『暴力団捜査とインテリジェンス』~効果的情報収集・冤罪防止(令和7年7月30日)

 本日、幻冬舎から見出しの本を出版しました。
 「インテリジェンス」は英語で「情報」を意味します。
 「情報」を英語辞典で引くと、インフォメーションとインテリジェンスの二つの言葉が出てきます。
 個々の断片的、部分的な情報がインフォメーションであり、それを分析して得た「判断・行動するために必要な知識」がインテリジェンスと言われています。本書でも「情報」をこの二つの意味で使用しています。
 暴力団捜査をテーマにしていますが、捜査以外の組織としての活動、個人の意思決定についても、正確なインテリジェンスを得て、効果的戦略に基づき行動することが重要だと思います。
 本書でも取り上げていますが、工藤會事件捜査においても、過去、誤認逮捕が発生しています。
 捜査は様々な警察活動の一つにすぎません。警察にとって一番重要なことは、犯罪発生後に犯人を検挙することより、被害者も加害者も生まないことだと思います。
 学力テストでは百点満点を取ることが可能です。最初から全問正解すれば百点となる問題が用意されているからです。しかし、捜査はもちろん、外交、政治、企業活動など社会的活動、個人の意思決定においても百点満点はあり得ません。しかし、それに近づくことは可能だと思います。
 今、工藤會対策を担当していた当時を振り返ると、より適確なインテリジェンスの収集、分析そしてそれに基づき戦略的対策を行っていれば、百点は無理でも、より多くの事件を検挙し、何よりも被害の防止も可能だったのではないかと考えています。
 本書では、捜査等における情報収集、適正捜査、さらには組織における報道対策について検討を加えています。工藤會担当当時、適切な情報収集等を行っていれば、事件の防止にも繋がったのではないかと思います。本書は言わば私の反省の記でもあります。
 本書が、現役の警察官、警察職員、更には企業等組織で活動する皆さんの、何かの参考となれば、これ以上の幸いはありません。


 令和7年7月30日 暴追ネット福岡代表・藪正孝