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「藤井寺球場ナイター問題の経過」
〔『広報 ふじいでら』(昭和48年6月1日発行 別冊No.2 特集号)より〕
 昭和48(1973)年6月1日発行の『広報 ふじいでら』に別冊の特集号が添付
されました。この年の2月に始まった「ナイター問題」の約4ヵ月間に渡る
経過について、藤井寺市が市民に対して公式に発表した文書です。地域住民
による反対運動は、この後裁判闘争に拡大していきますが、約10年間に渡
る交渉・裁判の結果、近鉄球団のナイター営業は実現していきます。藤井寺
球場を本拠地化して実施された1軍公式戦は約15年間続けられましたが、
本拠地は大阪ドームの完成とともに移って行き、やがて球場自体が廃止とな
って解体され、跡形も無く消え去りました
。球団の「大阪近鉄バファローズ
もオリックス球団と合併し、多くの地元ファンに惜しまれながら消滅してし
まいました。「藤井寺球場ナイター問題」は、今や歴史的事象の一つになり
つつあります。これに対する評価や見方は、立場によって様々あると思いま
すが、いったいどんな問題だったのかを知る一つの重要な資料として、この
広報の文書を掲載するものです。掲載に当たって説明しておくべき留意点を
以下に挙げておきます。
 @ 原文は縦書き6段組み12ページで印刷されていますが、当Webペー
  ジではすべて横書き2列組みに再構成しました。できるだけ原文のレイ
  アウトや段落構成を尊重するようにしていますが、一部見やすいように
  改変している点もあります。ただし、文章内容は原文のままです。
 A 原文には表記の揺れや仮名遣いの誤り等が見られますが、そのままで
  掲載しています。漢字誤用で( )内薄文字は本来使用すべき文字です。
 B 一つの文が大変長い文章になっている箇所が多く、内容を把握しにく
  い構成が多く見られます。わかりやすくするために、色文字で区別する
  ようにしました。グレー文字は、市又は市議会の立場で書かれている部
  分です。
 C 原文は小見出しや項目番号・記号の扱いに一貫性を欠く部分があり、
  全体の構成区分がわかりにくくなっています。文字サイズや色文字によ
広報 ふじいでら(昭和48年6月1日 別冊No.2 特集号)
広報 ふじいでら 別冊No.2 特集号の表紙
                  (昭和48年6月1日発行)
  って一定の整理をしました。                           以下に示す(2)〜(12)は各ページを表す
 D 原文では行末処理の都合で省略されている句読点が多数ありますが、再構成に当たっては句読点を適宜追加しています。また、
  日付や数量を表す漢数字は原則として数字に変えています。
 E 市長名と近鉄社長名以外の個人名は○○に替えています。市と市議会の役職者は個人名が出ておらず、取り扱いに公平を欠いて
  いるからです。また、経過の内容を把握する上で個人名は特に必要ないと判断しました。
 F 掲載のイラストは広報の同じページに掲載されているものです。広報にはトップページのほかに4点の写真が載っていますが、
  不鮮明であるために割愛しました。記事本文の内容とは特に具体的に関連する写真ではありません。
(「広報ふじいでら・縮刷版
  の内容から製作しているため、写真については不鮮明で複製が困難でした。)
 

(2)
 藤井寺球場ナイター問題の経過について
 市民の皆さんには日頃何かと本市の行政にご協力を賜わりまし
てまことに有難う存じます。
 さて、皆さんもすでによくご承知のように、この度近鉄球団が
藤井寺球場を本拠地としてナイターを行なうことを発表いたしま
した。その後球場周辺における一部住民の方々からナイターが行
なわれると、種々の公害が生じるので絶対反対であるとか、また
は自分らの納得できる公害対策がない以上、ナイターの実地には
反対であるとの集団陳情を繰りかえされ、殆んど連日のように新
聞紙上に報道せられたり、また一部テレビにも放映されておりま
すので、市民のみなさんには、とりわけご関心も深く何かとご心
配をおかけしていたことと存じます。
 以下これらについて市当局は、どのように対処してきたのか等
について、ここに遅ればせながら、詳しくご報告を申し上げ、市
民の皆さんのご理解を得たいと存じます。
 このナイター実施については、去る
2月5日(初)めて新聞紙
上に報道せられましたが、近鉄から未だ市当局へ何等意志
(意思)
表示もありませんでした。
 その後
同月26日近鉄より本市に対し、始(初)めてその計画の
あることについての申出がありました。その時の話では、
後期公
式戦から近鉄球団の本拠地を日生球場より藤井寺球場に移すこと
に決定した。その内容は、年間試合65ゲームのうち藤井寺球場
においてナイターは約40ゲームを行なうものである。ただし、
本年は、後期(8月〜
10月)のみで、ナイターは20ゲームであ
る。そのためには一部球場の改装工事を行なわなけれは
ならない。
その内容は観客収容人員、現在2万3千人から9千人を増し3万
2千人にするため、主として外野席を改装する。またナイター設
備として照明鉄塔6基、(照明度バッテリー間
1800ルックス、
1300ルックス、外野900ルックス)を設備する。自動車の駐車
場は、球場の東北および西の空地を利用することとする。普通車
350台、観客用臨時バス9台を収容する等、外交通混雑をさける
ための方法等について説明がありました。

 これに対し、市長より特にナイター実施に伴う交通対策、路上
駐車の防止その他予測公害に対する対策について充分配慮されて
いるかを質し、改めて近鉄の具体的対策の提示を強
く求めました。
本問題については市としても特に重視し、早速
2月28日議会の
正副議長および総務常任委員会、公害交通対策特別委員会の各正
副委員長とも協議し、特に交通対策上から駅前の整備問題、自動
車の駐車対策、路上駐車禁止対策、風紀防犯対策、並びにその他
の予測公害全般について詳細に検討し、且つ球場周辺地域に対し
ては、近鉄より直接出向かせて住民の方々に説明させる等を打ち
合わせ、引き続きこれらの対策の具体化について、更に協議のた
3月1日議会の駅前開発特別委員会を開催、3月2日公害交通
対策特別委員会を開催し、駅前整備の具体化促進、駐車場対策、
路上駐車対策、交通整理、騒音対策、球場周辺の清掃対策、防犯
対策等について近鉄側に申し入れ、強力にその履行および対策を
せまること並びに球場の改装内容についても更に、近鉄側より詳
細聴取することを申し合わせ、3月3日近鉄関係者を招致するこ
とにいたしました。

