年5月4日 堀地清次、宮崎敦裕、大川隆、新星正雄
 無名岩峰にあるもう1本のクラック。こちらは大日本国民ルート初登以来、その存在を知られて課題視されており、日和田ですでに知られていた堀地清次が、見事初登を果たした。やはりこの時代のクラックとしては驚くほど難しく、ジャミングでいけば11cとの声も聞かれる。






ロングルート 

ガマルート
 75年9月 森田稲吉郎、林茂、赤松暁(フリー化は不明)

涸沢2峰正面 オリジナル:79年9月23日 広瀬憲文、佐田一郎
       ダイレクト:79年11月3日 広瀬憲文、田中晶子

屋根岩3峰レモンルート 80年10月12日 池学、小島秀雄、浜島金司

屋根岩3峰RCC神奈川ルート 80年10月12日 鈴木俊六、鈴木真一、貝賀司

屋根岩2峰セレクション 81年11月5日 篠原富和、渡辺尚幸、永吉信一郎