故郷イタケでは
招かれざる客たちが
この頃、故郷のイタケでは帰らぬオデッセウスの王国と妻を狙って大勢の客が押し寄せていた。慣わしで客人を手厚くもてなす王妃だったが。
招かれざる客人に占拠された王家の中庭
招かれざる客人に占拠された王家の中庭
 オデッセウスがトロイに向かって早くも10年以上の年月が過ぎてしまった。トロイの戦は8年以上も続いたが、戦いが終わると、王たちが次々と凱旋して帰っていた。帰らないのはイタケの王オデッセウスだけだった。
  地元では帰らない王の後を狙う豪族が虎視眈々と狙っていた。彼らはお見舞いと称して王家を訪れては贈り物をし、代わりに沢山のご馳走を平らげるだけでなく、延々と座り込みを続けた。
  王が帰らない時を待つためである。王の財政が乏しくなりかけても、この状態は変わらなかった。
  これを見かねた成長した王子が追い返したらと進めたが王妃は、客人のもてなしは習慣だからと無理をしてでも続けたのだった。王子は市民集会を開き国の長老たちの意見を求めたが、長老たちは「機会がきたら王妃が再婚するのがいい」と取り合わなかった。
  困った王子はオデッセウスを探すために船で出発した。招かれざる客たちも賛成し、王子が帰ってきたら騙まし討ちにして亡き者にしようと狙っていたのだ。王子は結局のところオデッセウスを探すことができす、意気消沈して故郷に帰ったのだった。
  これに前後して、王の母は失望のあまりイタケの海へ身を投じて亡くなってしまった。家族で止めても無駄だった。それくらい、母は待つことに疲れ果てていたのだった。こうしてる内にも月日は容赦なく流れるが、オデッセウスは帰らない。待つ身には辛い日々の連続だったのだ。
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