(3)
3月3日、球団関係者との  最初の話し合い開始
                      
諸問題の誠意ある対策を申し入れ
(四) 路上駐車、交通混雑交通事故の増大
(五) 電車ラッシュの激化
(六) 観客のゴミ不法投棄による町の汚れ
(七) 観客および自動車の騒音
(八) 照明灯による害虫の集中飛来および睡眠妨害
(九) 鉄塔によるラジオ、テレビの電波障害。
等の理由により町会総会の決議により、ナイター公式戦に反対で
ある
との陳情がありました。
 このように陳情も相次ぎますので前述の確認書を起草するに先
立ち、球場周辺の住民代表である地区長の意見を親しく聴取しこ
れを参酌して確認書を起草することがむしろ望ましく、且つ当を
得ているとの考えから、
4月5日藤井寺区長○○氏、春日丘区長
○○氏、
春日丘公田区長○○氏、恵美坂区長○○氏(市に正式に
届出がなかったが、○○区長と交替されていたとのことで
あった)
南岡区長
○○氏の五氏にそれぞれ来庁をお願いし、市当局並びに
議会正副議長、総務常任委員会および公害交通、駅前開発の両特
別委員会各正副委員長同席の上、意見を聴取いたしました。
 即ち、その意見として
藤井寺区長地区総会は開いていないが
反対はないものと思う。ただし、駐車排除と通勤者に迷惑がかか
らないよう電車の増発増結を行なってほしい
旨要望がありました。
 ついで春日丘区長よりは春日丘地区は他の反対地区とは別個に
 3月3日、市側より市長・助役並びに関係課長、議会側より正
副議長並びに総務委員会及び公害交通、駅前開発の両特別委員会
の正副委員長が出席し、近鉄側よりは企画部長以下、球団関係者
が出席しました。席上市側より更に球場開装
(改装)の内容を詳細
に質し、之に関連して予測される諸問題全部について近鉄側の誠
意ある対策を示すように強くせまりました。
 その後、市役所に再々近鉄の関係者を招き前記諸問題について
協議を重ねました。

確認書(案)の起草
 その結果、近鉄が約束した事項を文書を以って確認することを
求め
之に基づいて近鉄側より示された協議書案を協議するため、
3月
16駅前開発、公害交通の合同委員会を開催し、その結果
近鉄より示された協議書案では不十分でありむしろ市当局におい
て文書を作成して近鉄に示すペきであるとの結論に達し、改めて
市当局において連絡協議会を設けるための協定書案およぴナイタ
ー実地に伴う諸問題について近鉄が約束した事項全部を確実に履
行させるための確認書案の起草をすることになりました。
球場周辺地区より各種陳情書の提出
恵美坂地区
より「野球ナイター」に伴う諸公害追放9項目を陳情
 その後
3月19日付けで春日丘区長○○○氏より市長および羽
曳野警察署長宛に
春日丘1〜3丁目をすべて路上駐車禁止等規制
の陳情が出されました。
 同じく
恵美坂区長○○○○氏より恵美坂地区の路上駐車禁止
の陳情(恵美坂2丁目住民の方々連署添付)続いて、
3月29日
藤井寺4丁目陵西第一町会より連署をもって路上駐車・騒音・治
安問題について憂慮するので配慮し、善処されたい
との陳情、ま
4月6日付連署をもって恵美坂町会代表幹事町民一同として「野
球ナイター公式戦に伴う諸公害追放について」として
(一) 風紀の乱れ、野球トバクによる暴力団の流入、青少年の非
   行化
(二) 教育環境の破壊
(三) 排気ガスによる空気の汚染、光化学スモッグの増大
 
イラスト1
  独自の交渉をすることに決したことと春日丘3丁目の一部住民の
反対運動は春日丘地区の総意に対するいわゆる分派行動であると
理解されて結構である
との旨のペられ次の7項目が要求する条件
である
との意見が出されました。

(4)
(一) 歩行者の安全確保と交通混雑の対策及び道路整備
(二) 路上駐車の対策
(三) 風紀治安の件
(四) ゴミ処理の件
(五) 照明灯に集まる害虫被害対策
(六) 騒音並びに排気ガスの件
(七) 電波障害の件
である。
 このうち特に交通問題については、重大な関心のある
旨、説明
されました。

 次に
南岡区長よりは、春日丘地区と同一の要望であるが、特に
路上駐車を含む交通開題について十分検討されたい。
 また、駅前整備に地区住民の参加の機会を与えられるよう
要望
がありました。

 つぎに
恵美坂地区同地区1丁目の総会の決議として絶対反対
である。
 交渉は戦術としては行なうが妥協はしない。

 最後に春日丘公団区長からは、
春日丘公団は総会の決定として次の9項目について納得のいく解
決がなされない限り反対するものである。
(一) 風紀の乱れ
、野球賭博に伴う暴力団の流入、青少年の非行化
(二) 教育環境の破壊
(三) 排気ガスによる空気の汚染、光化学スモッグ増大
(四) 路上駐車、交通混雑、交通事故の増加
(五) 電車ラッシュの激化
(六) 観客及び自動車の騒音
(七) 観客のゴミ不法投棄による町の汚れ
(八) 照明灯による害虫の集中飛来及び睡眠妨害
(九) 鉄塔によるラジオ、テレビの電波障害
 従って、これら公害が零にならなければならない。零にならな
いときは、そのならない分についての補償を要求する
との説明が
なされました。
 それから翌6日になって、恵美坂1丁目自治会より約23人位
の方が市役所に陳情にこられ、
9項目の条件について近鉄はそれ
ぞれその対策をのペているが、とても納得できるものではない。
そのため納得できるまで球場の改装工事をさせない旨、確認書の
中に挿入することを、市長は確約しなさい
とせまられましが、市
長は公害等については、良識識的に判断してできるだけ近鉄に、
その対熊を講ずるよう求めるが、皆さん方の要求には応ぜられな
い旨回答し、話し合いは終始平行のまま終りました。
 ついで
4月7日、駅前開発及び公害交通両特別委員会の合同委
員会が開催
されました。席上市当局より前述の陳情書を朗読説明、
公害交通特別委員長よりは5地区の区長意見を報告せ
られました。
ついで市当局より市と近鉄との間で調印しょうとする確認書、協
定書及び同細目の各案について了解を求めるため提示し審査がな
されました。
 その結果、住民の意思反映機関としての連絡協議会を設け、こ
れを通じて今後とも、共存共栄を図ってゆくことは、当を得た処
置であり賛成である。また協議会の設置については賛成であるが
妥協機関になってはならない。なお「互に協調しつつ発展するこ
とを目的として」とあるが、用語に再考の要ありとの意見も出さ
れました。次に確証書案と5地区代表のご意見を集約した9項目
と対比しながら逐条的に説明し、表現こそ違うが陳情の趣旨は、
できるだけ確認書の中に取り入れてある旨報告いたしました。
 最後に委員より自動車駐車場はできるだけ分散させるよう、ま
た交通間題の解決によって市民の不安はかなり除去されるものと
思われる。また再度地域住民の意見を聴取するようになどの要望
があつて確認書、協定書、同細目の各案実についてそれぞれ原案
のとおり了解されました。
 このとき市長より議長に対し、なおでき得れば議員の全員協議
会を開催して了解を求めたい旨申しのペ席上議長より予定として
は、4月16日全員協議会を開催したい旨回答されました。

