西域の悲話
新疆ウイグル自治区にも多くの民話が残っているようだ。その中から悲しい物語を二つ。

◇土塔に伝わる悲話

 天山南麓クチャの話。昔、この地方の王に美しい娘がいた。占い師が来て「娘はサソリに刺されて死ぬが、100日間高いところに隠れていれば難を逃れる」
    王は娘を高い塔に閉じ込め食事を運ぶ以外、誰も寄せ付けなかった。99日目、娘の好物のリンゴにサソリが隠れていて娘は刺されて死んだ。王は「クズルガハ(娘よ、逝くな)」と叫んだ。これが狼煙台の土塔の名になった。
 「眠りの森の美女(シャルル・ペロー)」で姫が予言どおり針に刺されて1000年の眠りにつくのと、なんとなく似ている。ペローが下敷きにした物語の元をたどるとオリエントやケルトなどの民間説話や中世の伝説を題材が多いそうである。同じく「シンデレラ」も素材はオリエントだとか。

2000年前のクズルガハ狼煙台=クチャで
2000年前のクズルガハ狼煙台
=クチャで
◇悲しい香妃の物語

  カシュガルの話。香妃を生んだホジャ家はイスラムの貴族で、香妃が死ぬまでの300年間政治を司っていた。香妃はヤルカンドの酋長の妃となり、美貌と体から発する芳香が評判だった。
  ところが清の乾隆帝が攻め、香妃の評判を聞いて帝は香妃を後宮におこうとしたが高潔を守ったため死刑となった。息絶えた時、室内には芳香が立ちこめていたとか。(*2)
ホジャ家のモスクに奉られた家族
ホジャ家のモスクに奉られた家族
一般人の墓からホジャ家のモスクを望む 清朗世寧、台北・故宮博物院蔵
一般人の墓からホジャ家のモスクを望む 清朗世寧
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台北・故宮博物院
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