早期発症性歯周炎
一般的な歯周疾患の進行は緩慢であるのに対し、早期発症性歯周炎は若年者や30歳代で急速な歯周組織の破壊がみられるのが特徴です。なぜ、そのような破壊が起きるのかについてのメカニズムについては、まだ完全には解明されていません。病原体(細菌)、宿主(患者さん)の感受性、環境的及び遺伝的因子などについて、様々な検討が行われています。
歯周病は細菌の複合感染により発症しますが、若年性歯周炎(=じゃくねんせいししゅうえん)では特にActinobacillus actinomycetemcomitans という細菌が注目されています。この菌はロイコトキシン(白血球毒)を産生して白血球やマクロファージを破壊し、生体の防御を回避できます。
多形核白血球の機能低下も認められ、これは家族性の傾向があります。さらに、過剰な炎症反応により、組織破壊が大きくなることも示されています(特に骨吸収に関与するプロスタグランジンE2の産生が高くなります)。


切歯(前歯)と大臼歯(奥歯)(特に第一大臼歯)にだけ現れる限局型(=げんきょくがた)若年性歯周炎と、多数の歯に現れる広汎型(=こうはんがた)若年性歯周炎に分けられます。
10歳代後半(テキストにより、前後の年齢は異なります)にみられ、男性よりも女性に多いという特徴があります。
おもに30歳代にみられ、Actinobacillus actinomycetemcomitans、Porphyromonas gingivalis、Bacteroides forsythusが多く検出されています。後若年性歯周炎(20歳代後半)の広汎型が急速進行性歯周炎であるというテキストもあります。基本的なメカニズムは、若年性歯周炎と同様です。
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治療中の30歳代の女性です。歯肉の高さとレントゲン写真での骨の高さの違いに着目してください。おそらく、限局型若年性から移行したものだと思います。
早期発症性歯周炎は発症(というよりは症状に気がついて歯科医院を受診した時期)により、いろいろな名前で呼ばれています。乳歯でみられるものは前思春期性歯周炎、10歳代後半は若年性歯周炎、20歳代は後若年性歯周炎、30歳代は急速進行性歯周炎などと呼ばれています(テキストによって分類の仕方、病名や年齢は多少違います)。これらが異なった疾患なのか、1つの疾患のそれぞれの段階なのかについては、よく分かっていません(発現頻度がまれであるため)。