 その後、
4月10日以降つぎのとおり春日丘公団春日丘3丁
恵美坂1丁目付近の住民の方々から集団で反対の陳情に市役
所へこられたり、また市役所より助役等が、現地に出向いて話合
いをいたしました。

(5)
話し合いをした日程

4月10日
(約35人位)
  午後1時より市役所へこられ話し合い
4月11日(約100人位)
  年後1時より市役所へこられ話し合い
4月12日(約50人位)
  年後1時より市役所へこられ話し合い
4月13日(約60人位)
  午後1時より市役所へこられ話し合い
4月14日(約50人位)
  年後1時より市役所へこられ話し合い
4月16日(約120人位)
  午後1時より市役所へこられ話し合い
4月19日(約60人位)
  年後1時より
春日丘公団会館へ出向き話し合い
4月23日(約100人位)
  年後7時30分より
恵美坂教会に出向き、話し合い
4月26日(約50人位)
  年後7時30分より
恵美坂教会に出向き、話し合い

 ただし、人員数については役所側でみた概数です。
 以上6日の陳情を含めて前後10回の話し合いをもちました。


反対陳情者の訴え
 その内容は次のとおりです。

 
すなわち、本地域は今回新用途地域の第一種住居専用地域とし
て指定されることになっている閑静な住宅地域である。
 しかるに、ナイターが実施された場合
◎風紀の乱れ
◎野球トバクに伴う暴力団の流入
◎青少年の非行化
◎教育環境の破壊
◎排気ガスによる空気汚染
◎光化学スモッグの増加
◎路上駐車
◎交通混雑
◎交通事故増加
◎電車ラッシュ激化
◎観客及び自動車の騒音
◎観客のゴミ不法投棄による町の汚れ
◎照明灯による害虫の集中飛来及び睡眠妨害
◎鉄塔によるラジオ・テレビの電波障害等の公害
 またはその他の好ましからざる事態が起こることはさけられな
い。
 これについての対策は近鉄から説明はあったが、到底自分らの
納得ゆく回答は得られなかった。

 自分らはこれらの問題について充分な調査資料を求めると共に、
各項目について納得のいくまでいくら日数がかかろうとも話し合
いを続け、円満解決するるまで市当局は近鉄と確認書の調印をす
べきでない。

 また調印するなら自分らが納得するまで球場の改装工事をして
はならないという一項を確認書に入れるかまたでさなければ確認
書の取りかわしは徹回すペきである。

 市はなぜこのような公害等が起こることが明白であるのに我々
と共に近鉄に対し、ナ一夕一反対の態度をとらないのか住民の立
場にたって反対の先頭に立つペきである。

 市は自分らの犠牲において橋上駅舎、その他の駅前整備を近鉄
にやらそうとするのか。
 このようなことは当然近鉄がやるペき筋合のものである。

 またなぜ急いで近鉄と確認書を取りかわそうとするのか。

 大阪府は近鉄から改装工事の建築確認申請が出されているが、
市において確認書を取りかわさない限り、建築確認はおろさない
といっている。

 また確認書には自分らが訴えていることがらの含まれていない
ものもある。

 またそれぞれ対兼は掲げているが、これで充分な対策が講ぜら
れるとは考えられない。
 最近問題になっている自動車の排気ガスについては車が集中す
れば増加するのが当然であるのになんらこれの対策はない。
 従って確認書の調印は白紙徹回すペきである。


 これらに対し、市当局が行なってきた回答ならびにその基調と
する考え方は次の通りであります。

すなわち、藤井寺球場ができて40有余年、しかも近鉄が球団
を持っている以上、自己所有の球場を本拠地として使用したいと
思うのはむしろ当然であると理解する。
 また、改装工事については建築基準法にもとづいて適法な建築
確認申請を府に提出されている。
 もちろん市を経由し、消防署の意見としても異議がなかった。
 市は経由の際、特に知事及び建築部長に対し企業側より地域住
民に対し、公害間題について充分対策を話し合うよう行政指導せ
られたいとの要望書もつけてある。

(6)
建築確認書受理について

 皆さん方は建築確認申請が適法であっても、市がナイターの実
施に反対すれば府が確認をおろさないと言っていると申されてい
るが、府に問い合わせたところ
府は申請があってから3週間以内
に確認をおろす法の規定(注=参照)であるが、強い反対陳情も出
ていることでもあり、今しばらく成りゆきを見守りたい。
 しかし、おそくとも5月中旬までにはいかような情勢にあろう
とも確認をおろさざるを得ない
と言っている。
 そうすれば、確認がおりたら近鉄は当然球場の改装工事に着手
するものと思われる。
 皆さん方は、我々の要求に対する近鉄側の対策説明は納得でき
ないし、信用もできないと言われる。
 それらの気持ちについては、市もー応理解しているがゆえに、
皆さん方の要求もこの確認書の中に表現の仕方こそ違うが、でき
る限り汲み上げ折り込んでいる。
 そしてこの確認書を取りかわすことによって近鉄側にその約束
を確実に実行させようとしているものであります。
 しかし、ものごとにはやはり、できることとできないことがあ
ります。
 また、受忍の限界というものもあります。
 また、市当局としてはもともと民主主義を基調とする法治国家
において、その社会の発展は互いに互いを尊重しながらもきびし
く求め合い、譲り合い、さらに協力し合うことを基本として図ら
れてゆくべきであるとの考え方に立っており、しかもこうするこ
とによって始めて真に民主的な相互信頼が生まれ保たれ、おのず
から共存共栄への道が開けてくるものと確信しています。
 今回のナイターの件は別にしても、藤井寺市として逐年的な人
口の増加による駅前周辺の混雑を解消ないしは緩和する対策とし
て、数年来より駅前の開発整備事業を押しし進めてきているが、
これも究極するところ近鉄側の連係的な協力なくてはその効果は
半減
し、事業としてはまさしく画竜点睛を欠く憾を否定し得ない。
 そもそも近鉄南大阪線は藤井寺市の行政区域のまん中を文字ど
おり東西に両断して、しかも競争路線のないこととも相まって藤
井寺市民にとってはその好むと好まざるとにかかわらず、あるい
は通勤通学にまたは買物行楽にとおよそ日常生活のあらゆる面で
広く利用されてきた唯一の軌道交通であって、いまさら切り離す
ことなどとうてい考えられないくらい、きわめて密着した相関関
係にあり、したがって両者間の友好関係を確立し、互いに協調し
つつ発展を策していくことがもっとも市の利益に結びつくものと
考えています。
 ついては今回近鉄が、7月27日から使用する計画であるとの
ことで逆算すればその改装工事の着手にもおのずからタイムリミ
ットがあるだろう。
 皆さん方はそれなら本年は着手を見送って日時をかけ、いろん
な調査をやれといわれるが、おそらく近鉄としても本年実施につ
いてはなみなみならぬ決意で望んできているよ
うに見受けられる。
 仮にここで市の拒否反応のままにむなしくタイムリミットがす
ぎて近鉄が、いわゆる見切り発車的にナイターを強行した場合、
近鉄と市当局との間のコミュニケーションはもちろん、実質的に
断絶した状態になるであろうし、しかもただ残るものはナイター
だけというような最悪の結果におちいることも充分予想される。
 仮にこういう事態に立ち至った場合、もちろん前述した駅前整
備事業までそのまきぞえをくってしまうこともあろうし、また球
場の予測公害その他についても今後、交渉によって解決をはかっ
ていく道は完全にふさがってしまうことも当然覚悟しなければな
らない。
      (※ このページにはナイター問題とは関係ないお知らせが
                   挿入されているため、文章量が少なくなっています。)

