ヤクスギランド入口(6:35) 
 千年杉(6:45?)
 ひげ長老(7:06)
 蛇紋杉(7:10-25) 
 天文の森(7:45)
 釈迦杉(7:55) 
 大岩(涼風岩)(8:20) 
 石塚別れ
 太忠岳山頂(天柱石)露石(8:50-9:55) 
 蛇紋杉(11:30)
 天柱杉
 母子杉(11:48)
 三根杉(11:50)
 双子杉(12:14)
 くぐり杉(12:16)
 ヤクスギランド出口(12:30)

  : 最終水場




1−屋久島での第一目的、天柱石

 天気予報ではあまり芳しくなかった屋久への旅。上陸初日の夕刻に、島の東側の安房から明日目指す太忠岳の天柱石が見えました。これ以降天気が悪くて天柱石が遠望できなくなることも考えられるので、初日のうちにズームズームで撮っておきました。まさに天に向けて親指を突き立てているかのごとき四十メートル(五十メートルとも言われる)の大石。俄然やる気が出てきました。

 翌日、朝の予報では午前中は晴れ。午後からは…雨。しかし太忠岳は山頂までの歩行時間が約三時間となっています。ボクらは午前六時半発なので、往復でも昼過ぎには十分下りてこられる計算。とりあえず雨の心配はなさそうです。

2−道程

 朝の天気は良く、午前六時半にヤクスギランドに着。青空を見上げると、北方には朝日に輝く太忠岳(木の向こう側だけど)が。天柱石も昨日より近いため、クッキリ見えます。

 ヤクスギランドは入場するのに環境整備推進協力金として三百円支払うことになっていたのですが、まだ朝早いために ひとけ はゼロ。当然、入り口にある売店もトイレも閉まっていました。トイレくらいは外にあって欲しかったと思うんですが… まぁ、そんなわけでそのまま入場です。あ、いやもちろんお金は帰りに払おうということになったわけです。


 ヤクスギランド内は歩行時間別に四つのルートが設定されていて、その中の一番長いルート、百五十分コースを行きます。するとコース全体の四割くらいのところに、蛇紋杉という大きな倒木があって、そこから太忠岳への登山ルートが続いているのです。ちなみに入り口から二つ目に通る橋、案内図のちょうど中央下にある荒川橋は、川の氾濫で橋が通れなくなり、最近まで長い間通行止めになっていたようです。そのため荒川橋から先のルートはあまり整備されていない、“ヤクスギランドのルートコースの一つ”というよりも、普通の登山道っぽい印象。

■蛇紋杉の根と幹 → 

 ランド内の最初のうちは、道が板で整備されていて、登山道に入る前の運動にちょうどいいくらいの歩きになりそう。時間のコースによって色々分かれ道がありましたが、ところどころに全体図と現在地の印があるので、ほぼ迷わずに行けるはずです。途中、千年杉、ひげ長老などを経て、四十分程で蛇紋杉に到着。台風で倒れたという、どでかい倒木です。でもこの杉、果たして木の幹が蛇紋なのか、根の形が蛇紋なのか? ボクはとりあえず…幹?…かなぁ、という感じでしたけど。もし根がこの木の名の由来だったら、倒れるまでは名無しの屋久杉だったのでしょうか。ともあれ、ここには休憩所(東屋)があったので、座って朝食。三人中ボク以外の二人は山に登るのが初めてというひとだったので、ちょっとキツそうでした。食事はおにぎり二つで軽く済ませ、いよいよコースから外れ、太忠岳登山道へ。



 ←■このあたりは屋久島のイメージっぽい、苔の深い森

 ヤクスギランド入り口の案内図もそうだったんですが、ボクらが持っていた地図でもここから先、つまり蛇紋杉〜太忠岳のルートには、ただ二時間とか書いてあるだけ。山頂までの途中に何も目標とするものがないとなると、この二時間はなかなか疲れそうな気がしてきます。しかし屋久島発の登山で森に入るのも初めてだったので、周りをキョロキョロ観察しながらの登り。途中には島や杉の木についての説明が書かれた看板がいくつもありました。




 太忠分かれから先はヤクスギランドのコースからは外れているため、登山道らしい登山道。しかし屋久島の登山道はとにかく木の根が出ている箇所が多い印象です。それらが複雑に絡み合っている道を進んでいくと、天文の森と書かれた休憩場所に出ました。なんでも天文年間に杉の伐採をされた場所の跡地だそうです。ここから太忠岳山頂まで、残り二キロ。ちょっとの休憩後に出発。そしてそのあと、すぐの場所に、忽然と森の中に現れたのが、釈迦杉という名の屋久杉の大木。


 ←■釈迦杉

 実はボクらの持っていた地図には釈迦杉の名はなくて、木の前にも名前の看板とか何もないので、ただ森の中にある“その他大勢”の杉の木の一本かと思っていたんですが、その姿は異様に存在感があって、あからさまに目にとまる大木でした。名前もそのときは知らなかったので、乗っている車とかにも名前をつけるタイプの仲間が勝手に命名、その名も「大蛇丸(おろちまる)」と名づけていました。すぐ前に蛇紋杉を見たから、蛇つながりでそうつけたらしいんですが、なぜ“丸”なんだかは未だに不明です。あとで名前があると知った時には、全員が全員、「やっぱりあれだけの木なら名前はあるよな」という感想でした。ただ、縄文杉にしろ他の名前のついた杉たちにしろ、名の看板などが木の横にあるわけじゃないですか? その点この釈迦杉は登山道の脇に名も掲げず立っていて、知らずに通った時でもこれだけの存在感。屋久杉スゲーって思いました。
 実際のところ、太忠岳はあまり登る人が少ないらしいんですよ。この日は太忠岳登山の行程からすれば、出発が朝早かったこともあったんですけど、日曜日だったにもかかわらず、帰るまでにランド内だけでしか人には会わなかったし、会ったのも十人もないくらいでした。そんな人通りのすくない場所でひっそりと(雰囲気的には全然“ひっそりと”ではないけどね)立つ釈迦杉は、ボクの中では縄文杉や大王杉くらいのインパクトのある屋久杉でした。と、これだけ釈迦杉について書いていることで、いかにこの木が印象深かったかがお分かりいただけたかと思います。

