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 AIWA EXCELIA  XK-009

 『デッキは、メカニズム。』

 A・M・T・S搭載 制振3ヘッドカセットデッキ。
 アナログデッキの究極を追求し、マスターの数値を目指したリファレンスモデル。
 
発売当初定価:\99,800

 アイワのピュア・オーディオブランド、EXCELIA(エクセリア)。時の社長はかの工学博士・中島平太郎氏。当時の同社は世界初の民生用DAT EXCELIA XD-001を始め、数々の傑作を世に送り出していました。そのカセットデッキカテゴリーのフラッグシップがXK-009 です。
 エンジニアたちが技術力を結集し、その音質で発売当時数々の賞を受賞した名機であり、晩年の低価格路線移行後の製品からは考えられないような贅沢な構成をしています。この「ゼロ・ゼロ・ナイン」が発揮するレッドゾーン限界性能で、カセットテープがHi-Fiオーディオとして奏でるその繊細かつパワフルな音に驚かれること間違いなしです。

 
3ヘッド仕様
(Heads)
消去ヘッド
ダブルギャップセンダストヘッド
高精度なテープ走行を約束するデュアルキヤプスタン・メカニズムは、シングルキヤプスタンに比べ、高いテープテンションが一定してかかり、テープとヘッドの密着度も高まります。このため消去ヘッドに通常のフエライト材を使用すると、フェライト材の保磁力=Hc(0.1〜0.15)に伴う自発磁化作用で、テープ信号の高域劣化をひきおこします。このためアイワは、Hcが0.007〜0.02と非常に低いセンダストヘッドを使用。大切な財産であるミュージックテープの音質劣化を防止しています。
録音ヘッド
PC-OCC巻線ピュア・アモルファスヘッド
再生ヘッド
PC-OCC巻線ピュア・アモルファスヘッド
モーター仕様
(Motors)
クローズドループデュアルキャプスタン・
ダイレクトドライブ方式
システムサーボモーター x1 
DCモーター x1 (再生/録音)
DCモーター x1 (FF/RWD専用)
ワウ・フラッター
(Wow & Flutter, % WRMS)
0.018%(WRMS)*カセットデッキ世界最少値、±0.035%(WPEAK) *カタログ値  テープ速度4.8cm/sec 
NR
DOLBY B・C NR / HX PRO 搭載,  dbx 搭載
周波数特性
(Frequency Response, Hz)
METALテープ 
20〜22,000Hz±3dB(-20dB録音)
CrO2テープ
20〜21,000Hz±3dB(-20dB録音)
NORMALテープ
20〜20,000Hz±3dB(-20dB録音)
SN比
(S/N best NR, dB)
95db(dbx-NR ON, メタルテープピークレベル)
重量
(Weight, kg)
10.2kg

 主な特徴(一部写真を除き、アイワ社カタログより)
カセットを1kgもの重圧で押さえつけるA・M・T・S(Anti ModulationTape Stabilizer)を搭載。

 音質を汚すファクターのひとつにカセットハーフの振動があることは周知の事実でした。ハーフ振動がテープ振動を呼び、結果として変調ノイズをひきおこす。しかしそれまではカセットハーフ側での対応が重点的であり、デッキ本体からの対応は数少なかったと言えます。アイワはこの点を徹底して追求。まずカセットボックスを非磁性のアルミ板と音質上十分に吟味された無反発性特殊ゴムの二層構造とし、ハーフ本体を約1kgの圧力で精密かつ確実に圧着固定することに成功。点ではなく面でスタビライズする独白の方式と相まって、ハーフ振動を新次元で解消しています。この結果、変調ノイズの発生は大幅に低減し、音情感・奥行き感・雰囲気などのリアルな表現力を可能にしました。また、低域のしまり・定位の明確化にも効果をもたらします。
バイアスシールド付亜鉛ダイキャスト製超重量級ヘッドブロック