(7)
 その様なことは、市にとっては将来にかけての大きな不利益で
あるといわなければならない。
 また、今皆さんが心配されている公害も今のところはあくまで
も予測公害であり、ナイターが実施されたらあるいはそれ以外の
問題も起こってくるかも知れない。そうした場合のためにも今後
友好裡に交渉のできるようにあらかじめ、連絡協議会をつくって
おこう。
 また、近鉄側が約束したことも確実に守らせ、実施させていく
ためにも確認書の取りかわしをやっておこうとしているのであり
ます。
 その上、確認書の内容たるや、そのほとんどが当初近鉄側の方
から自主的に出してきたものではなく、市議会側の積極的なおち
からぞえともあいまって、実に数次にわたって重ねられた対近鉄
の折衝を通じて市側の強い求めに応じて生み出されてきたもので
あって、あたかもその間、球場周辺地区にかかる陳情も市側の良
識的な判断のもとに、その主旨とするところをできる限り取り入
れて成文化したものであることを繰り返し強調する次第です。

                            (※ 『 』と行間は筆者が挿入)
 以上が市側の回答の要旨ならびに基調とすろ考え方の概要であ
ります。
 なお、
4月16日には、議会において全員協議会をもっていた
だきましたが、別途議会側よりお知らせのとおりの事情により了
解を得るに至りませんでした。
 
4月27日に至り、議長より再度協議会をもっても再び16日
のような事態が予想され、とうてい正常な議事道営ができないた
め、協議会開催にかえ文書で会議員に4月7日の合同委員会の経
過、並びに市当局では陳情者と話し合った経過を報告し、あわせ
て確認書・協定書同細目の各案について了承をとりつけたとの通
告がありました。
 本件について市当局としてはかねがね議会の意見をも尊重して
きめたいといってまいりましたが、ここにおいて当局の思いとも
完全なる一致を見ましたし、又近鉄より申し入れを受けてより2
ケ月間も経過しており、また、住民の中に多数賛成の意見も強く
打ち出されておりますので、これ以上調印をのばしても解決に至
る期待ももてないのみならず、かえって市民の中にただいたずら
に、混乱を拡大する以外の何ものでもなく、また、前述のように
対近鉄との間においても今後市にとって大きな不利益ともなりか
ねないと判断いたしましたので、
27日夕あえて調印にふみ切っ
た次第であります。

 以上ナイターに関する経過をお知らせいたしますと同時に、全
市民の皆さんのご理解を賜りたいと存じます。
 なお、確認書・協定書をここに登載いたしました。


建築基準法 第6条第3項とは
 建築主事は、建築確認の申請書を受理した場合においては、第
1号(大規模特殊建築物)から第3号までにかかる
ものにあっては、
その受理した日から21日以内に…(中略)申請にかかる建築物の
計画が当該建物の敷地・構造及び建築設備に関する法律ならびに
これに基づく命令及び条例の規定に適合するかどうかを審査し、
審査の結果に基づいてこれらの規定に適合することを確認したと
きはその旨を文書をもって当該申請者に通知
しなければならない。
イラスト2
確 認 書

 藤井寺球場におけるナイター実施に必要な改装工事に関し、藤
井寺市(以下甲という。)が、近畿日本鉄道株式会社並びにその系
列企業(以下乙という。)からの申入れに対し、提示した前提条件
について協議を重ねた結果、下記のとおり合意に到達
したことを、
双方確認する。

             記

 甲と乙とは両者間の友好関係を確立し、互いに協調しつつ発
  展することを目的として、両者闇の諸問題を解決するため、
  連絡協議会を設置する。

 藤井寺駅舎の改造について
 (一) 駅舎を一般通路にも利用できる構造の橋上駅舎に改造す
   る。(完成は、北駅前広場完成と同時と
し、乙の負担施工と
      する。)
 (二) 現在の駅構内地下通路を橋上駅舎使用開始時点から一般
   通路に開放する。(甲において管理することを条件
とする。)

 自動車対策について
 (一) 道路(歩道、踏切を含む。)の新設、拡幅並びに整備につ
   いて
  ア、 藤井寺駅前広場〜恵美坂ガード間の電車沿い6メートル
   道路計画を前提としてナイター実施までに乙の負担におい
   て岡中春日丘線〜恵美坂ガード間に4メートル道路を新設
   する。なお、甲はこのエ事の補助事業適用について努力す
   る。
  イ、 前号の道路が、ナイター実地までに完成し得ない事情が
   生じたときは、乙は暫定措置として、高鷲3号踏切を幅員
   4メートルに拡幅する。
  ウ、 昭和49年9月未
(末)までに、恵美坂ガード及び南側坂
     路を、乙の負担において幅員8メートルに拡幅する。
    なお、この工事の補助事業適用について努力する。
  エ、 藤井寺1号踏切をナイター実施までに、乙の負担におい
   て現状より2メートル拡幅する。
  オ、 ナイター実施までに乙の負担において藤井寺駅前派出所
   〜球場間の市道北側歩道を両側歩道に改良し、球場前東出
   入口〜市道春日丘西
2号線間の市道南側に歩道を新設する。
   ただし、施工及び管理は甲において行なう。
  カ  藤井寺駅〜藤井寺第2踏切間の電車線安全柵を乙の負担
   においてできるだけ早期に改良するものとし、その際道路
   の拡幅を図る。
 (二) 路上駐車対策について
   甲は警察当局へ球場付近一帯の面的な駐車禁止措置を要請
   し、乙は駐事禁止区域のPRも兼ねた印刷物により、その
   趣旨徹底を図るとともに警察当局の指導のもとにガードマ
   ンをもって効果促進に努める。
 