 さて釈迦杉で感銘を受けていてばかりもいられず、登りを再開。あいかわらず根が地表に出ている登山道を時には根をまたぎ、はたまたくぐったりもしながら進み、大岩(涼風岩と言うみたいです。たしかに石の前にはいい風が吹いてた)の前に出ました。ここで残り約一キロ地点。屋久杉ランドを出発して二時間ほどでした。道は険しくなってきて、もはや登山道に出ているのが根なんだか木なんだかもわからないような始末。杉以外の木も多くてもうわけがわかりません。しかし登山道の印(ピンクのリボン)は数も多くハッキリしていて、非常に登りやすいし道に迷いにくいと思いました。ボクがこれまで登ったどの山よりルートがわかりやすい登山だった気がします。



 ↑■大岩と木だらけの登山道。これが道か?

 大岩の後、十分もしないうちに、大して太くもないけどまっすぐ伸びて渦を巻いたような杉の木を発見しまして。これこそまさに“その他大勢”の杉の木なんですが、ボクは釈迦杉の名が判明した後、かわりにこの木を“大蛇丸”と名づけました。誰にも内緒で。かわいそうだからね。いや、木よりも、名づけた仲間の人が。でもこの幹、蛇紋杉に似てないですかね? どうだろうか。

 さあそして石塚山への分かれ道(石塚山方面への道にはロープ張ってあった)を過ぎ、しばらく行くとやがて大きな石。着きました、太忠岳山頂。天柱石の先が本当の山頂らしいんですが、これ登るのなんて無理。到着したのは九時前。最初は晴れていた空も、だんだん雲行きが怪しくなってきて、あたりはガスだらけになってきます。しかも風があからさまに強くなっていたので、天柱石の南側にある平石の上に立っていると、飛ばされそうなくらいの風が吹きつけていました。とはいえ平石に立って見上げると、なんて巨大な天柱石。上を見なければ、これは普通に壁です。

 時々ガスが切れると安房の港や愛子岳、荒川ダム(縄文杉を見るための登山口が近くにある)などが見えました。しかしガスが多かったのと、当初の目的でもあったとおり、周りの景色よりもほとんどの写真を天柱石をバックにして撮りまくりました。そして石の周りをぐるり。平石とは反対側の天柱石の北側には祠もあり、地元の「三岳」という芋焼酎が供えられてありました。快晴というわけでもなかったわりに、結局天柱石の周りで一時間以上ダラダラ。とにかく風が強かった。でも満喫。これで屋久島での第一目的が達成されたわけです。ちなみに天柱石直前にも大きな石があり、そこからは真正面に天柱石が見えるので、写真を撮るのには非常に良い場所です。本などにもここからの写真が多く載ってました。反対側には花折岳と石塚山も(晴れていれば)よく見えます。たぶんね。以下、雲が流れたちょっとの隙に撮りました



 ↑■花折岳(?) と天柱石の下の祠



■南側と西側から見た天柱石

 そして帰路。来た道をどんどん降りていきます。途中で大蛇丸の人が膝が痛くなりそうと言い出したので、ボクの持っていたサポーターを貸したり、帰りに釈迦杉の前の丸太橋の苔でボクがコケて(“こけ”つながりかよ)沢にはまり、デジカメを完全水没で撮影不能にしたりといった、まったくもって不必要なイベントもあり、蛇紋杉まで帰ってきました。疲れてはいたものの、せっかくなのでここからは同じ道を帰らずに百五十分コースの続きを見ていくことにします。蛇紋杉から天柱杉、母子杉、三根杉、双子杉、くぐり杉とめぐり、デジカメを壊してしまったボクは携帯電話のカメラや塩銀カメラ(カメラを一体何台持ってるんだか)でパシパシと記録。ところが途中で一本分岐を間違え、仏陀杉を見られなかったんですよ。釈迦杉で感銘受けたのに仏陀杉を見ないボクら。釈迦と仏陀なんてそれこそ同一、なのに見なかったというのが非常に悔やまれます。引き返すのは面倒だったんですね。どうしようもないな。

3−エピローグ

 そしてようやく昼過ぎにヤクスギランド出口に帰着し、入り口まで行って協力金を支払うと、ヤクスギランドの案内パンフレットをもらったんですが、追い討ちをかけるかのように、そのパンフレットの表紙、ヤクスギランドの顔に当たる写真は仏陀杉だったのだ!(がーん)

 しかも山頂ではあれだけガスが濃かったのに、ヤクスギランドの入り口からはその時間でもクッキリ天柱石は見えてました。そしてやはり午後から夜にかけて強い雨が降ってました。

 余談:インターネット自然研究所というサイト(→)の中に、“国立公園・野生生物ライブ映像”というのがありまして、この中の“屋久島の山々”という画像がまさに太忠岳、天柱石の画像なんです。そこでボクらが登った日の登った時間の太忠岳の映像も見られるんですが、ちょうど山頂にいた時間(二○○五年四月十日の午前九時半前後)だけ山頂がガスってる! ま、まぁ景色より天柱石メインだったからいいんですけどね、雨も降らなかったし…

−以上

作成 April,16 ’05