 高級機の証明ともいうべき3ヘッド。しかも究極の素材といわれるPC-OCCを捲線部に採用したモデルです。高音質の入り口となるヘッドは30gという常識を超えた重量の亜鉛ダイキャスト製ヘッドブロックで精密に固定。微細なヘッド振動をおさえこむことにより、ここでも変調ノイズの低減を図ります。さらにヘッドブロックには独創のバイアスシールドをセットし、録音ヘッドワイヤーから再生ヘッドワイヤーヘのバイアス漏れや、信号漏れをカット。従来のシールドを持たないモデルに比べ、約40dBの低滅を可能にしています。このことは再生イコライザ一アンブヘのバイアス混入防止を意味し、同時モニター時において再生ヘッドから生の信号だけをを歪みなく抽出、音の純度を際立たせます。
PC-OCC巻線ピュア・アモルファスヘッド。

 XK-009は飽和磁束密度、透磁率、耐摩耗性などにすぐれたアモルファスヘッドを採用。頑なに理想の音をめざしています。ヘッドの巻線には、純度99.997%、酸素含有量5ppm以下という、普通銅はもちろんのことOFCやLC-OFCをも凌ぐデータをもつPC-OCCを使用。結晶粒の長さ1200m、しかも電送方向に結晶粒がないため、音の透明感、音像定位、音の分離に優れた効果を示します。さらにヘッド形状は、コンター効果に十分留意したアイワ独自の設計。低域の暴れを鎮め、クリアさを損なうことがありません。
ワウ・フラッター0.018%を実現。

 アナログ測定限界ともいえるワウ・フラッターを実現するための意欲的な3モーター構成。FF/REW用に1基、キャプスタン用に1基、録再時の巻取り用に1基それぞれ専用のモーターを装備。さらに巻取り専用モーターは音質を一段と向上させるべく、従来ならアイドラー駆動に甘んじるところをベルトドライブ駆動を採用。FF/REWを共用させる方式では免れることが困難であったコギングからも解放されています。亜鉛ダイキャスト製重量級フライホイールに高精度加工を施し、さらに1ヶずつダイナミックバランスをとった上で搭載。ワウ・フラッター0.018%(WRMS)という、まさにアナログ測定の限界ともいうべき数値を達成しています。さらにキャプスタンは、2基のキャプスタンのシャフト径を変えている周波数分離型デュアル・キャプスタンを採用。周波数の重なりを無くし、共鳴を防止するなど音の良いメカニズムを徹底追求しています。
アナログ系 / デジタル系独立2電源トランス。

 それぞれ独立した大容量電源トランスを採用。アナログ系とデジタル系を完全に分離。デジタル系からアナログ系への信号漏れや悪影響を完璧なまでにおさえこんでいます。さらにトランスをあえてデッキ外部に配し、トランス事態もエポキシ系充填剤にて固め、電源トランス自体が発生させるフラックスや微振動がテープに与える悪影響を解消しています。
高精度再生へ。差動入力DC構成再生イコライザアンプ。

 PC-OCC巻線使用の再生ヘッド。そのピュアな信号をPC-OCCワイヤを介し、ダイレクトに再生アンプへ入力。音質劣化の要因となるコネクタ、カップリングコンデンサをはじめ、高域での位相ズレをもらたすピーキングコンデンサを完全に排除しています。さらに増幅素子には専用に開発された低雑音・低歪率・高耐圧・高スルーレートDC構成アンプを採用。低出力インピーダンス強力電源、高精度イコライザ素子と相まって、ダイナミックレンジの更なる拡大と高音質を実現しています。



EXCELIA XK-009 メンテナンス
 発売から年数が経過していますので、メンテナンス無しではその素晴らしい高性能は全く引き出せません。当方使用のXK-009は常にベストの状態を維持するべく、全てのデッキにて下記メンテナンスの全てもしくは一部を定期的に実施しております。メカ部の各種消耗パーツを始め、劣化した電解コンデンサ、トランジスタ等の電子パーツ、RCA端子、ACコードの交換、ICのアップグレードおよび専用機器にての最終調整等、全てを行って初めてオーバーホール済みと呼ぶことができます。劣化電子パーツの交換、調整をしなければ、ただ「正常に動いている」だけであって、真の性能を発揮していません。
* 写真は当方使用のEXCELIAシリーズの一部。XK-009はもちろんのこと、その優れた音質で未だにアーティストに根強い人気のあるXD-001も最高の状態です。XD-001は昨年度のオーバーホール時に、ヘッド及び各種モーター、各種ベルト、スイッチ類、半固定抵抗に至まで新品パーツに総交換しており、最高の状態で稼働するようにしています。

