ダーナ神族の神話  ケルト神話
 は、王権に匹敵する力をもち、常に王座の隣で予言や魔術を行ったドルイドという神官たちによってほとんどが口承されてきた。ドルイドの教義には、霊魂の不滅と死後の転生がうたわれ、人間は目に見えない霊の力によって支配されて生命を転生させていくとされる。
ダーナ神族の物語
 女神ダヌーを祖先とするダーナという巨人神族が、魔の雲にのって風雨の中をアイルランド島にやってきた。このダーナ神族は、アイルランド王となるべき人物が上に乗ると叫び声をあげる聖石、最強の力を秘めた槍と剣、そしてどんな大軍をも満腹にさせる大鍋という4つの宝をもっていて、戦いに有効に用いていた。そして先住のフィルボルグ族と戦い打ち破る。
  この時ダーナ神族の王ヌアザは右腕を切断されてしまう。そのため王位をブレスに譲る。この新しい王はフォモイレという恐ろしい悪神の種族の子孫で、ダーナ神族に対して過酷な重税や労働を強いる。ヌアザは医術の神ディアン・ケヒトの魔力で失った右腕の代わりに銀の腕を嵌めてもらい、7年後に王位に返り咲く。 
               イラスト=ダーナ神族の母(*18)
ダーナ神族の母
フォモイレ族との戦い
  聖都ターラでの宴会のさなか、仲間入りを求めて来訪したルーは、大工、鍛冶(かじ)、音楽、詩にたけた万能の戦士で、それを証明してみせたため、ヌアザは王位を譲る。ルーの父親はダーナ神族だったが、母親はフォモイレの中でも最もお恐ろしいバロル王の娘だった。
  このルーのもとでダーナ神族は、バロル王率いるフォモイレ族と戦いを始める。ルーの祖父にあたるバロルは一つ目の巨人で、その目は視線を受けた軍勢の戦闘能力を奪う魔眼だった。ルーは知恵をはたらかせ、投石器でバロルの目に石をなげつける。目は後ろに飛び出して、味方のフォモイレ軍に魔眼の効果を発揮してしまう。こうして強敵を打ち破り、アイルランドはダーナ神族によって統一された。

ミール族
  ダーナ神族は長い間、アイルランドに君臨し続けた。あるとき、現在のアイルランド人の祖先となるミール族が詩人アマーギンを指導者として上陸してきた。あわや戦いになりかけたが、アマーギンの裁量によって国はミール族に譲られる。
  ダーナ神族はアマーギンから地下世界を割り当てられ、常若の国を意味するティル・ナ・ノグとよばれる国を造り、妖精を支配して暮らすようになる。ダーナ神族は、ときおり動物や蝶に姿をかえて地上にあわられ、永遠に生き続けるとされる。(*7)
神々は天からおりてくるのでなく、地下から地上にやってきたと考えられている。ドンヌとよばれる地下世界の神は、死と冥界(めいかい)の神や父なる神でもあり、人間は地下世界から生まれて、再びドンヌの家に帰るとされる。そして、ドンヌの家はアイルランドの南西の方角にあると信じられている。          
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