(8)
  (三) 交通整理及び駐車場対策について
  ア、 甲、乙協力して駅舎改造、北駅前広場整備を促進し北駅
     前広場完成とともに、北方面バス及びタクシーの一部はこ
   れを起点とする。
  イ、 乙は電車の増発等により、夕方のラッシュとの重複を緩
   和する。
  ウ、 乙は球場の敷地内及び上谷池跡地に駐車場を設け、かつ
   周辺駐車場の借用も併せて収容力の確保に務める。
   なお、一方で球場の立地及び駐車場以外の駐車禁止のPR
   を強力に批准し、観客の電車への転移を促
すことに努める。
  エ、 乙は球場駐車場への車の流入による混雑について警察当
   局の指事のもとにでさるだけ、一方通行的な流入経路をと
   るよう誘導する。
  オ、 乙はガードマンをもって警察当局に協力しその指導のも
   とに交通整理に当る。

 球場周辺地区対策について
 (一) 騒音対策について
  ア、 乙は球場への笛、太鼓等の持込を禁止するとともに、球
   場の立地をPRし観客に自粛するよう指導する。
  イ、 乙の場内放送は小容量のスピーカーを数多く備えるよう
   配慮する。
 (二) テレビの電波障害について
   乙はNHKに事前事後の調査を以来し、実害があれば、乙
   の負担により対策を講じる。
 (三) ゴミ問題について
    翌日早朝に定められた範囲について、乙の清掃班がゴミを
   収集する。
 (四) 照明による虫害対策について
   乙は電撃殺虫灯を10ケ所に配置し、ナイター照明の消灯
   前から翌朝まで点灯する。
 (五) 防犯対策について
  ア、 乙は球場のスタンドから、周辺の家屋を見おろせないよ
   
う、のぞき見防止のフェンス(高さ1メートル80センチ以上)
   を設ける。
  イ、 乙は球場敷地周辺に防犯灯13基を新設し、試合日以外
   も点灯する。
  ウ、 乙は警察当局の指事をうけて試合開始前、中、後に区別
   して球場外部の警備に万全を期する。
  エ、 乙は球場内の賭博行為に対する監視体制を強化するとと
   もに、観客に協力を呼びかけ健全な娯楽場としてのPRに
   務める。
   周辺居住者の意見聴取について
  乙は球場改装工事着手前に、球境周辺居住者の意見を聴取し
 提出された条件については、誠意をもってできる限りの対策を
 講じる。

以上合意の証として、甲乙各々一通を保有する。

   昭和48年4月27日
     甲、藤井寺市長
         
松 内 慶 造  印マーク
     乙、近畿日本鉄道株式会社
        代表取締役社長
         
佐 伯   勇  印マーク 
協 定 書

 藤井寺市(以下甲
という。
)と近畿日本鉄道株式会社
並びにその系列企業(以下
乙という。)とは、次の条
項を締括する。

一、 甲と乙は両者間の
 友好関係を確立し、互
 いに協調しつつ発展す
 ることを目的として両
 者間の諸問題を解決す
 るため
連絡協議会(以
 下本協議会という
。)
 投ける。
  ただし、細目は別途
 協議のうえ、これを定
 める。
 イラスト3
二、 本協議会は当面する藤井寺球場改装にともなう諸問題の解
  決を図るほか、甲
乙において将来計画する諸事業について、
  双方積極的に協力しあうものとする。

協定成立の証として、甲乙各々一通を保有する。

   昭和48年4月27日
     甲、藤井寺市長
         
松 内 慶 造  印マーク
     乙、近畿日本鉄道株式会社
        代表取締役社長
         
佐 伯   勇  印マーク

(9)
 市議会  藤井寺球場のナイター設備に
          かかる諸問題に対する議会
            審議経過についてお知らせ
 先般、近鉄球団が藤井寺球場において、本年後期よりナイター
・ゲームを行なうとの発表以来、市民の皆さんには新聞紙上等で、
すでにご承知のとおり、関係住民の方々からあらゆる面で公害が
起るとして市当局や市議会に再三にわたり陳情を行なわれており
ましたが、この問題に対する今日までの議会とてしの審議過程を
通じ今後における対策等をお知らせ申し上げ、市民の皆さんのご
理解をお願いする次第でございます。

3月1日 駅前開発特別委員会開催
 理事者より
駅前の開発事業を推進中でありますが、去る2月
26日近鉄より藤井寺球場を近鉄球団の本拠地として、ナイター
設備をしたい旨、市に申し入れがありました。この計画によると
工費6億円、収容人員3万2千人(現在2万3千人)可能の増設を
図るもので、ナイター照明灯6基を設置し年間40ゲームを行な
おうとするものであリます。
 観客輪送は、7割を電車3割をパスおよび乗用車によるものと
の想定に基づき乗用車350台、バス9台の駐車場を設置、また
スピーカーは、位置を下げて取り付け、極力騒音を外に出さない
ようにする。
           (※ 「 」は筆者が挿入)
 以上、理事者より報告を受け種々審査の結果、当委員会は、特
に公害問題並びに道路駅舎等の問題について次の点を指摘しまし
た。

(一)市と近鉄において、諸問題解決のための協議会
を設けること。
(二)恵美坂地区と北駅前広場間に新設の道路を設けること。
(三)橋上駅舎を設け、現在の地下道を一般に開放すること。
(四)藤井寺駅の東、西おのおのの踏切を拡幅すること。
(五)恵美坂地区のガードを拡幅すること。
(六)駅南側線路ぞいの民家に適当な措置を行ない歩道の幅を確保
  すること。

3月2日 公害交通対策特別委員会開催
 近鉄より2月26日
藤井寺球場に、ナイター設備を行ない、近
鉄球団の本拠地として使用したい
旨の申し入れがあり、これにと
もなう諸問題について理事者より次のような報告がありました。

(一)収容定員を現在の2万3千名を3万2千名収容できるよう改
  造する。
(二)駐車設備は、普通車350台、バス9台を収容可能にする。
(三)平均観客数は約5千名を予定している。
(四)年間
65ゲーム中、約40ゲームを本球場において実施したい。
(五)ナイター・ゲームの場合午後10時には消灯する。
(六)
外野の改装、ナイター用照明灯(6基)その他改装工事について。
 以上報告の後、各委員より次のような意見が述べられました。

