△ 「パペッツハート」シーン8


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全体灯り。不思議な世界。上前からのぞむがとぼとぼと入って来る。

のぞむ 「ん?…どうしたんだっけ俺?あれ?ここって…」

上前からロースが走って来る。

ロース 「いたいた!のぞむさ〜ん!」写真
のぞむ 「あ、ロース。またこの夢?」
ロース 「探しましたよ。急に消えちゃうから。」
のぞむ 「しかも話が続いてる…」

上手台中央からみきが出て来る。のぞむとロースを見つけて。

みき 「あ!まただ!」
のぞむ 「あ…」

上前からあおいも出て来る。

あおい 「やっぱりいた!」
ロース 「みなさん戻ってきて良かったです。」
のぞむ 「これって昨日と同じ俺の夢?」
みき 「うん、私の夢。」
あおい 「そうそう、私の夢…って、やっぱり3人同じ夢の中に?!」
のぞむ 「と、それぞれが言ってる俺の夢?」
みき 「ってお兄ちゃんが言ってる私の夢?」
あおい 「う〜これじゃ確かめようがない…」
みき 「そうだ、あおいちゃん、倉庫整理で上野さんたちに夢の事聞いた?」
あおい 「聞きました。上野さんも鹿島さんも見てないって。」
みき 「じゃうちら3人だけ?」
ロース 「あ、誰か来ましたよ。」

下前から、ハムスターのシロップが匂いを嗅ぎながら出て来る。

シロップ 「クンクンクンクン…」
みき 「あれも人形?」
あおい 「見たことないです。」

シロップが4人に気がつく。

シロップ 「あっ。あの、すみません、この辺で大きなひまわりの種、見ませんでしたか?」
のぞむ 「ひまわりの種…?」

シロップ、両手で自分の体半分くらいの大きさを表しながら

シロップ 「こ〜んなに大きいやつです。」
ロース 「そりゃ大きい。」
あおい 「ん?おおきな種…?」
みき 「あなたはどなた?」
シロップ 「僕はハムスターのシロップ。大きなひまわりの種をみつけたんだけど、どこかに消えちゃって…」
ロース 「この辺では見なかったですね。」
シロップ 「そうですかぁ…」
のぞむ 「(みきに)大丈夫なの?」
みき 「何が?」
のぞむ 「ネズミ。」
みき 「ハムスターは大丈夫。ってか人形なら怖くないよ。」

そこへ下前からハムスターのジャムが勢いよく出て来る。

ジャム 「シロップ!!」
シロップ 「ジャム兄ちゃん!」写真

ジャム、大きなカッターのような剣を振りかざし、シロップをかばうように4人の前に出る。4人退く。

ジャム 「シロップに何をする!」
ロース 「なんにもしてません。」
シロップ 「そうだよ、なにんもされてないよ。」
ジャム 「ほんとか?」
シロップ 「うん。」

ジャム、また剣を振りかざし

ジャム 「じゃ、これからなんかする気だな!」
ロース 「しませんしません!」

そこへ、下手台袖からハツカネズミのインディーが現れる。

インディー 「ちょっと待ったあ!」
ジャム・シロップ 「インディー!」
のぞむ 「またなんか出てきた。」
インディー 「この人たちは悪者じゃない。」
ジャム 「じゃ何者だ?」
インディー 「この世界の創造主のお子さんたちだ。」
ジャム・シロップ 「え?神様の子?!失礼しました!!」
のぞむ 「創造主って、父ちゃんたちの事?」
あおい 「私は子どもじゃないけど。」
インディー 「俺はハツカネズミのインディー。」
のぞむ 「ネズミだって。」
みき 「大丈夫。」
インディー 「ジャムとシロップの冒険の手伝いをしてるんだ。」
のぞむ 「ジャムとシロップ…やっぱり腹減ってんのかな?」
あおい 「あれ?このネズミって…」
インディー 「先日はどうも。」
のぞむ 「ん?…あ!俺が箱から出したネズミの人形?」
ジャム 「え?じゃあ箱を開けてくれた人間?」
みき 「ってことは、あなたたちはあの時、箱の奥にいたの?」
シロップ 「そう、おかげで久しぶりに外に出られたよぉ。」
あおい 「思い出した!ハムスターとネズミの冒険物語!古い台本で読んだ事あります!」
インディー 「知ってる人がいたとは嬉しい。」
あおい 「そうだ、大きなひまわりの種も出てきてた!」
ロース 「あのぉ、古い人形なら私の事知ってませんか?」
ジャム・シロップ 「いや、見た事ない。」
インディー 「俺もこないだ箱から出た時、初めて見た。」
ジャム 「きっとうちらより古い人形だよ。」
ロース 「結局何もわからないのか…」写真
みき 「名前は憶えてたじゃん。」
シロップ 「お名前は?」
ロース 「ロースです。」
インディー 「多分それは本当の名前じゃない。そう思わされているんだ。」
のぞむ 「どういうこと?」
インディー 「調べている途中だが、今、この人形の世界は何者かに魔法をかけられてる。」
あおい 「魔法?」
インディー 「まだ目的はわからないが、人形たちの記憶をいじったり、名前を変えたりしているらしい。」
ジャム 「この世界を支配しようとしてるんじゃ?」
シロップ 「そのために名前を変えられちゃうの?怖いよぉ…」
のぞむ 「湯婆婆みたいだな。」
ロース 「じゃあ、私の本当の名前は?」
インディー 「すまん。会ったことない奴の元の名前はわからん。」
ロース 「名前までわからなくなっちゃった…」
ジャム 「じゃ、僕らの名前も?」
インディー 「それは変わっていない。」
ロース 「え?なんで?ずるい。」
インディー 「恐らく箱に入っている人形は、まだ名前を変えられていない。」
シロップ 「良かったぁ。」
インディー 「元々人形の名づけ親は君の父親さ。」
のぞむ 「父ちゃん?そう言えばインディー・ジョーンズとか好きだったな。」
ジャム 「冒険の匂いがしてきたぞ。」

