中国の「ノアの方舟 」
ノアの方舟伝説に似た洪水の話は世界中にあるようだが、これは中国の神話のなかに見つけた中国の「ノアの方舟」のおはなし。
娘の助言で蟻や蝶の助けで難題を解決  天地創造が終わって太陽から一人の神が生まれ、その神から7代目に人類の祖先ツォゼルウが生まれた。
  彼には5人の兄弟と6人の姉妹がいたが、適当な相手がいないため兄弟で結婚した。これを怒った神は「おまえたちを許しておくわけにはいかない。間もなく苦難に見舞われるだろう。」
ツォゼルウは「許してください。」神との会話の中で誠意を認めた神は言った。
 「ヤクの皮で袋をつくり、中には、ヤギ、犬、9種の穀物を入れよ。おまえも一緒にその中に入れ」
ツォゼルウは兄弟たちにこの話をし、兄弟達は翌日神に教えを請うた。神は誠意を認めなかったため、適当な袋をつくって中に入るように言った。
  3日の後、天がほえ、地がうなり、山がくずれ、洪水が見舞われた。ツォゼルウの皮袋は漂い続けたが、ある日山の中腹に止まった。外にはツォゼルウの他には誰もいなかった。
  当てもなく、歩いていると一人の娘に出会い、ツォゼルウは娘と結婚するために、その親の許しを求めに行った。父親は無理難題をふっかけたが、その都度娘の協力で乗り切り、結婚の許しをえた。
  3人の子供に恵まれた夫婦だったが、3年たっても言葉をはなすことができなかった。ある朝、3人の子供たちが外で遊んでいると馬が畑に入り込んで、かぶらを盗み食いをはじめた。
  これを見た子供たちは、口ぐちに大声をあげた。
長男はチベット語で「馬がかぶらを食べてる!」
次男も三男も叫んだ「馬がかぶらを食べてる!」 
しかし、次男が叫んだ言葉はナシ語で、三男が叫んだ言葉はミンチャ語だった。
  一人の母から生まれた3人の子供たちは違った言葉を話す3種族になったのだ。3人は異なった服を着て異なった馬に乗り、3つの方角へ旅立ったのだった。母はつぶやいた。
 「息子たちよ。星のように地を満たせ、青草のように根をおろせ、子馬のたてがみのように育て、井戸には水が満ち、輝くばかりの子孫が、いつまでも尽きることのないように。」
挿絵=娘の助言で蝶や、蟻の助けを借りて父親の難題を解決していく=注1
top