小妖精・メネフネ
西洋のノームに似た働き者
  観光客で常ににぎわいを見せるワイキキの奥に、マノアという緑深い閑静な住宅地が広がっている。ここはオアフ島の中央を走るコオラウ山脈の裾野にあたる雨の多い谷の町。コオラウ山脈の尾根は通行不能なほど険しい頂で、そこに激しく吹きつける貿易風ば海上から雨と霧を運んでくる。そして、雨の後に突然雲間から顔を出す太陽の煌きが虹を生み出すのだ。マノアは今でも夜になると小さな妖精メネフネたちが活躍するという伝説の多い場所。
  ポリネシア人たちがやってくるはるか以前からハワイの島々に先住していたのが、メネフネと呼ばれる小さな妖精たちだ。夜になるとどこからともなく現れるこの妖精は、ハワイアンに大変人気のあるキャラクターで、今もなお彼らの姿を見かけたなどという噂が流れるほどという。
  メネフネはヨーロッパの民間云承に伝えられるノーム、卜ロールたちに似て、ずんぐりした体と厳つい顔を持つ小妖精だ。同種の妖精話はポリネシアの島々にみられ、ソシエテ諸島、クック諸島でマナフネという名で呼ばれている妖精が、このメネフネに当たる存在だと考えられている。またハワイではメネフネがそもそも住んでいたのはカウアイ島だったと伝えられてい。
 メネフネは人間に姿を見られることを極端に嫌ったが、時には良き友人となることもあり、子供たちとは、たいがい仲良くなったそうだ。おいしい料理などで手厚くもてなすと、人々が寝静まった真夜中に一団となって現れ、石を運び、神殿や水路、養魚池の石組みを一晩のうちに完成させたといわれている。ただし働いている姿を人に見られたり、未完成のうちに夜が明けたりした場合は、二度とその仕事場に戻ってくることはなかった。
  ハワイにはメネフネが石組みをしたといわれる古い水路や池がいまだに残っている。メネフネは気まぐれな働き者だったのだ。おしゃべりで騒がしく、いたずら好きのメネフネは、それでもなぜか寂しい渓谷や山奥、溶岩の洞穴などに隠れ住んでいた。太陽を嫌い、昼間は決して姿を見せず、一晩のうちに大仕事も片づけてしまう不思議な力を持った小妖精メネフネ。どこからやって来たのか、今ではどのくらい生き残っているのか、誰も答えを知らない。
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