生きることは欲望すること  

ブッダは欲望についてどう説いたのでしょうか。歴史的人物としてのゴータマ・ブッダに最も近く、文献として最も古いといわれる「スッタニパータ」に、欲望についてのブッダのこんな言葉があります。

「真のバラモンは煩悩の範囲をのり超えている。欲を貪ることなく、また離欲を貪ることもない。かれはこの世では、これが最上のものだと固執することもない」

貪欲と離欲、欲望するのも欲望をなくそうとするのも、同じ欲望です。その両極端から距離をおくことが、中道なのでしょう。苦の原因は欲望です。欲望とは、煩悩です。不満な現実を否定して、別の現実を求めることです。現実を受け入れることができないのですから、現実との間には、葛藤が生まれます。葛藤は苦を生みます。

欲望をなくすことは必要ですが、この世に生きるかぎり、ほぼ不可能です。なぜなら、欲望こそが、日常を生きるエネルギーだからです。生きることとは、欲望することでしょう。ある程度の欲を充たしてあげないと、身体や心は、きちんと働いてくれないのです。欲望とは、なくすものではなく、利用するものなのではないかと思うのです。

大切なのは、欲を捨てるのではなく、欲に振り回されないことでしょう。煩悩をなくすというのは、そういう状態ではないかと思います。それは煩悩を超えた状態であり、これこそが「欲望がない」という状態なのではないかと思うのです。



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