(一)交通問題(道路事情を含む)について、付近住民に及ぼす公害
  問題は充分対策を講ぜられたい。
(二)今後諸問題解決のため近鉄と本市との間に協議会を設置する
  
については、今後その性格構成等について充分配慮すること。

3月16日 公害交通対策特別委員会及び駅前開発特別委員会
          による合同委員会開催

 近鉄より次の
10項日について申し入れがあった旨、理事者より
報告がありました。

(一)太鼓等の持ち込みは入場の際、チェックし、排除する。
(二)虫の害については、電撃殺虫灯により処理する。
(三)球場周辺のゴミ清掃は近鉄において行なう。
(四)電波障害については、NHKの調査に基づき対処する。
(五)治安、ならびに交通問題については、ガードマンの適切な配
  置により対処する。
(六)藤井寺駅を橋上駅舎とし、同時に南北の交流をはかるよう改
  造する。
(七)現在の地下道は市に移管し一般に開放する。
(八)高鷲空3号踏切より恵美坂ガードまでの軌道北側に4米の道
  路を新設する。
(九)恵美坂ガードを幅員8米に拡幅する。
(十)藤井寺1号踏切は、2米拡幅する。


 次に、近鉄との協議会設置に関する協定書原案について、説明
がありました。(別紙市当局掲載文参照)
 これに対して各委員より次のような意見が述べられました。

(一)近鉄より申し入れの10項目については、十分なる対策とは
  言えない。
(二)交通安全の確保、ならびに自動車混雑の緩和の措置が、不十
  分である。
(三)駐車場は球場敷地外の一般駐車場を借り受けるよう指事すべ
  きである。
(四)協議会設置に関する協定書原案は、なお疑問点も多いので理
  事者において再度検討を加え、むしろ市当局が起草すべきで
  ある。
(五)公害問題、交通問題は地元住民の意志
(意思)を十分吸収し理
    事者において、近鉄側と交渉を重ねること。

(10)
3月19日 昭和48年第1回定例会第3日目の会議
       (ナイター関連事項)について
 藤井寺市
春日丘公団1−301○○○○氏外1名、紹介議員○○
○氏で、請願書が提出された。
 その内容は、
ナイターによる公式戦に伴なう諸公害に反対する
立場から、近鉄が住民の納得するまで直接話合い、また議会にお
いても十分審議されて、しかる後までは、公式戦に伴なう一切の
エ事が行なわれないよう市議会として可能な限りの措置をとられ
たい
との趣旨の請願で、議会において、直ちに受理されるととも
に、本会議の日程に追加し紹介議員をして請願の趣旨説明がなさ
れた後、「市当局のナイター間題に対する見解および態度」を聞
きたいとの動議が提出され動議は成立したが、日程追加について
可否を諮ったが賛成少数で否決され、本請願は所管の総務常任委
員会に付託審査することに決定しました。

3月23日 総務常任委員会開催
 3月19日こ付託された請願について、審査を行なう直前に至
り請願者より請願文章を検討の上再提出するかまたは陳情書に切
換えの考えである旨、紹介議員を通じて申し入れがあったので、
当日は審査査を行ないませんでした。

3月27日 総務常任委員会
 3月26日付文書により請願代表者、○○○○氏ほか1名より
紹介議員を通じ請願書を取り下げたい旨、申し出があったとの委
員長の報告があり了承、
28日の本会議においても同様、委員長
より取り下げの報告を行ないこれを承認しました。

4月5日 理事者並びに議会の正、副議長、公害交通、駅前開
      発および総務各委員会正副委員長と関係5地区々長
      との会合

 球場周辺地区5区長(藤井寺、南岡、春日丘、春日丘公団
恵美
坂)より聴取した意見ならびに要望を地区別に列記しますと、

藤井寺地区
一、地区総会は開催していないが、反対はないものと思う。
二、路上駐車の排除対策を十分検討されたい。
三、通勤者に迷惑をかけないよう電車の増発、増結を行なって欲
  しい。

春日丘地区
 
ナイター問題については他の反対地区と別個に、独白の交渉を
することに決定したことと、春日丘3丁目の一部住民の反対運動
は、春日丘地区の総意に対する所謂分派行動と理解されて結構で
ある
との報告があり、要求する条件は、次の通りの7項目である
が、特に交通問題について、重大な関心がある
旨、説明がありま
した。

一、歩行者の安全確保と交通混雑の対策、道路整備
二、路上駐車の対策
三、風紀治安の対策
四、周辺のゴミ処理の対策
五、照明灯に集まる害虫被害
六、観客並びに自動車による騒音排気ガスによる公害
七、電波障害を生ずる
  南岡地区
 
春日丘地区と同一の要望であるが、特に次の点について強い要
望がありました。
一、路上駐車を含む交通問題について十分検討されたい。
二、駅前開発については
地域住民の参加の機会を与えられたい。

春日丘公団地区
 地区総会の決定として、次の通り9項目についての要望が出さ
れました。

 
この9項目の公害については、零にならなければならない。零
にならなければ保障を要求する
との税明がありました。
一、路上駐車の対策、交通混雑、交通事故の増加に対する対策。
二、風紀の乱れ、野球賭博に伴なう暴力団の流入、青少年の非行
  化。
三、教育環境の破壊。
四、ゴミの不法投棄による町の汚れ。
五、照明灯による害虫の集中飛来および睡眠妨害。
六、排気ガスによる空気汚染、光化学スモッグの増大。
七、観客および自動車の騒音。
八、鉄塔による電波障害。
九、電車ラッシュの激化。
イラスト4
 恵美坂地区
  
恵美坂1丁目町会の総会の決議として
 絶対反対である。近鉄との交渉は戦術と
 して行なうが、妥協はしない。



 ◎4月7日 公害交通対策特別委員会お
       よび駅前開発特別委員会に
       よる合同委員会開催

  ナイター問題について、関係地区より
 の陳情について理事者より報告がありま
 した。
  即ち
 3月19日、春日丘地区より路上駐車禁止の陳情恵美坂地区
より
路上駐車禁止について陳情
 3月29日、
陵西第1町会より@路上駐車問題A治安問題B騒
音問題C排気ガスによる汚染等環境悪化についての陳情
がありま
した。
 4月6日、
恵美坂町会より@風紀の乱れA空気汚染B教育環境
悪化C交通事故増加D町のゴミによる汚れE害虫の飛来F騒音
G電波障害等について陳情
がありました。
 4月7日、
春日丘3丁目町内会より、恵美坂町会と同様主旨の
陳情
がありました。

 以上報告の後に、協定書ならびに、同細目の各案について審査
を行った結果、委員より

一、住民の意志
(意思)反映機関としての、市と近鉄との連絡協議
  会で、共存共栄を図ることは当然の事で賛成であります。

(11)
二、連絡協議会設置により諸問題解決の窓口としての機能を果す
   もので賛成であります。
三、連絡協議会が、妥協機関になってはならない。
四、「互いに協調しつつ発展することを目的として」とあります
  が、字句および内容に再考の必要があります。
との意見が出されました。

 次に、確認書案についても同様理事者より5地区代表者の要望
を集約した9項目と確認書案を対比して説明
がありました。(別紙)

