戒(戒律)
|
以下は、歴史的人物としてのゴータマ・ブッダに最も近く、文献として最も古いといわれる「スッタニパータ」のブッダの言葉です。 「修行者は、見たこと・学んだこと・思索したこと、または戒律や道徳にこだわってはならない」 戒律の意味とは、自分には自分を統御する能力がないという自覚を成長させることにあるようです。統御する能力があるのなら、戒律は不要です。ないから戒律が必要になるわけです。 自分には自分を統御する能力がないことを自覚せず、ただ戒律を厳格に守り、戒律さえ守っていればよいと思っているだけなら、戒律にこだわっていることになります。戒律を守ることで得られる成果を期待しているのなら、それは渇望です。戒律に従っていることを誇る気持ちがあれば、戒律は真実への妨げになります。 戒律で大切なのは、ただ従うのではなく、自己に責任をとるということのようです。 ブッダの言葉は、新しい経典ほど、厳しくなっていくようです。「スッタニパータ」では、ブッダはそれ程厳しく言っていませんが、時代が進むにつれて厳格になるようです。中道から極端への変化は、教団の都合でしょう。中道には活躍の場がないので、自我は、活躍の場を求めて、極端へと向かうようです。
|