月刊外聯"X"ぷれす。四月号
gairen"PEKE"press December 2000

私的大納言顛末記
してきダイナコンてんまつき
−東海方面索敵作戦−

主席専属蕎麦打ち職人(要申請人間国宝)
佐野[従軍楽士]高久

こしばらく、この頁では、ゼロ☆コンの話題に終始していた訳じゃが、じゃあ、外聯は若いモン一人を働かせて、”のぉのぉ”としてたんかい?などという声も聞こえたり、聞こえなかったり。
 ちゅう訳で、他にもアチコチ出没してたぞぉい。 などという事を、一つ今世紀中に騙っておこうかと思い立ったが吉日。
 ちょっとゼロ☆コンの方はインターミッションを貰ってだね、今年のダイナ☆コンの事にも触れておこうと思うのだよ。
 只でさえ、どんどん記憶が風化していくからのぉ。憶えてるウチに書いてしまわんとあかんのよ。
 いや、決して平野くんの
原稿が締切に間に合わなかったからとか、緊急穴埋め企画とかそういう事ではないので、必要以上に詮索しないように・・・。(笑)

イナ☆コンは、僕にとっては、初参加の第6回で人外協に引き摺り込まれた、忘れ難き地方コンであります。その後ずっと参加していて、しばらく中断して、昨年から復活しました。一晩中騒げる大会なのでけっこう根強いファンがいるんだな。

甲紀21年10月21日(土曜日)

日は全国的に激しい雨だったけど、今はすっかり上がって薄日も差してきたことだし、準備をして出かけるか。
 旅の友は「SFJapan秋季号」・・・。
 筒井康隆vs京極夏彦との対談は面白かったです。筒井さんは京極氏の仕事よく知っていますね。
 午後3時くらいに会場に到着してすぐ、笹本祐一さんに挨拶にいったら、既に浅利義遠さんと橋本純さんとで、地ビールを飲みながら、ロケット談義が始まっている。
 なんせ、浅利氏と笹本氏は、スペースシャトルの打ち上げを見学して、前夜東京着、その足での会場入りですから、話題はホット。
 ちょっとだけ、ご相伴に預かりながら聞いている内に、話はいつも通り脱線し始める。
 小川一水さんが到着し、話に加わる。
 外を通りかかった柴野拓美先生が加わり、もう企画は始まってるようなもの。
 楽しい一時でした。

井康隆もそうですし、野拓美先生と話していても感じるんですが、老(失礼か)大家といわれる方々が本当によく若手の本を読んでおられることです。(っても、京極氏は僕と同い年なんでしっかり中年だけどね)
 常に情報のアンテナを張り巡らし、いいものは抑えている。年齢差を気にすることなくそんな話ができるのは、SFならではですね。

 僕が聞いていた範囲、今回のダイナ☆コンで柴野先生の口から・・・。
 野尻抱介さんを評して・・・。
 「いやあ、凄いですね。最初ジュブナイルから出てたんで敬遠していたんです。」
「でも、SFマガジンに掲載された『蒼白の黒体輻射』が目に留まったんです。」
「僕にとって[黒体輻射]って単語は思い入れがあるんです。よく書けてました。さっそく『太陽の簒奪者』を全部読みました。いいですねぇ。」
 羅門祐人さんの『青き波濤』を評して・・・。
 「いや、戦記シュミレーションというのはね、SFじゃないものが多いですね。」
「でも、羅門さんの『青き波濤』はよくできてます。しっかり調べて書いている。」
「橋本純さんの書くものも、本当によく事実を調べた上で、うまく法螺を吹いてますね。」
 いやあ、羅門氏は数年間松本に住んでいて、その間に書いたんですね、『青き波濤』は。
 ある日いきなり羅門氏から電話があって、
 「なあ、今の自衛隊の保有艦船ってのは、旧軍の兵器で装甲を破れるのか?」
 これが、僕にとってのすべての始まりでした。
 その後いろいろとネタバレをやられつつ(読者としては面白くねぇぞ)しばらくの間、『鋼鉄の嵐』とともにお手伝いしました。
 曰く「1943年当時の朝鮮半島の人口って?」
 これは、他の協力者が資料を持っていました。
 「北と南って、微妙に言葉が違うそうだけど分断前ってどうなの?」
「それと、斉州島あたりって、聞けば判るくらいの方言があるの?」
 これは即座に知っている事実をお知らせしました。
 『鋼鉄の嵐』以後、安達裕章氏が図面、神北恵太氏が地図を作成していますが、僕が羅門さんに相談を受けて、出版社の人に紹介したんだな。
 二人が快く引き受けてくれて、いい仕事をしてくれたんで顔も立ったってもんです。
 橋本純氏。
 言わずと知れた人外協の「げんしゅう」さんです。
 戦記シュミレーションを書くにあたって、調べまくります。
 そして、計算しまくります。
 それが全部頭に入ってます。
 企画で講師をやったんですが、2時間喋りまくるのに、A5判のメモだけでやっちゃうんだからすげえ。その上、その場で仮定を元に戦闘機のスペックを計算してしまったり。
 戦記シュミレーションで何も考えず兵器の名前だけを並べて行数を稼ぎ、技術的バックボーン、資源力、工業力、生産体制、コストなどのことを何も考えずにいきなり「画期的な新兵器」を安直に登場させるものを見かけますけど、そういうのを書く連中って、悉くSF者ではないんだな。
 SFはセンス・オブ・ワンダーが大切だけど、より精密に導き出された「とんでもない」モノだからこそ感銘が深いんだなぁ。

 あ〜、まだ熱気が醒めてねえや。

甲紀21年10月22日(日曜日)

後3時前に帰宅してからバタン・キューして、いま起きました(現在午後6時)。
 いやあ、それだけ充実してたって事です。久々に貫徹しました。
 しかも午前2時までは殆ど舐める程度(僕にしてみれば)しか、アルコールを入れずにいました。
 実は当日スタッフというのに、挑戦したんです。
 企画の張り付きです。
 由香様に補助してもらい、楽しく企画に参加しつつも、なんとかひとコマ終了までいきました。
 いや、書きたいことは小惑星の質量ほどあるんですけどね(笑)。
 え?太陽系全体にしたら、大した量じゃない!?


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