*第15章で弾丸の形(厳密には断面図)が半円なことを不思議に感じている方がいらっしゃるかもしれないので、おまけとして記しておきます。
弾丸というと、発射前の形、つまり半円に長方形がくっついたような形を連想しがちであるが、発射後の弾丸は薬莢(長方形部分)を切り離し弾頭だけになっているので、あのような半円形に見えるのである。
(厳密には、弾頭は半円がややとんがっている形状だが、発射の衝撃で少しつぶれて半円に近い形になるのだろう)
詳しくは以下リンクなど、弾丸の仕組みについてご参照いただきたい。
※上の図はクリックで拡大
発射後の弾丸の形を半円+長方形だと思い込んでいると、本やつぶれたニットキャップと交換しようとして焦ってしまうこと請け合いである。
弾丸のスピードは1秒間に数百メートル以上進むくらいの速度である。人間が弾丸のスピードで飛ぶニットキャップに衝突された際、弾丸ほどではないにしても、結構な衝撃だったのではないかという気がするが、実際はどの程度だったのか。
このへんの計算っぽいものは、(近似値であれば)高校物理の知識で可能、かもしれない。
「弾頭の質量」と「ニットキャップの質量」を比較すると、たぶんニットキャップの方が大きいと思われる。
が、「ニットキャップが衝突した際の接触面積」と「ニットキャップの空気抵抗」、「ニットキャップの衝撃吸収」が、弾頭のそれよりかなり大きくなることから、
弾頭が与える圧力≫ニットキャップが与える圧力
となるだろう。
しかも弾頭とニットキャップは材質が異なる。毛糸製の帽子は、硬い金属よりも衝撃を吸収しやすいので、ニットキャップが衝撃を吸収してくれる分、人間にぶつかった時に衝撃が減少しているだろう。
最終章のイモでも同じ計算ができるが、接触面積、空気抵抗は弾丸より大きくなるもののニットキャップよりは小さいため、大人ひとりを吹っ飛ばすには十分な威力だったはずだ。