ルートガイド概要 | ||
フリークライミングの魅力の一つに、マルチピッチクライミングがあります。 雄大な岩壁、素晴らしい眺め、次から次に現れる変化に富んだ内容など、マルチピッチはすべてのロッククライミングの中で最も楽しいもののひとつといえるでしょう。 当スクールでは、アルパインクライミングとはまた違った、快適で楽しい、フリークライミングの一環としてのマルチピッチクライミングを提唱・実践しています。 みなさんもぜひ、こうしたルートを、豊かで充実したクライミングライフの中の一つの目標として、取り組んでみてください。 各ルートのクライミングは、随時受付のガイド扱いとなります。スケジュール表には特に定めた日程は設けておりませんが、ご希望のルートがありましたら日程をご提示の上、問合せ・お申込みください。 (すべてのルートガイドはそれ以前に当スクール講習会に参加されていることが条件になります) |
ヨセミテ、エルキャピタン・イースト バットレスを登る |
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ルート・インフォメーション | ||
二子山(中央稜) 6p 5.7 | ||
西上州の秀峰、二子山の西岳南面に切れ落ちる急峻な岩稜が、二子山中央稜です。石灰岩のマルチピッチとして、古くから関東のクライマーに親しまれてきました。技術的にはW〜X級中心で、全6ピッチ。各ピッチのテラスも大きく、初心者でも充分に楽しめる好ルートです。特に白い石灰岩に新緑や紅葉が映える春秋は眺めも抜群。マルチピッチの楽しさを存分に味わえることでしょう。 ガイド料金=1万5千円 (通常はマルチピッチ講習会の一環として行ないます。 プライベート講習の場合は+諸経費3千円) |
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子持山獅子岩 5p 5.8 | ||
上州榛名山の北にある独立峰、子持山の頂上付近には、麓からでも見える印象的な岩峰があります。これが獅子岩で、ここに数年前、ボルトルートのマルチピッチが開拓されました。内容はすっきりしたフェース〜スラブで、初心者にも大変登りやすく、すでに大人気ルートとなっています。天気の良い1日、深山の眺めを楽しみながらのマルチピッチハイキングを堪能してください。 ガイド料金=1万5千円 (通常はマルチピッチ講習会の一環として行ないます。 プライベート講習の場合は+諸経費1万円) |
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城山南壁 | ||
今や冬場の大人気エリアとして有名な伊豆城山は、下から仰ぎ見ると穂高屏風岩を思わせるほどの怪峰です。その下部に広がる南壁は、特に冬場のマルチピッチゲレンデとして貴重なエリア。壁の規模は高差約100m、幅200m。スッキリしたスラブ壁に所々ハングがあって、10本以上あるルートにそれぞれの個性が光っています。冬晴れののんびりした1日、狩野川を見下ろしながらのクライミングは、爽快さと充実感を存分にもたらしてくれるでしょう。 ガイド料金=一律1万5千円 (通常はマルチピッチ講習会の一環として行ないます。 プライベート講習の場合は+諸経費5千円) |
麓から見た城山。左の壁が南壁 |
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主なルート 南西カンテ 7p 5.7 城山南壁の左端のカンテライン。やさしく、マルチピッチ・クライミングの入門ルート的な存在。 中央壁左ルート 4p 5.10a 三日月ハング左方のやや隠れた壁を登るルート。やさしいがオリジナル感あふれた玄人好みの1本。 三日月ハングルート 3p 5.10c 迫力ある三日月ハングをダイレクトに越える名ルート。変化に富んだおすすめの1本。 エキスカーション 5p 5.10c 三日月ハング右のすっきりしたフェースをダイレクトに登る、南壁マルチピッチの代表的ルート。 ダイレクトルート 4p 5.10c 三日月ハング〜鎌形ハング間のスムーズなフェースを登るクラシックルート。 バトルランナー 3p 5.10b 南壁中央の顕著な鎌形ハングをダイレクトに越える、この壁一番の人気ルート。 (さらに詳しくは⇒) |
