聴診。誰もが経験したことのある、診察手技です。眼に見えない部分を、耳で、聞き届けようとするわけです。よく鍛えられた内科医は、無造作に見えて、きわめて詳細な情報を、聴診で得ています。ちなみに、聴診器は英語で、ステトスコープといいます。〜スコープとは、眼で見る機器に付く言葉です。一例として、マイクロスコープは、顕微鏡のことです。眼を凝らすようにして、集中して診察する、という気持ちの込められた言葉なのでしょう。
聴診というと、胸、腹の部位が、思い浮かびます。運動器を診療対象とする整形外科は、末梢血管も診察します。末梢といっても、瑣末ということとは、根本的に違います。すなわち、動脈閉塞があれば、手足の末梢の壊死につながるでしょうし、結果として、切断などにいたることも、ありえるわけです。
末梢血管は、聴診器では聞き取れないことがあります。このときは、超音波を使った聴診器が、役立ちます。簡便な機械ですが、上記の機種は、血流速度がデータで残せるので、治療効果を見るうえでも役立ちます。そのほか、視診として、皮膚のはり、つや、色調なども見届けます。眼も耳も、総動員といったところです。
2007.7藤咲整形外科医院 院長 藤咲 裕
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