* 写真や文章の無断転載は固くお断り致します。

メンテナンスのポイントを簡単にご紹介致します。
外装
 デッキ底部です。多少サビが斑点状に浮いてます。009にはよくありがちです。ちなみに007は未塗装ですが、材質および肉厚が異なります。
 デッキ本体から取り外し、防振ゴムを丁寧にマスキングします。
 ペーパーがけした後、サビ防止のための下地処理をします。
 両面数回に分けて重ね塗りします。
 サイドウッドは高級スピーカーと同様のオイルフィニッシュ(英国製)処理
塗っては乾燥、また上塗りしては乾燥、研磨で手間暇かけています。木材に浸透後、時間をかけて強度が増し、艶が蘇ります(本当は塩ビ化粧板のなんちゃってサイドウッドなのですが。)。森林保護という建前にて、最近はサイドウッド付のオーディオも少なくなりました。やはりあった方が共振を防止するという目的以上に高級感が違います。
 電装系を外せるパーツは取り外して水洗いします。発光ダイオードの明かりを伝えるプラスチック製レンズを無くしやすいので注意。無くした場合はプラ板で成形します。意外に汚れています。最初は真っ黒だった水が綺麗になってきました。

メカ部
 メカ部です。カセットを1kgもの重圧で押さえつける本機の特徴機能A・M・T・S(Anti Modulation Tape Stabilizer)を先に外しておきます。モーターにも防振用ゴムが取り付けられています。
 A・M・T・S の動力源であるソレノイドとブランジャです。
音質を汚す原因と一つであるカセットハーフの振動を抑える機能で、非磁性体のアルミ板と無反発性の特殊ゴムの2層構造のカセットボックスとして、約1kgもの力でカセットハーフを押さえつけます。カセットテープを入れてホルダーを閉じると「バシッ」という音でカセットのハーフが固定されます。
 バイアスシールド付亜鉛ダイキャスト製超重量級ヘッドブロック。重さが30gもあります。この頃のアイワはとにかく設計に手抜きがありません。
 スチールボールと留め金具です。最近流行の格安修理チェーン店や取り扱い実績のない電気店に修理に出してヘッドの動きが妙なら、このスチールボールが無くなっています。
 ヘッドブロックを取り外すと、アイドラが見えてきます。特にこちら側のアイドラはさらに裏面のホルダーやフライホイール、モーター類までも取り外さないと外れません。たどり着くまで一苦労です。ヘッドブロックを外してしまうので、後に記載のアジマス調整は必須となります。こちらは専用機器が無いと一般的には厳密な調整は不可能です。
 カセット検出、ポジション検出、REC防止各スイッチも接点を清掃します。オーディオにはもちろんCAIGを使用します。さらに半田をやり直しておきます。
 フライホイールを外したところです。フライホイールにはスプリングと、オイルシールがメカを挟んで後両面にありますので、慎重に取り外します。
 ギアは固着グリスを除去し、適量を添付します。ネットオークションでグリスアップしたとの商品説明をよく見かけますが、以前、009ではないですが添付してはいけない箇所に大量に添付している挙動がおかしいものを入手したことがあります。トルクが必要とされる箇所にグリスを添付するのは、例えるとスクーターのプーリーにモリブデングリスをつけるようなものです。ひどい勘違いでした。むやみなグリスアップは不具合の根源になります。脱脂するのは大変手間がかかります。
 ギア部のアップです。フラーホイール、ホルダーを外すと現れます。バネを飛ばさないように注意します。
 とにかくギアからバネまでバラバラに分解します。
 フライホイールも丁寧にアルコール清掃します。ベルトは劣化していればストックの新品と交換します。XK-009は3本です。通常はアイドラ駆動で済ませる箇所まで、ベルトドライブにしています。新品交換後は落ち着くまでテープスピードをこまめに調整します。
 2002年12月1日、アイワ株式会社はソニー株式会社に吸収合併されました。アイワのメンテパーツはソニーに引き継がれましたが、既にXK-009のメインベルトも供給END、追加生産も行われないことを確認しました。当方は当面は貴重な純正在庫を効率よく使用して、ベストな状態を維持します。
 ピンチローラーは言うまでもなく専用液にてクリーニングしておきます。音揺れが酷い場合は寿命ですので交換します。
 プーリーは、ベルトが古いと粘着性が出て黒くなっています。丁寧に清掃します。
 XK-009にはアイドラは2ヶ使用されています。カセットテープは多少異音はしますが、どのカセットを用いても常に異音が発生したりワウ・フラッターが許容範囲でなければ交換します。
 スライドブレーキのレバーとGゴムです。Gゴムを取り替えます。
 反対の手順で組み立てていきます。ヘッドのアースを忘れずに取り付けます。軽快な動きが蘇りました。XK-009のメカは成熟しています。ポーズからでもカセットデッキとは思えないスピードで立ち上がります。

