番外編 岩岳の熱きたたかひ
このはなしはあくまでわたしが聞いた話をもとに構成したものであって事実を正確に反映しているとは言えません。
間違いがあればご指摘下さい。訂正させていただきます。
梅雨真っ盛り6月30日から7月1日に岩岳で行なわれたJCFシリーズ戦DH第3戦は毎年行なわれているレースとは少し違いました。
トキドキ激しい驟雨が降りコンディションは超マッド。
エリートライダーのTくんがのちにわたしに語ったところ公式予選、本選と一本ずつ走るたびにラインが変わる。今まで経験したなかで最悪のコンディションだったそうです。
でもこの話は実は昨年の秋に始まった二つの出来事がひとつのドラマを生み出していたんですそれをみなさんに知っていただきたいな〜と思って今回番外編としてアップさせていただきます。
エピソード1 E2
2000年10月のある日。わたしのところに20年来の友人Yくんより珍しく電話がありました。彼は長年 日本自転車競技連盟のMTB部会のボランティア世話役の一人としてシーズン中は飛びまわっています。
その彼が
Y 「実はな来年のJCFのレースのスケジュールそろそろ決める会議がもうすぐあるんやけどな、5月の岩岳のコンディションてどうなん。」
H 「どうなんって、846さんに聞いたら?」
Y 「うん、おまえ(ひでりんのこと)いろんなところにちょくちょく走りにいっているやろ内々に聞きたいねん。」
H 「岩岳って4年ほど前の夏に一度下りに行ったことがあるだけやからあまり知らんけど。5月のいつ頃のことなん?」
Y 「5月はじめころってドウなん」
H 「5月の初めって春岩のころはそのトシによっては雪が多くてコース作りが大変みたい」
などと話しておりました。
彼がいうにはJCFのシリーズ戦のうちの2戦。岩岳と石川県の瀬女が来年UCI(世界自転車競技連盟?)のE2グレードのレースになるんだそうです。
レースのグレードの順番はオリンピック、世界戦、ワールドカップ、E1,E2、とかあって例えばワールドカップの場合50位以内までに入ることができればUCIポイントをゲットできます。
このポイントは1年間有効でこれがあればどの国のワールドカップでもエントリーすることができます。
E2レースの場合10位以内に入ればポイントをゲットすることができます。
つまりアライのワールドカップの前に国内でE2レースがあれば今までワールドカップに出たことがない日本の選手があらたにWCに出場できることになるんです。
ちなみに昨年のアライは海外からのエントリーが少なく完走することができればUCIポイントをゲットできたそうです。
出場したTくんによるとチームから何があってもゴールをくぐれとの厳命がおりたそうです。そうですワールドに出場できるエリートライダーは比較的スポンサーがつきやすく今後のレース活動がやりやすくなるんです。
同じJCFのエリートライダーでもワールドにでることができるライダーとでることができないライダーとの間にはおおきな差があるんです。
でも本当のことをいうと昨年のこのときの話しを聞いたときにはこの本当に意味がわかっていなかったんですね。
エピソード2 グロバールレーシング
このエピソード実はわたしは雑誌や
WEB上の情報しか知らないんですよね。だからもっとくわしく知っている人がいると思ます。
昨年までのアライのワールドカップに行った人はテンガロンハットというかブッシュハットを被っていたレースオーガナイザーの姿に見覚えがあるでしょう。彼がかのグローバルレーシングチームの仕掛人であってボスのマーティン・ホワイトリーだったんです。
わたしがこの新興DHチームのウワサを知ったのは昨年のアライのことなんです。しかもアライのスキー場のオーナー会社がスポンサーにつく。それともうひとつアライが世界選手権の開催を希望していることも始めて聞きました。
グローバルレーシングに日本から加入する選手がいるという事を知ったのはたぶん昨年のサイクルショウの直後だったんではないでしょうか。
それも二人 井手川直樹と金子大作の二人です。
井手川直樹はFOSEにショウワのグラビエDHをつけたマシンで全日本選手権の優勝経験があることはしってました。しかし金子大作は日本のスペシャライドの契約ライダーであることぐらいしか知りませんでした。
