クシナガラ(Kushinagar) 涅槃の地 Kushinagar Kushinagar Kushinagar Kushinagar Kushinagar

〜 交通 〜

祇園精舎のあるシュラバスティ(Srabasti)の瞑想センターでひと月瞑想した後に訪れました。瞑想センターからは、まず、タクシーで Gonda に行きました。約62km、約 1 時間、1,200 Rs。朝 7時 40 分頃に瞑想センターを出て、Gonda 駅に到着したのが 8 時 40 分頃。駅の切符売り場の窓口で General(自由席)の Gorakhpur Junction 駅までの切符(105Rs)を購入しました。列車の到着ホームを聞いて、ホームに着くと、ちょうど列車がホームにゆっくり入って来ました。8時10分発の列車が、約40分遅れて到着したようです。

ホームを行ったり来たりして General の車両を探していると、列車がゆっくりと動き始めたので、慌てて飛び乗りました。A 3 クラスの車両でしたが、車両の中には入らずに、トイレのすぐそばの連結部に立っていることにしました。ゴンダ駅からゴーラクプル駅までは、154km。この路線の列車の時刻は、インド鉄道のIRCTC(Indian Railway Catering and Tourism Corporation)の National Train Enquiry System で調べることができます。「Trains Between Stations」をクリックして、出発駅と到着駅を入れれば時刻表が出てきます。

しばらくしてインド鉄道(IRCTC)の車内販売の男性が、ヒンディー語で私に話しかけて行きました。何と言っているのか、すぐ近くの座席に座っている男性に聞くと、Gorakhpur まで2時間45分もかかるから座った方がいいと言っていたということでした。座った方がいいって、どこに? と私が問うと、その男性は、だよね、というようにうなずきました。しばらくして、その男性のすぐそばの席で横になっていた男性が、ここで休んでくださいと私に席を譲ってくれました。A 3 は三段ベッドの車両で、寝ることはできても、ベッドをたたまなければ座ることはできない車両です。男性は横になっているのに疲れたと、 Gorakhpur Junction 駅まで私に席を譲ってくれました。

Gorakhpur Junction 駅のホームでは、スーツを着た若い女性二人が、出口に向かう人に切符を見せるように言っていました。大勢の人がいましたから、全員の切符を見るのではなく、任意に選んでチェックしているようでした。私には、まず、ID を見せるように言い、それから切符でした。インドでは何かと ID を示さなければいけないようです。サリーではなくスーツを着ている姿が新鮮でした。とても感じのいい女性でした。

駅前南口から少し歩くとバスが何台も停まっていました。リュックを担いだ私を見ると、バスのそばにいた男性が、クシナガラ! と言うので乗り込みました。そのバスはカシアー行きだったようですが、私をクシナガラに行こうとしている観光客(巡礼者)と思ってそのように声をかけてくれたのだと思いました。バス代(70Rs)はバスの中で車掌に支払いました。

クシナガラ(Kushinagar)は、Gorakhpur Junction 駅から約 55kmで、所要時間は約 1時間でした。近くまでくると、車掌が次だから降りる準備をしろと教えてくれました。バスを降りると、ネットで見たクシナガラへの 入り口の門 が見えたので、ああ、ここに間違いないと安心しました。

帰りはバスを降りた場所の反対側に立っていると、Gorakhpur Junction 駅へ向かうバスが止まってくれました。帰りのバスは中型バスで料金 61Rs。1Rsと半端を払うのは大変だと思って、60Rs にしてくれと強引に頼むと 60Rs にまけてくれました。

Gorakhpur Junction 駅前は混雑がひどいので、バスは駅まで行かずにかなり手前で乗客を降ろします。駅に行く乗客はそこから歩きます。歩いてほんの15分くらいの距離です。バスに乗っている人は親切な人ばかりで、駅への行き方を教えてくれました。

〜 宿泊 〜

クシナガラはネットから予約できる適当なホテルがなかったので、ミャンマー寺の宿坊に泊まることにしました。予約していないので、なるべく早く着きたいと思っていたのですが、列車の乗り継ぎもバスの乗り継ぎもよく、暗くなる前には到着したいと思っていたところ、昼の1時半頃には到着していました。

ミャンマー寺の宿坊に決めたのは、ネットの情報でいいことばかり書かれていたからですが、それは遠い昔のことに違いないと思えるほどのひどい対応をされました。入り口のインド人の門番はとても愛想のいい人で、宿坊に泊まるつもりだと言うと笑顔で入れてくれました。門を入って行くと、左側前方にホテルのような白い建物が建っていて、その前に大型バスが何台も停まっていました。ミャンマーからの団体の巡礼者ツアーのようでした。ネットにはその白い立派な建物のことは書かれていなかったので、最近建てられたのだと思いました。

