パルテノンは木造だった?
森林破壊の象徴
  「パルテノン神殿は白く、背景の空は抜けるように青かった」。これがアテネの象徴的な表現だ。
  現在は確かにその通りだ。古代からそうだったのだろうか?と疑問を投げかける学者がいる。梅原猛さんだ。彼の説を簡単に紹介しよう。
  かつては、あの丘も緑の森で覆われていた。その森から切り出された木材を使った神殿が建てられた。ギリシャ文明を支える森林はどんどん破壊されていった。森には木が無くなった。仕方なく石材に切り替えた、というのだ。しかも色を塗って。確かに豊富な森があれば、硬い石材を加工するよりは木を削る方が遥かに楽である。
  森林破壊はギリシャ以前のウルク(現在のイラク)のギルガメシュ王の時代、世界で初めての文学、楔型文字で書かれた「ギルガメシュ叙事詩」に記録されている(「ギルガメシュ」梅原猛)から、当時のギリシャに森林があっても不思議ではない。
下から見上げたパルテノン
見上げたパルテノン
パルテノンの遠景
パルテノンの遠景
ライトアップされたパルテノンもなかなか
ライトアップされたパルテノン

  エーゲの空と海はあくまでも青く、島に建つ建物はあくまでも白い。
  これも観光書にあるとおりだ。
  雨季の冬のエーゲ海。実際、ぼくが行った4月は雨季からようやく抜けたが曇天の日もあった。この時期の空は曇っていて当然灰色だ。
  海は空の色を写しているらしく、空が青いときは海も青い。

  エーゲの海はなぜ、こうも青いのか。空が青いだけではない。プランクトンが少ないからだ。森の無い丘に降った雨水はそのまま海に流れ込む。当然、プランクトンは少ない。このため、エーゲ海には魚も少ない。
  クレタ島の遺跡の壁画には魚を釣って手に持つ絵が画かれているくらい古代は豊富だった海産物が現在は少なく、そういえば町で食べた魚介類の値段は野菜、肉類に比べて異常に高かった。

  こう見てくるとギリシャは美しいかどうか分からなくなってくる。
  見方によっては「死の世界」(「共生と循環の哲学」=梅原猛)ともいえる。われわれの反面教師として捕らえるほうが良いのではないか、と思えてくるのだ。
  とすると、パルテノンの白さを追求したホワイトハウスは幻想、ということになるが...
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