 地区住民の要望事項は、出きる限り確認書案の中にとりあげて
いる旨、報告がありました。
 これに対し、各委員より質疑の後、次の意見がありました。

一、交通間題が解決することにより、住民の不安はかなり除去さ
  れる。
二、駐車場は球場より離れた処に分散設置さすべきである。
三、治安維持に対する市長および警察当局との打合わせを綿密か
  つ明確にすること。
四、再度地域住民の意志を聴取し、その上あらためて委員会に諮
  り協議すべきである。
 従って、本日3案について結論を出すことは反対であるとの意
見もありました

 以上意見陳述の結果、協定書・同細目・確認書の各案について
採決した結果、賛成多数をもってこれを承認することに決しまし
た。

4月16日 全員協議会(注、参照)
 理事者よりの要請に
もとづき、議長は全員協議会を開会したが
約百数十名(推定)の反対住民が、市役所表玄関に集合し、自動車
の上に大型マイク
(スピーカー)を取りつけて気勢をあげ、反対表
明の集会が開かれていました。
 その間、全議員による懇談会が開催され、市長より2月26日
以降の経過について報告がありました。
 また議長よりは、4月15日に反対住民数十名が、議長宅にこ
られ、面会を求められたが、不在のため、文書によって
一、全議員と反対の住民との話し合いの場を作れ。
二、4月16日に全員協議会を延期せよ。
三、確認書は近鉄の言うままであり、住民の要望を採り入れてい
  ないから白紙に戻せ。
四、議会は副議長の汚職問題について責任を示せ。

 以上4項目の要望があった旨、報告がありました。

 なお、
全員協議会を傍聴したいとの要求があったので、これら
の取り扱いについて、議会運営委員会を開くため会議は一時休憩
に入りました。その間に反対住民が会議室に入り込み、市長に対
確認書を白紙に戻せ、また「地区住民が了解するまでエ事に着
手してはならない」と言う一項を確認書に挿入せよ

 とつめよったが、市長の回答とは、終始平行線
をたどりました。
そのため、市長が缶詰状態となったので、庁内取締事務責任者で
ある財務課長が反対住民に対し、その退去を要請しましたが、こ
れに応じず、そのうち市長の健康状態に変化の兆
しが見えたので、
市職員によって、混乱の中より市長を救出し、直ちに、道明寺病
院に入院することになりました。
 その後反対住民もー時会議室より退去したので、会議を再会し、
議会運営委員会の報告が行なわれたが、市長入院のため本日の会
議に支障をきたすので、助役は改めて市長の委任を受けておくべ
きである。との意見が出され、そのため再度休憩に入りました。
 その後、再び会議室に反対住民が入り、その間、議会運営委員
会を開き、議長および議会運営委員会の正副委員長が、反対住民
の代表数名と話し合いました結果、反対住民の代表は、
一、全議員と反対の住民との話し合いの場を作れ。
二、全員協議会の傍聴を認めよ。
 以上2点の要求を認めずに会議を開くなれば、不測の事態発生
するやも知れず
と主張、議会側との話し合いは、平行線をたどっ
たので話し合いを打ち切り、その顛末を、議会運営委員会に報告
し、審議の結果、何れ他日を期することとして本日の協議会は議
員懇談会開会の途中で散会することで合意を見ました。

4月27日 議会運営委員会開催
 議長より4月16日における、あの騒然たる実態を顧み
、なお、
諸般の状況をも併せて考える時、たとえ全員協議会を再会
しても、
再びあのような状態の繰り返しのもとでは、到底正常なる議事の
運営を期待し得ないのみならず、かえって前回をうわまわる大き
な混乱を招くは必至であり、或は万一の場合不測の事態さえおき
る危険性すら予見せられるし、しかも、本件はもともと議決事件
ではなく行政行為として、執行機関の権限に属するものではある
が、その性質上、議会の了解を得ておくことが望ましいとの考え
から開かれたにすぎないので全員協議会に代る方法として、4月
7日の合同特別委員会の審査の経過および結果の報告ならびに理
事者と関係者との交渉の経過報告を全議員に文書をもって配布す
ると同時に、確認書、協定書、同細目の各案についても併せて了
承願いたいとの提案があり、委員長より委員に諮ったところ、共
産党議員から全員協議会開催の出来ないことは、了解するが確認
書等の3案は、現時点においては、なお疑問点があるとの意見が
ありましたが、他の委員は、各会派の意向を事前に打診したとこ
ろ会派の総意により、了解するとの意見があり、委員会はこれを
承認しました。
 以上の決定は、同日、議長より理事者に通知しました。

(注) 全員協議会について
一、全員協議会(議員協議会とも云う)は法令によらない会議であ
  って、従って法令上の根拠は全然ない。
二、全員協議会の性格
 (イ)市の重要事件について下相談をするために、便法的に開か
   れます。例えば、執行機関の職務と権限に属していても、
   議会の意向を聞いておくことが政治的に見て適当であると
   考えた場合に開かれます。
 (ロ)発言を自由に行ない家族的な会議であり、勿論公開の必要
   および結果を公表する義務的制約もない。
 (ハ)会議規則の適用もないので、秩序、規則に反しても懲罰の
   対象にはなりません。

 以上ナイター間取に関する本日までの市議会の審議の経過及び
結果をお知らせ申し上げます。            以上

(12)
      (別紙)   各地区の陳情要望事項を集約したものと確認書との対比





、路上駐稗の対策、交通
 混雑、交通事故の増加に
 対する対策。
、風紀の乱れ、野球賭博
 に伴う暴力団の流入青少
 年の非行化。
、教育環境の破壊。
、ゴミの不法投棄
 による町の汚れ
、照明灯による害虫の集
 中飛来および睡眠妨害
、排気ガスによる空気汚
 染
、光化学スモッグの増大
、観客および自動車の騒
 音
、鉄塔による電波障
 害
、電車ラッシュの激
 化









、自動車対策について
(1) 道路
 ア、岡中春日丘線−恵美
  坂ガード間に道路を新
  設する。
 ウ、恵美坂ガードおよび
  南側坂道を拡幅する。
 オ、駅前派出所−球場間
  