その白い建物に入って、責任者らしきインド人の男性に宿坊に泊まりたいというと、露骨に嫌な顔をされました。その男性は「何泊?」と聞きます。「今晩と明日の二泊」と言うと、即座に「ダメだ。一泊だけだ」と言います。仕方ないのでそれで了承すると、あそこに座って待っていろと言ってどこかへ行きました。

背中に担いでいたリュックを下して椅子に座って、ミャンマーからの巡礼者の団体がカギをもらって部屋へとエレベータで上がっていく様子や、それら巡礼者の大きな荷物をインド人が運ぶ様子などを見ていました。ずいぶん長く待っていましたが、いくら待っても誰も何とも言ってこないので、受付のような場所に行って、そこにいたミャンマー人の若い僧侶に、宿坊に泊まりたいのですがと言うと、私を見るでもなく、視線を変えずにしばらく沈黙した後、「何泊?」と尋ねます。「先ほどの人には二泊は泊められないと言われたけど、できれば二泊したい」と言うと、その僧侶は、私を見ようともせず、視線をそのままにして、またしばらく沈黙し、何も言わずにうなずきました。私としては、宿泊のための手続きがあるだろうと思ったので、そのことを言うと、今度は私を睨みつけるように見ます。私としては、しばらく待ちますと言うしかありませんでした。

いくら待っても状況は変わらず、トイレに行きたくなったので、受付のような場所にいるその僧侶にトイレはどこかと尋ねると、外だと言うので外に出ました。外で荷物を運んでいるインド人にトイレの場所を尋ねると、建物の中だと言います。そのインド人が、私と一緒に建物の中に入り、先ほどの僧侶のところに行き、トイレのことを言うと、その僧侶は建物の外だと言います。私と一緒にいたインド人は困惑した様子で、私を建物の外のトイレに案内してくれました。その僧侶は、私には建物の中のトイレは使わせたくなかったのでしょう。歓迎されていない場所に泊まらない方がいいと判断し、隣の中国・ベトナム寺の宿坊に泊まることにしました。

中国・ベトナム寺ではすぐに責任者らしき僧侶が出てきて、笑顔で部屋に案内してくれました。とても親切な人で、私の滞在中、寺の隅々まで案内してくれました。部屋で荷物を解いていると、マネージャーのインド人が来て、すぐに返してもらいましたが、パスポートの提出を求められました。滞在のための書類にいろいろ記入しましたが、インドでの連絡先も書かなければならなかったので、瞑想センターの住所と電話番号を書きました。

中国・ベトナム寺の宿坊は一泊 300Rs でした。部屋にはベッドが 3つあったので、3 人部屋のようでしたが、他に宿泊者はいなかったので私一人で使いました。部屋は広々としていて、シャワー・トイレ付でした。とても清潔で、バスタオルとタオルもありました。洗濯もできて干場も屋上が使えました。外の暑さとは対照的に、部屋の中は涼しく、天井のファンも壊れていなかったので、とても快適に過ごすことができ、疲れを癒すことができました。

ただ、夕方、参拝客が帰った後、二頭の犬を敷地に放すので、部屋から出ることができずに困りました。犬は吠えながら私のシャツを引っ張ったり、私に抱きついたりします。僧侶にいわせると、私と一緒に遊びたがっているということでしたが、かなり大きいドーベルマンのような獰猛そうな犬だったので、私としては一緒に遊びたくありませんでした。

シュラバスティのスリランカ寺の宿坊では食事も出してくれたので、それをイメージしていたのですが、ここでは食事はないようで、すぐ近くのレストランで食事をしました。

ネットの情報では、日本寺やチベット寺なども巡礼者を受け入れているということでしたが、実際は門が閉まっていて中に入れない状態でした。今回、ガイドブックほどではないにしても、ネットの情報も古くて役に立たないことが、宿坊だけでなく、たくさんありました。

〜 みどころ 〜

クシナガラのみどころのほぼすべてが、幹線道路から入った 入り口の門 の通り、Buddha Marg と呼ばれる通りに沿ってあります。

Mahaparinirvana Temple(大涅槃寺)

ブッダの涅槃(死)の場所です。宿泊した中国・ベトナム寺からほんの数分でした。ミャンマー寺とは敷地の中の門でつながっているようです。

開館は太陽が昇ってから沈むまでです。巡礼者は涼しい午前中の早い時間帯に集中しているようでした。到着した翌朝、7時過ぎに行った時には、すでに観光バスが何台も入り口付近に停まっていて、巡礼者がたくさん参拝していました。通りには制服を着た女学生や男子学生の乗った自転車が行き交っていました。入り口で名前やパスポート番号を書いてから入ります。入場無料。

