良心
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良心とは、行為の善し悪しの判断です。良心は、知性、感情、意志などで判断して、善いことを行い、悪いことを避けます。「正しい自分」は、「間違った自分」を責めます。良心の呵責です。良心に従うとは、「正しい自分」に従うということでしょう。ここでの「良心」とは、「正しい自分」ということです。だから、「良心」とは、アートマンということでしょう。 「自己のうちに悪があるのに自分のために隠そうとする汝を、貴いアートマンは軽視している」(アングッタラニカーヤ) ブッダのこの言葉には、不正直な「間違った自分」という「非我」に対するアートマンの軽視があります。アートマンである「我」が、自分の悪を隠そうとする「非我」を、軽蔑しているわけです。 「我」とは「良心」であり、「正しい自分」です。悪を隠そうとする自分とは、「間違った自分」であり、「非我」です。「良心」とは、自分に対しても、誰に対しても、何に対しても、正直なのです。 どこまでも善の実現をめざしたブッダは、倫理の実践者だったようです。そのための行動が、アートマンの実現であり、アートマンではない「非我」を「我」と見ないことです。ブッダは、アートマンとしての「我」の存在を、積極的に肯定しているのです。
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