この世で生まれた自我  

生後 2 〜 3ヶ月頃の赤ちゃんが、自分の手をじっと見ていたら、そのしぐさは、自分の身体に対する、最初の認識行動のようです。赤ちゃんの自分に対する認識行動には、これ以外にも、指しゃぶりがあります。赤ちゃんが口で指をしゃぶるとき、その指しゃぶりの感覚を通して、自分自身を認識しているということです。

この頃の赤ちゃんに鏡を見せると、鏡に顔を近づけたり、鏡を叩いたりして、鏡の向こうに自分ではない誰かがいると思っているような行動をとるようです。このときには、まだ、鏡に映っているのが自分だとは、気がついていないようです。

9 〜 12ヶ月頃には、自分が手を振ると、鏡に映っている相手も手を振ることに気づきます。1歳になる頃には、鏡に映っているのは実物の人ではないことが分ってきます。2歳頃には、鏡に映っているのは自分だと、はっきりと認識するようです。

自己認識が進むと、自我が芽生えるようです。外の世界を自分で歩き、さまざまなものに触れることで、行動の主体となるのは自分だということを、赤ちゃんは感じているようです。自分と自分以外の他者は、違う人間であることが分ってくるのです。

自我が発達すると同時に、他者と共感する部分が失われるようです。ここでいう他者とは、赤ちゃんの場合は、主に母親ですが、成長するにつれて、他者の範囲は広がっていきます。他者と共感するその部分とは、他者との架け橋なので、すべての他者とつながる部分だと思われます。それは自分と他者とがひとつになった部分ということで、普遍的自己、つまり「自己」と呼べるのではないかと思っています。「自我」が肥大化すれば、「自己」は縮小するようです。



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