ACコード交換
 ACコードが傷んでいる場合は取り替えます。最近流行のトラッキング対策タイプにしておきます。プラグの部分が二重構造になっています。火災は怖いですから。
 基盤から金具を外し交換します。
 ラジカセや最近の10万円程度のシステムコンポなら別ですが、ピュアオーディオですので極性を必ず確認します。言うまでもなく印字がある方がクール側となります。

RCA端子交換
 RCA端子の経年劣化は避けられません。いくらケーブルにお金をかけても端子が劣化していれば無駄です。
 最初からついているものもゴールド端子ですが、メーカーのコストダウンのためユニット形式のものです。また現代の重いRCAケーブルには耐えることが出来ません。劣化していれば迷わず交換します。
 テフロン仕様の絶縁高級品に総交換します。XK-009は合計6ヶです。もちろんOFCにて結線します。半田は日本アルミット社製のKR-19RMAあたりが無難ですね。
 交換後です。非常にしっかりしています。

コントロール基盤
 平滑用コンデンサを始め、全て交換します。
 全て再半田します。A.M.T.Sの整流部分は半田クラックが発生していることがありますので特に念入りに行います。

インジケーター部
 FL管をデッキから取り外します。FL管もある意味消耗品ですので、ジャンクで予備を入手しておくといいかもしれません。FL管がダメになる前に、他のパーツが何回もダメになりますが…。
 全て丁寧に再半田します。

ヘッドホン基盤
 ヘッドホン基盤です。OPAはNJM4556Sが使用されています。
 電解コンデンサを音響用MUSEに総交換します。ヘッドホン部分も全てコンデンサ交換、再半田します。

再生基盤
 再生基盤です。XK-009はかなり定評のある音質ですが、その高音質で発売当初価格\99,800という価格帯実現のため、コストダウンしているパーツもあります。そのパーツを徹底的に交換します。
 電解コンデンサを全て音響用に総交換します。発売年から計算してもとっくに耐用年数を迎えており、電解コンデンサの交換は必須です。最も肝心な箇所ですので、倹約して汎用品を使用するのではなく、値段が倍以上してもオーディオ用を使用します。実力寿命期間まで数年間使用するのでしたら、高音質と引換の一時的な数千円の材料費など安いものです。例えばUSEDで初めて入手された場合、比較参考になるサンプルがないため、劣化した個体でもそれがベストの音と勘違いしてしまいます。まあコンデンサの種類によっても音色が変わりますが。

MUSE-FGはSN比も良く、音の質感が高くて厚みも増します。カップリングのメタライズドポリエステルフィルムコンデンサ(特殊三層構造、聴感歪を激減)はとりあえずこのままでもよいでしょう。
 MUSE-FXは定番中の定番で、透明感とスピード感のあるクリアでシャープな音質です。見渡す限りMUSEになりました。バイポーラも含め再生基盤だけで合計15本交換です。この部分だけでも結構なお値段です…。一般的にメーカーやショップの修理では総交換は絶対に行いません。ついでに中古オーディオ専門店で「整備済み・保証付き」ならどのような調整パーツ交換をしたのか具体的に確認してみるとよいでしょう。
 コンデンサに貼り付ける制振用ゴムです。
 とりあえずオーディオマニアには定番の、ICソケットを取り付けました。おそらく取り替えることはないですが…。
 もったいない気もしましたが、出力にOPA637BPを取り付けました。もちろんG(ゲイン)調整もしてます。やはりもう取り替えることはありません(笑)
 再生イコライザには5220が使用されています。これを今回はワンランク上の高速・低雑音OPA 2114DD(選別品)に交換します。DIPソケットにしようかと思いましたが、今回は音質を最優先し直に取り付けました。

