文学shortコラム (アメリカ文学)


ロマンティシズムからリアリズム


 トランセンデンタリズム(transcendentalism / 超絶主義)とピューリタニズムの精神風土が土台となってアメリカ・ルネッサンスは起こり、ロマンティシズムが開花します。作家たちは18世紀の合理主義的な考え方から解き放たれて、個人の情念、経験、考えを、想像力によって描写していきます。

 この時代の作家は、人生というものにそれぞれの理想を持ち、理想の実現と絶対的な道徳的立場との葛藤の中で、道徳を守りながら理想を実現する人物を描いていきました。でも、こうした高踏的な文学のあり方に対する批判が、リアリストによって、1870年代に起こってきます。ロマン主義の作品は、貴族趣味的で封建的であったり、個人の英雄的行為を称賛したりと、現実の生活とあまりにもかけ離れていたからです。

 アメリカ文学は、健康的で、普通のアメリカ人を描いた作品であるべきだという考えがここにはあります。こうして、存在しない架空の人間を描くのではなく、新しい文化にふさわしい知性と感性をもった、国民を代表するような、普通の人間を描いたリアリズムの作品が生まれてきます。

 この頃、ローカル・カラーの文学が先がけとなって、高級と考えられていた文学作品に、俗語が多く取り入れられるようになりました。これもリアリズム文学に寄与しました。この点でアメリカ文学に大きく貢献したのが、柔軟な俗語による散文と称賛された、マーク・トウェイン(1835-1910)でした。




読んだ内容は

面白かった まあまあ つまらなかった

メッセージなどのある方は下記にお書き込み下さい。ない方はそのまま、送信ボタンを押して下さい。
 (返信をご希望の方はメールアドレスをお書き添え下さい)





Top ページへ