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トランジスタの実験 hFE |
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▼説明・・・ |
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hFEとは直流電流増幅率の事です。ベース電流とコレクタ電流の比の事です。因みにhfeと”f”と”e”を小文字にすると交流電流増幅率になります。
hFEを実際に実験します。
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▼計算式です・・・ |
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hFE = IC/ IB IC=コレクタ電流 IB=ベース電流
例えば、IB=10μA、IC=1.60mAの時、hFE=1.60/(10/1000)=160 になります。
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▼実験回路です・・・ |
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左図の回路で実験です。RB1を色々な値のものと交換して、電流IBとICの変化を見ます。
 
これが今回使用するトランジスタ2SC1815の外観です。今までは、右の物だったのですが、最近購入すると左の物になっています。文字の感じが違います。中国製の模造品かと思いましたが、実は文字をレーザーで焼いて書き込んであるそうです。そういえば最近の東芝のICもこんな感じの文字が入っています。”GR”と書いてあるのはhFEのランクでGR=200〜400になります。
2SC1815(東芝)【株式会社東芝データシートより】 |
項目 |
記号 |
定格 |
単位 |
コレクタ・ベース間電圧 |
VCBO |
60 |
V |
コレクタ・エミッタ間電圧 |
VCEO |
50 |
V |
エミッタ・ベース間電圧 |
VEBO |
5 |
V |
コレクタ電流 |
IC |
150 |
mA |
ベース電流 |
IB |
50 |
mA |
コレクタ損失 |
PC |
400 |
mW |
接合温度 |
Tj |
125 |
℃ |
保存温度 |
Tstg |
-55〜125 |
℃ |
上記データーは2002年01月29日現在 |
上の表が、今回使用するトランジスタ東芝の2SC1815の最大定格です。最大定格とは、絶対に超えてはいけない定格の事で、超えると壊れると言うことです。実際に使用する時は、この最大定格の半分ぐらいに成るように設計します。
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▼実験です・・・ |
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実験はブレットボード上で行います。左の写真の真ん中にある3本足の部品がトランジスタです。そのすぐ右にある1/4W抵抗器がRBです。これを色々な値のものと入れ替えます。
抵抗器の右にあるタクトスイッチは、ベース電流を流す時に押します。なぜスイッチを付けたかと言いますと、ベース電流や、コレクタ電流が最大定格を超えて流れた時、素早く電流の供給を止めてトランジスタを守る為です。短時間なら守ることが出来ますが、スイッチが無い場合長時間電流が流れることとなりトランジスタの故障の確率が上がります。
左のミノムシクリップで左下の写真の電源装置からコレクタ側の電源を供給します。
 
上右の写真が全体の様子です。奥にある緑色のテスター(共立電気計器KEW1011)2台で電流を測定します。左がIC=コレクタ電流、右がIB=ベース電流です。
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▼結果です・・・ |
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hFE実験結果 |
RB(Ω) |
IB(mA) |
IC(mA) |
hFE |
100 |
31.2 |
438.5 |
14 |
150 |
22.1 |
392.8 |
18 |
220 |
15.9 |
342.4 |
22 |
330 |
11.1 |
294.0 |
35 |
470 |
8.0 |
254.4 |
32 |
680 |
5.7 |
220.2 |
39 |
1k |
3.9 |
192.4 |
49 |
1.5k |
2.6 |
164.4 |
63 |
2.2k |
1.86 |
142.5 |
77 |
3.3k |
1.24 |
125.2 |
101 |
4.7k |
0.88 |
111.6 |
127 |
6.8k |
0.61 |
98.0 |
161 |
10k |
0.41 |
83.2 |
203 |
15k |
0.27 |
62.1 |
230 |
22k |
0.19 |
45.5 |
239 |
33k |
0.128 |
30.5 |
238 |
47k |
0.091 |
22.1 |
243 |
68k |
0.062 |
15.2 |
245 |
100k |
0.044 |
10.55 |
240 |
150k |
0.029 |
7.13 |
246 |
220k |
0.020 |
4.92 |
246 |
330k |
0.013 |
3.23 |
248 |
470k |
0.0091 |
2.23 |
245 |
680k |
0.0063 |
1.55 |
246 |
1M |
0.0043 |
1.05 |
244 |
10M |
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気温 28.4℃ 上記データーは2008年09月22日現在 |
上の表が測定結果です。赤い部分は最大定格を超えています。これを長時間流すとトランジスタが壊れます。
よく見ますとベース抵抗RBが47kΩ〜1MΩ(黄色の部分)で大体hFE=245になってると言うことは、このトランジスタのhFEは245と分かります。
hFE=IC/IB から、ICはIBのhFE倍流れるということが分かりました。

上の表をグラフにしてみした。X軸にコレクタ電流(Ic)、Y軸にhFEとしてあります。
あれ、何処かで見たことのあるグラフです。そうです、メーカーのデータシートに載っている”hFE-IC”のグラフです。このグラフとよく似た物となりました。

上のグラフが東芝の2SC1815のデータシートに載っていたhFE-Icのグラフです。上のグラフと見比べて下さい。
あと、hFEは温度でも大きく変化します。仮にコレクタ電流が10mAの所を見ると、25℃の時のhFEは150ですが、-25℃の時のhFEは100です。トランジスタが動作するギリギリの設計では、気温が暖かい時は動作して、寒い時は動作しないということが起きてしまいます。
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▼修正履歴 |
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2008年(平成20年)09月23日 完成
2008年(平成20年)10月12日 デザインを修正
2008年(平成20年)10月19日 回路図を修正 |
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