(序詞)



 辿った道のりは遠く 視界に尽きて
足元の文字は 古く 読めない
(語り得ない言葉は既に意味を保たない)

灰色の岩の上で 僕は天空に文字を描く
(一部の才に力貸すものがあれば
僕は天空をさえ 形造れたかもしれない)

文字は やがて 意味を失くし
予言のまま 無辺の元に 朽ち果てる

僕の立つ この灰色の岩に記された
言葉と 変わること無く風に送られる

見上げれば 空は 更に高く―――
  ―――視界の端に立つ 硬質の人影

それは黒く鉱質に煌めいて…

知らぬ者はない 『影』
            
1◇(序詩)◇完
◇BD12('87).12◇FIRE AFTER FIRE vol.II ◇(DBP)