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小川山 | ||
小川山はいうまでもなく日本のフリークライミングの故郷として発展してきた場所です。そしてその理念は、フリー&ナチュラル。マルチピッチにおいても、スラブやクラックをつなげた自然で絶妙なラインどりに、ナチュラルプロテクションを駆使しつつ登るルートが数多く拓かれています。現在のレベルからすれば、難度的にはさほど高いものはありませんが、自然に即するという考え方とそれを基にしたクライミングのスピリットは、ここでぜひとも味わってもらいたいものです。 ガイド料金=一律1万5千円 (通常はマルチピッチ講習会の一環として行ないます。 プライベート講習の場合は+諸経費1万円) |
屋根岩3峰RCC神奈川ルートの登攀 |
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主なルート スラブ状岩壁ガマルート 5P 5.7 ガマスラブ左奥のスラブ状岩壁から緩い尾根沿いに続く岩場を辿る、小川山マルチピッチの入門ルート。各セクションはテラスも大きく、マルチ未経験でも楽しめます。しかも終了点からの眺めは最高! 屋根岩2峰セレクションルート 7p 5.8 大きな屋根岩2峰ダルマ型フェースの右端に沿って登る、この地で一番の人気ルート。すっきりと硬い岩、スラブ、クラック、チムニー、フェース、さらに高度感満点のトラバースなど変化に富んだ内容は、マルチピッチクライミングの楽しさを目一杯満喫することができます。 屋根岩3峰レモンルート 4p 5.9 2峰と比べ若干ワイルドな感のある3峰南稜を、高度感満点のダイクのトラバース、垂直のハンドジャムクラック、ナチュプロのフェースなど、絶妙なラインどりで登る好ルート。最近人気上昇中です。 屋根岩3峰RCC神奈川ルート 4p 5.9 3峰南稜裏側のクラックシステムをオールナチュラルプロテクションで登る、ワイルドなルート。小川山マルチピッチクライミングのエッセンスが詰まった玄人好みの1本です。 涸沢2峰ダイレクトルート 3p 5.10a 小川山最奥ともいってよい涸沢岩峰群にある、小川山フリークライミング・ムーブメントの先鞭を切って開拓された歴史的ルート。各ピッチは短いものの、最上部のクラックはロケーション最高です。 八幡岩ウスノロマン 6p 5.10d 6ピッチ中5ピッチが5.10オーバーという、小川山のマルチピッチ最難クラスのルート。内容もクラック、スラブ、フェースと、まさに小川山マルチの卒業課題に当たるルートといっても良いでしょう。 烏帽子岩右岩壁むささびルート 6p 5.10b 右岩壁は廻り目平から遥かに仰ぎ見る烏帽子岩の裏にある、スケールの大きな岩壁。ロケーションも内容も最高で、アルパイン的な楽しさも充分に味わえる隠れた名ルートです。 その他のルート 屋根岩2峰南稜ルート 7p 5.8 あみだ岩「あみだくじ」ルート 4p 5.9 砦岩前衛壁アーチクラック 3p 5.10a 涸沢4岩峰フェアウェイ 3p 5.10a 仏壇岩エレクトリック・レディランド 4p 5.10a 烏帽子岩左稜線 6〜7p 5.8 |
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瑞牆山 | ||
瑞牆山は、幽玄な奥秩父にあって幾多の岩壁を擁した奇峰として知られています。しかし、クライマーにとってはそれよりも、日本最高位のトラッドフリーエリア、同じくマルチピッチエリアとしての方が有名でしょう。ここにある3大岩壁、十一面岩、大面岩、カンマンボロン、は、衝立岩や屏風岩を凌ぐ難度の壁として70年代に開拓され、以後クラックなどを辿ったそのナチュラルな内容から、海外に通じるロング&フリー化の課題として捉えられてきました。トラッドフリーのひとつの目標として、ぜひとも挑んでいただきたいエリアです。 ガイド料金=ルート別+諸経費8千円 |
瑞牆山最大の十一面岩 |