■追記(2006年3月)
今回写真のOPA627BPに差し替えてみました。これが効果大でした!上品な中に厚みと伸びが見事に調和しています。流石はバーブラウンです。高いだけあります(笑)もうノーマルには戻れません。

●バーブラウンICやアダプタ類は、こちらにてお取扱いたしております。

録音基盤
 録音まわりです。M5218Lが使用されています。LM833やNJM4580LDに交換したら、また違った音質になると思います。必要な場合は電解コンデンサを交換します。もちろんMUSEです。
 録音回路のDOLBY IC 20188です。最近ではカセットテープを再生する機会はあっても録音する機会は少ないので、録音まわりは放置でも問題ありませんが…。

作業完了
 各基盤と配線を元に戻します。ヘッドからの配線は、丁寧に再半田しておきます。実に手間暇かかっています。大量生産の製品で、よくこのような作業ができたものです。さすがにバブル期です。
 最初に塗装した底板が、綺麗に黒光りしています。経年でここにサビが浮いている個体がほとんどです。それぞれの基板同士の干渉を嫌い十分な間隔が開けられた、正にピュアオーディオのセッティングです。

交換部品
 新品パーツと、交換済みパーツの一部です。ケーブル類、電解コンデンサ、抵抗、トランジスタ、ベルト各種、IC(オペアンプ)、RCA端子などなどです。その他外装関係で今回はとんでもなく材料費がかかってしまいました…。何年も使用するものですので、最高の品質は結果的に得をすると思います。

調整作業
 コンデンサのエージング後、各部を調整します。メカ部のパーツや各電子パーツを交換後は必須です。ここでは主な調整の一部を取り上げています。
 プレイモーター調整

 3個あるうちのひとつです。テストテープを走らせ、テストポイントの電圧が3.1V±0.1Vになるように調整します。
 プレイモーター調整

 調整しました。
 テープスピード調整

 テストテープを再生し、周波数を調整します。ベルトを交換したら必要な作業です(これを調整しないとHi-Fiオーディオの意味がありませんよね?)。これも厳密に調整します。
 アジマス調整

 テストテープを再生し、出力が最大でリサージュ波形が同相になるようにオシロスコープにて調整します。
 キャリブレーションレベル調整

 テストポイントをアースして、LOW FREQのレベル表示がFLメーターの印まで点灯するよう出力を調整します。次にHIGHレベルが2ヶ少なくなるよう調整します。まあほとんどの場合、調整不要です…。
その他DOLBY LEVEL調整、バイアストラップ調整等を行い、ヘッドの消磁もして全て完了。最後にもう一度念入りにヘッドクリーニング。
素晴らしい音質です!!力強い低音、透明感あふれる高音の伸びといい、音の厚みといい、見事なまでのバランスです。楽器の表現力がストレートに伝わってくる感じです。とりわけメタルテープで再生は強烈ですね。同じアンプにMDデッキとXK-009を接続し、セレクターを切り替えて聞き比べると圧勝です。勝負になりません。

 その他ご参考までに業務使用以外のコレクションも含め、シリーズの一部をご紹介します。
EXCELIA SERIES (others)
 [参考]:3 HEAD CASSETTE DECK XK-007

