創世記クムリポ
高い自然洞察レベル
  ハワイではクムリポという天地創造にまつわる神話が、口承で受け継がれてきた。クムリポは2102行に亘る一大叙事詩で世界の始まりから生物の誕生、神々と王族との系譜まで歌い上げられている。
  そもそは王家に代・伝えられる伝承だったが、1881年にカラカウア王が一般に公表し、その妹リリウオカラニが注釈を付け加えたうえで英語に翻訳した。
 クムリポでは、この世界が始まった時は昼のない永い夜ポーであったとしている。それは地母神パパと天空神ワケアが固く抱き合っていたからで、外から光が射し込めなかったのだ。このポーの暗闇から様々な動物が生まれた。初めにサンゴ虫、次にフジツボとナマコ、さらに魚植物、爬虫類と続き、鳥、家畜となる犬や豚が生まれた。
  ポーの夜が動物で一杯になると次に神々が生まれ出た。神々は抱き合ったパパとワケアを無理やり引き離し、その時一瞬にして世界が光で満ちあふれた。世界の昼、アオの始まりだ。パパとワケアはその後、さらに多くの神々とそして最後に人間を生み出したのだ。
  クムリポを読んで誰もが驚かされるのは動物たちの発生する順番だろう。サンゴ虫のよう原始的な生物に始まり、順次、高等な動物へと移行していく様子は、近代の生物学が唱える進化論をまるで知っていたかのような正確さだ。ちなみにダーウインが「種の起源」を出版したのは1859年のことだ。キリスト教会の説く天地創造神話と比べても自然科学に対する洞察ではかなり進んだ概念だったことが判る。
  ハワイアンたちは日々の自然採集を通じて、進化のあり方に勘付いていたのかも知れない。
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