この時は少し前のキャノンデール所属の鍋島選手のようにワールドカップを転戦するチームに日本から参加するんだな〜。楽しみだな〜と思ってました。
それとどんなマシンに乗るんだろうか日本の例えばアンカーなんかおもしろいな。
年があけてグローバルレーシングのほかのチーム員の構成が明らかになりました。私がすきなミッシージョーヴィー。ジャインアントにいたショーンマッキャロール。アニマルクランクにいたグレッグミナーなどなど。ジョーヴィーをのぞき若手のメンバーですが次代のDHシーンを支える選手ばかりではないですか。
さすがマーチン・ホワイトリー。よくご存知です。
グローバルレーシングのデビューは春のシーオッタークラッシックでした。日本人選手二人も出場していました。でもこのときわたしが知らないことがあったのです。
エピソード3 岩岳の熱き戦ひ
わたし今年の岩岳のレースにはとくに興味がありました。
というのは久々のDHレース出場をこのレースの一般クラスマスターの部(いわゆるオヤジクラスですね)にしようと思っていたんです。
そういうことでいろいろ情報を聞いて回っていると今回のレースなんか事前にいろいろ盛り上がっているそうです。
やはり若手で過去WCに出場したことのないエリートライダーたちは当然のことながら10位以内のポイントゲットを狙っています。
その中の一人がグローバルレーシングチームの金子大作選手だったんです。かれは日本のJシリーズでは優勝経験がありましたがUCIのポイントを過去にとったことがなくしたがってワールドカップの参戦権がなかったんです。シーオッタークラッシックはNORBA(北米シリーズ戦)のため出場できましたがその後彼は日本にもどりJシリーズ戦に参戦して調整していました。
もうひとつのサイドからも盛り上がりました。金子以外の若手エリートライダーは自分がワールドカップ出場をねらうのはもちろん、自分がポイントをゲットし金子大作のそれを阻止したいというやっかみ半分の願いもありました。日本ではあまり華々しい成績を残していない金子大作がなぜグローバルレーシングチームにはいることができて自分はという複雑な感情もあるみたいでした。
そして決戦のとき。
冒頭に書きましたように雨で最悪のコンディション。狭いコースに三本もラインが彫れていてしかもその深さは膝に届くぐらいで
ペダルが漕げないというぐあい。特にSPDユーザーは苦戦したみたいですね。
しかしレースはレース。今年好調の内嶋 亮が優勝しました。
金子大作は?残念ながら10位内にはいることができませんでした。
秋の瀬女のE2レースまでかれはワールドカップに出場できません。
一部ではグローバルレーシングをくびになるなんてうわさが出ていました。
エピローグ そして戦いの場はアライに
結論は金子大作が出しました。
このレーポートを書き出した7月始めカナダで開催されたワールドカップに彼が出場しました。
あれっ。出場権がないはずなのに?
わたしたちそう思いました。事情がわかってきたのは2〜3日してからでした。
ロードのツールドフランスなんかに詳しい方はトレードチームとかワイルドカードという用語をご存知でしょうね。
MTBのレースにもそのトレードチームがあります。簡単にいうとワールドカップに参加するため世界中を転戦するチームとここでは解釈しましょう。そしてグローバルレーシングも結成1年目にかかわらずトレードチームの権利を獲得していました。
トレードチームが有望な新人を発掘してもその選手がワールドカップの参戦権をもっていなかったら?
チームはワイルドカードの権利を行使しその選手をレースに出すことができる。
どうもグローバルレーシングはこの権利を行使し金子大作をレースに出したらしい。とのことでした。
結果 ダウンヒル決勝55位。今期日本人最高位。これが答えでした。
そして7月28〜29日アライワールドカップが開催されます。
金子大作の戦い。
そして若きエリートライダー達の戦い。
あの灼熱の太陽のもと今年も始まります。
アライワールドカップ2001公式HP
グローバルレーシングチーム公式HP