 姉妹機のXK-007です。内外の各パーツのランクを下げたり設計変更をしてコストダウンしています。定価は\79,800というXK-009より2万円安い設定でしたが、価格差相応分、パーツのグレード差は大きいです。例えばアモルファスではなくDXヘッド、コンデンサのランク、トランスの数、ACコードの品質、パーツの塗装、dbx無し、キャビネット等の肉厚等々。しかしながら基本設計はXK-009とほとんど共通化になっており、本機もEXCELIAの名前に恥じない音質を奏でますので、カセットデッキ全盛期の雰囲気を味わいたいなど、入門用にはお勧めの一台です。少なくとも多くの現行カセットデッキよりも、こちらの方が優れた音質です。中古オーディオ専門店でもXK-009は高値販売価格設定ですが、XK-007は比較的安価に入手可能な場合が多いようです。
 [参考]:COMPACT DISC PLAYER XC-007

 EXCELIAブランドのCDデッキカテゴリー最上位機種となります。発売当初定価89,800円。姉妹機にXC-005,XC-003があります。国内では本機よりもXC-005の方が売れたようです。D/A CONVERTERは左右独立のTWIN構成で、DACチップはバーブラウン社のPCM56P-K「選別品」が投入されています(XC-005はPCM58P)。もちろんオーディオ回路には音響用高音質パーツが多数使用され、音質は豊かな表現力とともに切れがあり、フラッグシップにふさわしい情報量のある素晴らしい音色です。XK-009と同様トランスはアナログ、デジタル用それぞれを搭載しています。必要の無いときには前面パネルにあるスイッチにて同軸・光出力への電流をカットでき、不要輻射をカットするという徹底ぶりです。本体重量は11kg以上ありGシャーシ装備、底板はアルミダイキャスト製で脚部までモールドされ、EXCELIAフラッグシップの基本概念である「制振デッキ」の精神を受け継いでいます。
 本機もコンデンサは音響用とOSコンにてメンテナンス交換し、さらにOPA627に換装しました。シンバルの音が弾けるようです。念のためピックアップの予備もストックしております。他オーディオメーカーも広く採用しているリニアトラッキング3ビーム方式のKSS-151Aです。
 [参考]:DAT(Digital Audio Tape Deck) XD-001

 アイワが世に送り出した世界初のDATデッキ。発売時定価\188,000。当時DAT懇談会の会長もアイワ社長でした。DATは音声をPCM方式でデジタル記録し、民生用の録音規格としては現在も最高水準で、主に業務使用に用いられています。本機は鳴り物入りで登場し、4D.D.方式、左右独立A/D・D/A CONVERTER、その他音質最優先の物量投入がされています。プロ用レコーディング機材と同様の構成となっており、非常に信頼性・性能とも高くなっています。
 続いて発売されたSONY製DTC-1000ESと共通化も図っていますが、SONY製はアセンブリが韓国製に対し、EXCELIA(AIWA)は日本製でした。またアナログ入力もDTC-1000ESが1系統に対しXD-001は2系統装備しています。
 EXCELIAブランドにかけた、中島氏をトップとしたアイワのプライドと意気込みが感じられました。
 [参考]:EXCELIA HIGH GRADE SPEAKER CODE EXW-3

 LC-OFC(Linear Crystal Oxygen Free Copper:線形結晶無酸素銅線)採用のハイグレードケーブル、MADE IN JAPANです。定価\7,500。
 ケーブルは音質を左右する要素であり、その材質に着目。結晶間で生ずる電子の乱れが音質に影響を与えるとし、その結晶を極限まで減らしています。通常の銅線の結晶が約15万個であるのに対し、LC-OFCはわずか約20個で、純度も99.995%を達成。クセのない、クリアでしっかりした音像です。
 [参考]:EXCELIA HIGH GRADE DIGITAL AUDIO CODE EXW-1

 LC-OFC(Linear Crystal Oxygen Free Copper:線形結晶無酸素銅線)採用のハイグレードケーブル、MADE IN JAPANです。定価\4000/m。デジタルの提唱者にふさわしく、EXCELIAシリーズに伝送コードまでありました。
 [参考]:EXCELIA DIGITAL MONITOR HEADPHONES HP-EX200

