京例会 in 外惑星聯合
gairen"PEKE"press March 

仮装巡洋艦「筑紫」砲術士官(免許皆伝)秋吉[長崎支部長の奴麗<仮称>]祐典
注:役職名は当時のものを使用している

プロローグ

 福岡空港に突如アナウンスが鳴り響いた。
 「東京支部襲撃の為、御出発の【外惑星聯合軍中洲根拠地隊司令】の秋吉様、秋吉祐典様。外聯の林主席様より秘密の伝言をお預かりして居ります。至急JASカウンター迄お越しください。」
 なに、
秘密の伝言
 こんなアナウンスをしたら秘密でもなんでもないではないか。私は、外聯の行動に恐怖をおぼえた。

 その伝言には

 1.東京襲撃は中止する。 しかしながら貴官はそのまま東京に向かう事。
 2.東京支部例会に潜入し、そこで外聯の例会を行う事
 3.【連絡士官】の生命を確保する事。

 最後に印刷でご丁寧に「○○生命」と書いてある。
 この紙はひょっとして粗品のメモ紙?
 「それなら脳死状態でもいいかな。」
 などと呟きながら飛行機に搭乗した。

第一部<邂逅>

 東京に到着し、まず村田【治部】さんと合流した。
 「連絡士官とはやく合流しないと。」
 「連絡士官と合流?どうせ今ごろは・・・・・」
 村田氏は言った。言葉の意味がわからぬまま、村田氏と合流場所へ向かった。
 そして理解した。私の到着より先に東京支部は彼の身柄を拘束していたのだ。噂の通り、村田氏は東京支部と何らかの繋がりが!?
 私は、連絡士官に近づき、話し掛けた。
 「よかった、まだ心臓は動いてますよね。」
 なにを言っているんだという目つきで連絡士官は睨んでいた。そこへ一人の青年がにこやかに又ほっとしたような顔つきで現れた。
 「よかった、まだ生きてる。あ、どうも。平野【狼煙係】です」
 その青年は言った。彼も同じ命令を受けていたようだ。
 連絡士官はそのまま連行され我々も同行を求められた。

第二部<逃亡>

  我々は地下室へ通された。
 どうやらここで東京支部の例会が開かれるようだ。私は労せずして目的の一つを達成した。
 後は連絡士官の心臓だけが気掛かりだ。今の所、彼に危害を加えられる様な事はなさそうだな。
 私は安心して自分のグラスを一気に飲み干した。
 「もう一杯下さい」
 私はまた同じ物をたのみ、ふと連絡士官をみると、彼のテーブルにも同じ物が置かれていた。
 たしか連絡士官は下戸じゃなかったかな。こんなの飲んだら多分死ぬんじゃないか。
 いかん、ここで死なれたら、私が困る。
 このままでは、やさしさが主成分の「バファリン」も、又「太田胃散」ですら問題を解決してくれない。
 「俺の酒が飲めないのか」
 誰かが言った。
 連絡士官は平然としていた。それから私に囁いた。
 「じゃそろそろ失礼するか。もう手は打ってある。」
 「平野君を身代わりにする。もう取り引きは成立した。」
 「何の取り引きですか?」
 私は尋ねた。
 連絡士官は笑って言った
 「君にはどうでもいいことだ、これまでの意味のない警護に感謝する。」
 最初から連絡士官は我々を盾にするつもりだったのだ。
 ま、いいかここには酒もあるし。連絡士官もいなくなる。せいぜい楽しくやるさ。
 私はまたグラスをあおった。

エピローグ

 私は、福岡に戻ってきた。
 売られた平野氏の消息はついに確認出来なかった。無事だろうか?
連絡士官は東京から脱出した。どうせならエンジントラブルでそのままよその恒星系まで行ってくれれば有難い。
 そう思った。
 とりとめもない事を考えているとき、福岡空港にアナウンスが鳴り響いた。
 「東京より御到着の外惑星連合軍中洲根拠地隊司令の秋吉様。秋吉祐典様。外聯の林主席様よりメッセージをお預かりしております。JASカウンターまでお越し下さい。」
 その「○○生命」の粗品に書かれた伝言を見て、思わず笑みをもらした。
 「よかった。平野さんは無事だったのか」
 「残念、”やはり憎まれっこ世にはばかる”か。」 
 連絡士官はエリヌスに帰還していた。
 ひょっとすると、この伝言は連絡士官が捏造したものではないのか。
 もう、どうでもよくなってきた。とにかく疲れた。
 早く家に帰りたい・・・。 (了)


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