外惑星聯合の設計思想に新説
gairen"PEKE"press April 

外惑星聯合佐久通信局

  第一次外惑星動乱で勇敢に戦った外惑星聯合の兵装について、小惑星佐久に住むT・ターディオン博士から次のようなコメントを頂いた。
 「開戦前こそティアマトに代表されるような戦闘的でいかつい艦が設計建造されてはいるが、開戦劈頭に失われた多数艦艇の替わりとして戦時急増された艦の多くが、戦術的効果よりも心理的効果を狙って設計されているといえる。
 先日新たに発掘されたユープケッチャ級特設砲艦の資料から判ることは、敵艦乗員の瞬間的な思考の混乱と判断力の低下を狙ったブレードの存在だ。これこそ未だにその正体が掴めていないとされる連絡士官が設計に深く関わっていた証拠であり、また指導部上層に精神医学に精通した人物が存在し、助言を行なった可能性もあるといえるのではないか」
 と言うと博士は手作りのユープケッチャの模型を取りだし、船体に沿って格納されているバネ仕掛けのブレードを記者の前でびよーんと唐突に展張してみせたところ、記者は一時的な危篤状態に陥ったものの数秒で心拍呼吸脳波意識食欲が復活した。この瞬間を突いて撃沈破された艦が多いという。
 巡洋艦日本一に至っては見る者の食欲をかきたて、一時的に大きな空腹感を与えることで戦闘力を奪われたという報告書が残されていることも博士は明かしてくれた。
 また博士は第壱號作戦で用いられた熊型汎用決戦兵器についても、その愛くるしい外見で敵兵の判断を狂わそうとしたと指摘し、外惑星聯合が動乱中に計画した全ての兵器にこのような心理的効果を狙った形跡があるとしている。
 なぜ連絡士官という肩書きの人物が艦艇の設計に関与していたのか、また新たなる謎となりうる精神医学者の存在など、明かされるべき謎はいまだ多いようである。

※今月の『愛の外聯物語』はお休みさせていただきました。


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