インディーが少し小声でみんなを手招き

インディー 「みんなちょっと。」

下手前に集め。小声で話し始める。

インディー 「君たちは人間だろ?」
みき 「うん。」

中央上手からずっと隠れていた黒い鳥が顔を出す。

インディー 「この世界は本来、人間は入っては来れない。入って来れたのもその魔法の影響かもしれない。」
のぞむ 「え?何のために?」

黒い鳥、聞こえづらいので一歩ずつ近づく。インディー、更に小さい声で。

インディー 「それをこれから調べに行く。でも、その前にやって置くことがある。」
ジャム 「なに?」
インディー 「これだ。」

インディー、拳銃を抜き、黒い鳥に向ける。

インディー 「動くな!」

黒い鳥、驚いてとっさに両手を挙げる。みんなも驚く。ジャムが前に出る。

ジャム 「何者だ?!」
インディー 「ずっと監視してたよな?」
黒い鳥 「すみませぬ。拙者、怪しいものではござらん。」
ロース 「ものすごく怪しいです。」写真
ジャム 「どこの九官鳥だ!」
黒い鳥 「九官鳥ではござらぬ。カラスでござる。」
ジャム 「嘴の黄色いカラスなんているか!」
のぞむ 「いや、イラストとかでは見るけど。」
あおい 「外国にはいるみたいですし。」
ジャム 「そなの?」
黒い鳥 「拙者、カラスのかあ助と申す。」
インディー 「あんたも名前を変えられたのか?」
かあ助 「いえ、拙者は袋に入れられていた故、魔法はかけられておりませぬ。本名ござる。」
インディー 「じゃ、なんでこそこそしてやがった?」
かあ助 「拙者も調べてたんでござるよ。何故この世界が変わってしまったのか。…あの、申し訳ない。そろそろ短筒を降ろしてくださらぬか?」
インディー 「ま…いいだろう。ジャム。」

インディー、ジャムに促し、銃を降ろす。ジャムも剣を下げる。

ジャム 「調べてるって言ったけど、何かわかったのか?」
かあ助 「今、魔法等とお話しされてましたが、実はすぐそこで鬼や魔法使いを見かけ申した。」
みき 「あ!その人形、棚にあった!」
かあ助 「あやつらなら魔力を持ってるのでは?」
ジャム 「退治に行こう!」
インディー 「待て。うかつに近寄ったら魔法にかけられるかもしれない。俺が偵察に行って来る。お前たちはここで隠れていろ。」
ジャム 「でも…」
インディー 「その間みんなを守ってくれ。ジャム。」
ジャム 「…わかった。」
かあ助 「拙者も手伝い申す。」
インディー 「ああ。俺は森から。あんたは空から。」
かあ助 「承知。」

インディー、上前へ素早く去る。かあ助は上手台袖へ去る。鳥が羽ばたく音。

のぞむ 「あれ…?やべー。また眠くなって来た…」写真
みき・あおい 「私もだ…」

のぞむ、みき、あおいまたフラフラしだす。

ロース 「またですか?!」

のぞむ、あおい、みきの3人、あくびをするとまた夢遊病の様にフラフラと下手ハケに入って行く。

ジャム 「どうしたんだ?」
ロース 「この人達、急に眠くなって消えちゃうんです!」
ジャム 「消えちゃう?」

シロップ、3人が去った下手ハケを見て。

シロップ 「ホントだ!消えちゃった!」
ロース 「また出て来るかもしれませんが。」
ジャム 「とにかく今は僕らだけでも隠れよう。」
シロップ 「うん。」

ジャム、シロップ、ロース、中央上手にハケる。小暗転。

(作:松本じんや/写真:堂園昭人)

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