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十一面岩左岩稜末端壁「調和の幻想」 5p 5.10a 日本のクラッククライミングの代表エリアとして有名な「十一面末端壁」の、最もやさしいルートです。しかしやさしいとはいえ各ピッチすべてが5.10aクラスで、内容も変化に富んだ総合力を必要とするものばかりです。まさに瑞牆山マルチの入門ルートとしてお勧めです。 ガイド料金=2万円 (マルチピッチ講習の一環として行なう場合もあります) |
最終ピッチの大フレーク |
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十一面岩左岩壁「山河微笑」ルート 5p 5.10a 瑞牆山最大の岩壁、十一面岩の脇にある独立岩壁、左岩壁の長いクラックシステムを辿るルート。硬い岩の、チムニー、ハンドクラック、コーナー、オフウィズスと変化に富んだ、かつストレニュアスな内容は、日本で最もヨセミテ的なクライミングが楽しめるルートとして大人気です。 同「山旅79黄昏ルート」 4p 5.10a 左岩壁正面の明るい、大きなフェースを、右に左に絶妙なラインどりで登るルート。瑞牆山マルチの楽しさが詰まった好ルートです。 同「錦秋カナトコルート」 7p 5.10a 左岩壁正面左のフレークから同壁左端のカンテラインに出、最後の頂上岩壁(カナトコ岩)までつなげるルート。10aは出だしのほんの数歩で、その他は5.7程度。瑞牆山でもっともやさしいマルチピッチルートとして入門者に最適です。 ガイド料金=左岩壁各ルート一律3万円 |
山河微笑ルート最終ピッチのオフウィズス |
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十一面岩正面壁「ベルジュエール」 9p 5.11b 十一面岩正面壁は、国内屈指の大岩壁、という以上に、クラックを主体とした海外のロングルートに準じたクライミングが実践できる場ということで、非常に存在意義が高い所です。なかでも「ベルジュエール」はそうしたクラック系満点のロングルートで、そのすっきりした内容はこの地一番の人気です。 内容は、1p目がフェース以外はすべてクラックで、そのうちの3ピッチが5.10−クラスという厳しいものです。トラッドフリーを追求する当スクールの最終目標として、ぜひ目指していただきたい1本です。 同「春一番」 9p 5.11b この壁2本目のルートにして「ベルジュエール」のベースともなったルートです。ベルジュエール開拓時にフリー化されずに残ったピッチも近年解決され、「ベルジュエール」よりやや難しいルートとして生まれ変わりました。国内マルチピッチの現在進行形を示す秀逸ルートです。 ガイド料金=正面壁各ルート一律4万円 |
ベルジュエール5P目、5.9のフレーク |
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十一面岩奥壁「一粒の麦」ルート 6p 5.10b 十一面岩の右に広がる岩壁帯を、近年「奥壁」と呼んでいます。小さな岩が重なった形状で岩壁としての連続性は少ないですが、この谷の最奥の岩壁ということで深山ムードが味わえる好ルートが拓かれています。特に本ルートの核心は30m近い垂直のクラックで、近年人気が高まっています。また頂上の眺め、雰囲気も素晴らしい。瑞牆山好きにはぜひ訪れて欲しい1本です。 ガイド料金=3万円 |
十一面岩の、左が正面壁、右が奥壁 |
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大面岩左岩稜 7p 5.10b 瑞牆山を表登山道から見ると、カンマンボロン、大面岩(おおづらいわという二つの岩壁が、まるでビルディングのように聳えていて見る者を圧倒します。いずれも非常に困難な岩壁ですが、この左岩稜はその中でも取り付きやすい1本。特に中間部のカンテは露出感、内容ともに爽快の一語に尽きるもので、ここを登るためだけでも訪れる価値は充分にあります。最後の5.10aのオフウィズスも、楽しいか、苦しいか・・・。頂上からの眺めも最高です。 ガイド料金=4万円 |
高度感満点のカンテ |