を両側歩道に改良する。
  球場前東出入口−市道
  春日丘2号線間の市道
  
南側に歩道を新設する。
 カ、藤井寺駅−藤井寺3
  号踏切間の道路の拡幅
  する。
(2) 路上駐車対策
  球場付近一帯の面的な
 駐車禁止措置を警察当局
 へ要請する。
(3) 交通整理および駐車場
  対策について
 ア、球場敷地内および上
   谷池跡地に駐韓場を設
   け、かつ周辺駐車場の
   借用を行なう。一方で
   は観客の電車への転移
   を促すPRを行なう。
 オ、ガードマンをもって
   警察当局と協力し交通
   整理に当る。
、球場周辺地区対策につ
 いて
(1) 騒音対策について
 ア、球場への笛・太鼓等
  の持ち込みを禁止する
  とともに球場の立地を
  PRし、観客に自粛す
  るよう指導する。
(2) 防犯対策について
 ア、球場のスタンドから
  周辺の家屋を見下せな
  いよう、のぞき見防止
  のフェンスを設ける。
 イ、球場敷地周辺に防犯
  灯13基を新設し試合
  日以外も点灯する。
 ウ、警察当局の指導をう
  けて試合開始前・中・
  後に区別して、巡回ル
  ート配備位置を定めガ
  ードマンにより球場外
  部を警備する。
 エ、球場内の賭博行為に
  対する監視体制を強化
  する。
、球場周辺地区対
 策について
(3) ゴミ問題につい
   て
  翌朝定められた
 範囲について清掃
 班がゴミ収集をす
 る。
、球場周辺地区対策につ
 いて
(4) 照明による害虫対策に
   ついて。
   電撃殺虫灯を10ケ所
 に配置し、ナイター照明
 の消灯前から翌朝まで点
 灯する。
、自動車対策について
(3) 交通整理および駐車場
  対策について
 ウ、球場の立地および駐
  車場容量の小なること
  をPRし、観客の電車
  への転移を促すことに
  努めるともに、主力を
  なすと思われる北方面
  からの流入車は、上谷
  池跡地の利用および他
  施設の駐車場借用等に
  より、電車線北側で駐
  車
させるように努める。
、球場周辺地区対策につ
 いて
(1) 騒音対策について
 ア、球場への笛・太鼓等
  の持ち込みを禁止する
  とともに、球場の立地
  をPRし観客に自粛す
  るよう指導する。
 イ、場内放送は小容量の
  スピーカーを数多く備
  える配慮をする。
 
、球場周辺地区対策
 について
(2) テレビの電波障害
  について
  NHKに事前事後
 の調査を依頼し実害
 があれば対策を講じ
 る。
、自動車対策につい
 て
(3) 交通整理および駐
  車場対策について
 イ、電車の増発等に
  より夕方のラッシ
  ュの重複を緩和す
  る。


*** 筆 者 の 感 想 ***
 正直言って、この文書を再構成する作業はかなり疲れました。体力的な問題ではなく、精神的な疲れです。文章量の多さもありますが、
何よりも、文の長さと分かり難さです。陳情や要望、確認書や協定書などの内容を吟味する前に、文章の読み取りそのもので相当疲労した
感じがします。文脈を確認して内容を把握するために、何度も読み返す必要がありました。当時の市民の皆さんは、これをちゃんと読まれ
たのでしょうか。多くの市民に読んでもらい、確認書や協定書の締結に理解をしてもらう目的で発行された広報としては、余りにも読みづ
らい文章と言わざるを得ません。以下に列記します。

@ 一つのセンテンス(文)がやたらに長く、いきなり最初のページに約390字もある文が出てきます。「 。‥‥‥ 。」がとにかく長いの
 です。市議会のページには
、500字で一文という驚異的な文章があります。作成に努力された担当者には申し訳ありませんが、いわゆる
 “お役所文章”の典型と言ってよいでしょう。読み手の受けとめ方など関係なく、ひたすら伝達したいことや連絡したいことを並べ立て
 る、という姿勢で書くとこういう文章になりがちです。国や自治体などから来る通達文書や連絡文書によく見られることで、私も現職時
 代によく経験しました。
  自治体の広報紙に限らず、広報紙の文章というのは、とにかく「読みやすく、わかりやすく」書くべきだ、と私は考えています。広報
 というのは「広く報せる」ことが目的なので、読んで内容を理解してもらえなければ用を成しません。この特集号の文は、市や議会の立
 場を理解してもらおうという姿勢が強すぎて、文章そのものをまず理解してもらう工夫が欠けていると思いました。
A 全体の内容を通して私が感じたのは、「藤井寺球場ナイター問題の経過について」という表題で何を伝えたかったのだろうか、という
 疑問です。「経過」を伝えたいのであれば、時系列に沿って事実をたんたんと記述すればよいと思います。「経過について」何か言いた
 いということなのか、とも受け取れるような全体構成だと思いました。
  前置き文の中で、「詳しくご報告を申し上げ、市民の皆さんのご理解を得たいと存じます。」とありますが、「詳しくご報告」の中身
 に、前述した通り市や議会の立場が出すぎていると思いました。全文を通して私が受けとめた趣旨は、誤解を恐れずに書かせていただく
 と、「ナイター問題の言い出しっぺは近鉄球団で、それに対して地域住民から反対や不安の声が上がり、多くの陳情や要望が市に寄せら
 れた。市や市議会はこれを受けて近鉄とも折衝し、関係地区住民とも何度も話し合い、市理事者と議会とで何度も会議を持った。一部の
 過激な反対住民の行動にも対処し、果たすべき努力は十分尽くした。市民はそのことを評価して、我々が確認書と協定書の締結にこぎ着
 けたこととその内容を認めるべきだ。」という感じです。「ご理解を得たい」と言うには、何かが足りていないと感じました。
B 足りないものの一つが、経過報告を文章化するに当たっての全体構成の吟味・検討と配慮・バランスです。詳しく報告するために、陳
 情・要望を寄せた自治会や町内会の名前が何度も出てきますが、ご丁寧に自治会長の個人名までフルネームで書かれています。良い方に
 解釈すれば、「この方々が努力された」という意味で載せることも考えられますが、この場合はそうとも思えません。請願書を提出され
 た方などは、個人名のみならず、住所まできっちりと書かれているのです。おまけに紹介議員まで書いてあります。議会の記録には当然
 書かれている事項でしょうが、この特集号で必要なことでしょうか。対して、市の職員や議会の委員会正副委員長などは、何度も出てく
 るのに誰ひとりとして個人名は見られません。すべて役職名だけです。一人わかったのは、確認書などにあった市長名だけです。一般に
 団体や組織の意思を表す行為・行動を伝える場合は、その代表者の役職名だけでもいいと思います。自治会長の場合も個人名は必要なか
 ったと思います。この特集号は半世紀前に発行されたものですが、現在ならば個人情報の扱い方として問題にされたことでしょう。
C 全体の文章量が多かったためか、特集号全体の中での整合性が取れていません。何人かで担当された原稿を合体して構成されたと思わ
 れますが、細かい点で表記のばらつきや揺れが見られます。仮名遣い、句読点の使い方などで統一性が欠けています。自治体の広報紙と
 いう性格を考えると、やはり新聞のように標準仮名遣いに準拠すべきでしょう。
  特集号の内容からして、いろいろなところから「書いてくれ」「書かないでくれ」という要望を寄せられたことが考えられます。限ら
 れた時間の中で担当者は努力されたことと思います。多少の文章上の不備はやむを得ないことかとも思いました。

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