 プロ仕様の密閉型モニターヘッドフォンです。定価\22,800。コードはもちろんLC-OFCです。

番外編
AIWA DAT COMPONENTS

 
 DATコンポ [プリオール]
 CDS-999
 発売当時定価(フルオプション)\477,800


 デュアルコンポ 「CD MyPACE」 シリーズからの系統を受け継いだミディサイズコンポーネントステレオシステム、「プリオール」。「プリオール」とは英語"priority"の語源にあたるラテン語で、「抜きんでたもの、上位」の意。単品オーディオの技術を惜しみなく投入し、サイドウッド装備、本シリーズからの特徴も多々ある力作でした。アイワ製品は最上位機種と次位機種との価格差は製品作りに顕著な差となって反映されていることが多いように思えます。本機CDS-999とCDS-777は、パワー差は元より採用パーツが異なる部分が見受けられました。各デッキ接続は777はリボンケーブルで999はRCA接続、内部を覗いてみたところ、999は各デッキにトランスを配し、999のアンプの平滑用コンデンサはタンジェントデルタを異にするため容量の異なるペアが組み合わされた合計4本の本格的な設計でした。音響用コンデンサも多数使用され、最上位機種に対するエンジニアたちのの音質への追求が感じられます。カセットデッキはなんとアモルファスクイックリバースデッキと3ヘッドデッキを搭載、しかもアイワが得意としたデュアル構成(ダブルカセットデッキではなく、別々のデッキが一つのケースに入った左右完全独立デッキ。例えばDECK1にはCDから、DECK2にはDATから同時レコーディングといったことができてしまいます。DOLBY HX Pro、デュアルバイアス調整、デュアルデジタルカウンター等、全てが独立しています)、アナログプレーヤーはダイレクトドライブ方式、DATデッキは2DD+3モーター構成、ウーファーはアモルファス・シリカファイバークロス振動板を採用した、なんとDIATONEのOEM(プリオールシリーズでもCDS-999と777のみ)、1個あたり12kg、クラス最大のエンクロージャーです。当時のアイワ社長はやはりあの方でした。倉庫での永い眠りから覚め、オーバーホールをしました。

 (以下、カタログより一部紹介)
世界で初めてDATをデビューさせたアイワから、DATコンポ"プリオール"誕生。

 システム・コンポの流れはデジタル化へ進む。
デジタルオーディオの持つ限りない可能性を追求してきたアイワが、また大きな波紋を巻き起こします。DATコンポ"プリオール"。世界で初めてDATを世に送り出したアイワのプライドとテクノロジーが誕生させたDATシステム対応のコンポーネント・ステレオ。憧れのDATがいっそう身近になります。
DATを余裕たっぷりドライブするハイパワーアンプ、大型スピーカーなど、これまでのシステムコンポとは一線を画す高性能で、あなたの胸を直撃します。"プリオール"、それは抜きんでたもの。このブランドに賭けたアイワの情熱は、あなたの耳で受け止めてほしい。
 
150W+150Wハイパワーアンプ、大型4ウェイスピーカー。コンポはDAT次元へ進化する。

 DATをシステム化することは、単にDATをコンポの一員とするだけではありません。DATのもたらすハイクオリティな音を余すところなく再現するために、システム全てをデジタル・コンポ化する。そうでなければDATコンポを名乗れないのが事実です。CDS-999。DATコンポの最上級機。その音は予想を遙かに超える。

 アンプのパワーが音質を左右することは、特にボリュームを上げていった際に誰もが実感します。高音質なデジタルソースを再生するための余裕のハイパワー150W+150W。電源ノイズをカットするロー・ノイズO.P.アンプの採用によりSN比は100dB以上という、あくまでピュアな音を再現。デジタルソースをクリアにダイナミックにドライブします。さらに高性能を求めて、DAT/CDダイレクトスイッチも装備。大容量トロイダルトランス、2系統REC OUTセレクターもマニアを唸らせます。もちろん臨場感が十分に味わえるサラウンド回路を内蔵。リモコンで自由にコントロールできる電動ボリュームも新鮮です。

* XK-009も経年のため、各部の劣化が予想されます。部品の入手性も悪く、破損の保証ができませんので個別の修理は受け付けておりませ
ん。また、修理に関するお問い合わせもご遠慮させていただいております。当方にて今後使用予定分の純正パーツや部品取り個体しかストックし
ておりませんので、パーツもお譲り致しかねます。何卒ご了承下さい。(元アイワのSSで受け付けているそうです。)





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