サガの写本
スカンディナビアの物語
アイスランド文学では中世のサガ文学がよく知られている。12〜14世紀ノルウェーの入植後に記録されたもので、ノルウェーの歴代の王や、アイスランドやスカンディナビアの歴史的・伝説的な男女の英雄たちの物語である。散文で書かれ、大部分は原作者の名前は不詳である。(*2)
サガの写本挿絵 15世紀以降アイスランド北西部のフラテイ島の一族が所有してきたこの写本は、歴代のノルウェー王侯の事績が、アイスランド語の散文で記されており、いわゆる「王のサガ」に分類される。大部分は1387〜94年に2人の僧侶が書写したもので、そのひとりが、この挿絵を描いている。

中世アイスランドでは、数百編のサガが記録され、それらの作品は大きく次の3つに分類される。
サガの写本挿絵は「ケルズの書」に極似
1.「王のサガ」
  伝説時代のノルウェーに始まり1177年にいたるノルウェー王朝史や、デンマークのゴルム老王からクヌート4世にいたるデンマーク王朝史などがそれにあたる。

2.「伝説のサガ」
  「嘘のサガ」の異名をもち、中世ヨーロッパの騎士道物語や、さまざまな文学的長所を備えたファンタジーを基にしている。

3.「アイスランド人のサガ」
  いわゆるサガ時代(900〜1050)のやや虚構化された物語をつづった「アイスランド人のサガ」である。この第3の範疇には文学的に極めて洗練された作品が含まれ、武者詩人エギル・スカトラグリームソンの生涯を述べた「エギルのサガ」、三角関係の愛の物語「ラフスダイラ・サガ」、無法者の英雄的悲劇的な結末を述べた「ギスリのサガ」、人間社会の複雑で怪奇な葛藤を描き、アイスランド文学の極致とみなされる「ニヤールのサガ」などがある。
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