タネ・マフタ(森の神)が世界を作った
生きた化石?カウリ

 カウリ(Agathis australis)はナンヨウスギ科の針葉樹で、ニュージーランド北島の北半分にだけ育つ木。2億年前、地上に現れたといわれ高さ30m以上に育つ。成長するにしたがい下枝が自然に落ちるため、頭上に冠をいだいたような形をしている。
 現存する最大のカウリはワイポウアの森に立つ「タネ・マフタ」(=先住民マオリの言葉で森の神の意味)。高さ51.2m、幹周りは13.8m。樹齢は2000年に及ぶ。
森の番人
  ニュージーランドの先住民マオリは、今から約1000年前、南太平洋の島々から海を渡ってきたとされる。カウリの巨樹、「タネ・マフタ」の近くに住んできた人たちは自らを「森の番人」と称し、森と共存してきた。
  カウリは、村の集会所の建築資材として、また彫刻をほどこす材料としても使われてきた。カウリの樹液(カウリガム)を燃やした灰は入れ墨の材料にされた。森から木や植物を持ち出す際に、カラキアと呼ばれる祈りをささげる習慣は、今も残っている。
森の96%が失われた。現在カウリは保護対象
  白人が入植した200年前からカウリの大量伐採が始まった。
幹がまっすぐで丈夫なため家や船を作る格好の材料にされ、これまでにカウリの森の96%が失われた。現在カウリは保護対象となり、伐採は原則的に禁止されている。
  カウリに変わって伐採されているのがアメリカ産のマツの木。
約30年で伐採に適した大きさに育つことから、大規模な商業森林が作られており、建築資材や製紙用のウッドチップとして、日本にも輸出されている。
タネ・マフタ(森の神)が世界を作った
  マオリの伝説によれば、タネ・マフタ(=森の神)は、父なる天と母なる大地の子で、樹をつくり、鳥をつくり、最後に人間をつくったとされる。この伝説からタネ・マフタは生きる力の象徴だと言われている。
  この他にも木にまつわる伝説は多い。人が死ぬと霊魂になり、ニュージーランド北島の北端に立つ木の根を伝って、マオリの故郷である南太平洋の島へ帰っていくという言い伝えもその一つだ。
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