巡礼者の団体は、黄色の布を頭上に掲げ、お経を唱えながら建物を周った後、建物に入り、横たわっているブッダ涅槃像にその布をかぶせていました。それから、さまざまに写真撮影をしていました。

私はクシナガラを去る最終日の三日目の朝、巡礼者の団体が去った後、ブッダ涅槃像の前に坐って瞑想をしました。宙に浮いているような感覚で、床石の硬さは気にならず、とてもいい瞑想ができたように感じました。

建物前の看板に「Offering Not Allowed(献金禁止)」とありましたが、涅槃像の前に Donation Box(賽銭箱)がありました。不思議に思って宿泊した中国・ベトナム寺のマネージャーに尋ねると、政府は禁止しているが僧侶が勝手に Donation Box を置いているということでしたが、事実かどうかは定かではありません。

Matha Kuar Shrine(マータ・クアール寺院)

ブッダが最後の説法をした場所といわれています。大涅槃寺からクシナガラの 入り口の門 とは逆方向に少し歩くと、道はカーブを描いて左側に曲がります。カーブの右側に小さな祠堂があます。それが、Matha Kuar Shrine(マータ・クアール寺院)です。中には降魔印の仏陀像が安置されています。建物を入ると、真ん中は大人の背丈ほどの深さの窪みになっています。巡礼者はその穴の縁を回って仏陀像に行きます。仏陀像の前に来た時、窪みの中にいた男が、手を伸ばして私にお札のようなものを渡そうとしました。

Matha Kuar Shrine(マータ・クアール寺院)は、大型観光バスが何台も停まっていて、大勢の巡礼者がいたのでその場所に気づきましたが、誰もいなければ通り過ぎてしまうほどの小さな建物でした。

Ramabhar Stupa(ラーマバール・ストゥーパ:荼毘塚)

Matha Kuar Shrine(マータ・クアール寺院)から先へ進むと、約 1.5km のところにあります。 高さ15m、直径34mのレンガ造り。ブッダを荼毘(火葬)にふしたとされる跡に建立されたストゥーパです。ネットで得た情報に、このストゥーパに登ったという人がいたのですが、門番もいるし、巡礼僧や巡礼者もいて、登れるような状況ではありませんでした。以前は、誰もいない寂れた場所だったのでしょうか。

Mahaparinirvana Temple(大涅槃寺)でも目についたのですが、黄色い花があちこちに咲いていたので、何の花かを門番に聞こうと思ったら、門のそばで立ちションをしていました。

黄色い花の名前について、門番は知らないようでしたが、後に知っている人がいて、 アソッカ(Asoka tree) ということでした。無憂樹(マメ科)と呼ばれていて、ブッダが生まれた場所にあった樹だそうです。悟りを開いた場所にあった インド菩提樹(クワ科)、ブッダが亡くなった場所にあった 沙羅双樹(フタバガキ科) とともに、仏教三大聖樹のひとつということでした。ここは亡くなった場所ですが、生まれた場所にあった無憂樹もあるんですね。

Ramabhar Stupa(ラーマバール・ストゥーパ:荼毘塚)に行く途中に、崩れかけた石碑があり、ブッダ最後の言葉が碑文として刻まれていました。

 All conditioned things are impermanent. Strive on with diligence (for your own liberation).

ブッダは修行僧が葬儀に参加するのを禁じたので、ブッダの荼毘に弟子は誰も立ち会っていなかったそうです。

Buddha Ghat(ブッダ・ガート:沐浴場)

Ramabhar Stupa(ラーマバール・ストゥーパ:荼毘塚)の北側には、ブッダが最後の沐浴をしたといわれるヒラニヤヴァティー河が流れていました。通りに看板があるので見逃すことはありません。住宅の敷地のような場所を入って行くとヒンズー教の祠があり、大勢のヒンズー教徒がお祈りをしていました。講話を聴いている人もいました。河は狭くゴミがあちこちにい浮いていて濁っていました。階段になった河の斜面は、テントの屋根がついていました。ここで沐浴をするのだと思いました。

Wat Thai Temple(ワット・タイ寺院)

Matha Kuar Shrine(マータ・クアール寺院)から Ramabhar Stupa(ラーマバール・ストゥーパ:荼毘塚)に行く途中、Buddha Marg 通りの右側にあるタイの寺院です。昼食時間を挟んで、一般に公開されているようです。中はイングリッシュ・ガーデンのように、芝生や生垣や木々がきちんと整えられていて、ゴミが散乱している外の世界と対照的です。建物の影や木陰に入るとひんやりとして心地よい場所です。建物の裏側には風鈴がいくつも掲げられていて、風が吹くと音色がいくつものハーモニーとなって響きます。


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